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夫はインフルエンザが治ったあと、 なぜ肺炎になったのか?2023

「え!?39.1度!?うそでしょ・・・?」

それは、10月21日(土)の15時のことだった。
夫がインフルエンザにかかってから、2週間あまり経とうとしていた。

これはさすがにおかしい。
どこかの病院に連れて行かなくては・・・。

そう思い、心当たりのある病院に電話をかけてはみたものの、
返ってきた返答は
「先生による診察と薬だけは出せますが、レントゲンや血液検査はできません。隔離室での検査になりますので、月曜日にいらしてください」

夫の症状には緊急性がないのか?
月曜日まで待っていて、夫は大丈夫なのか?
その返事ももらえず、私の心臓は夫を失うかもしれないという
恐怖でバクバクしていた。


10月8日発熱

事の発端は、10月8日(土)午後14時

夫が熱を出したときは、正直、え~またかぁ、という感じだった。
なぜなら、彼は先月もコロナにかかって、その菌を私たち家族全員にうつしたからである。

今度の熱はコロナの時よりも高い、39.5度。
夜には40度に上がったので、これはインフルエンザだなと直感的に思った。
コロナでは38度台しか出なかったし、夫の同僚でインフルエンザにかかったという人が熱が40度まで出た、という話を聞いていたからだ。

うちの地域では、大きな小児科があり、子供が熱を出したときにはそこが
診てくれるので心配はないのだが、大人の発熱となると事情がちがう。

コロナが5類になったとはいえ、コロナだった時にさんざん、いろんな病院に診察を断られたトラウマがある。

唯一、コロナの時も検査だけしてくれる病院が近くにあったが、そこは待合室も寒いうえに長時間待たされる。
高熱があるときにそれは辛い。

近くの発熱外来があるK内科に電話をすると、インフルエンザやコロナかどうかの検査だけはしてくれるという。

そして休み明けの10月10日にそのK内科へ行き、車の中で待機。
夫は車の中で鼻から綿棒をつっ込まれ、無事にインフルエンザA型の診断をうけたのである。

その後、抗インフルエンザ薬をもらい、それを飲んだ夫は、翌日には熱が下がっていた。
当然のごとくその後、私と娘も発熱し寝込んだ。
夫は病み上がりにもかかわらず、私たちの看病に明け暮れていた。

10月16日 再発熱

夫の熱が下がってから、おおよそ4~5日たった10月16日。
なんだか熱っぽいと夫が熱を測ると、37.5度ある。

そしてその次の日のお昼ごろ、午前中にテレワークをしていた夫がなんだかしんどい、と布団に倒れこんだ。
熱を測ると、
「え?!39.5度?」
インフルエンザにかかって解熱してから、5日も経っているのになぜこんな高熱が出るのか?

怖くなってネットで調べると、インフルエンザのあと肺炎にかかることがある、と書かれている。

怖くなり、はじめに診てくれたK内科に電話をかけた。
夫がまた発熱したんです、39.5度あるんです。
すると、受付の人は声音を一切変えずに、
「あ~、そうなんですね。発熱外来ですと、金曜日にしか予約が取れないのですが」
という。
今日は火曜日である。
そんなに待たなくてはいけないのか?

「違う病院に行かれた方がいいかと思います」
と言われたが、ほかに発熱患者をみてくれる病院というのがとっさには思い浮かばなかった。
大きな病院でいうと、あの総合病院か、でもまた待たされるのではないか・・・などの不安もよぎる。

でも熱が下がらないのであれば、違う病院にかかるしかない。

夫に
「インフルエンザのあと、肺炎になることもあるってネットに書いてあるけど、胸が苦しかったりする?」
と聞くと、咳は多いものの、そんなに苦しくない、という。
その時は彼もまだ元気そうで、その返答に肺炎ではないよな、という不安を私はかき消したのだ。

朝には下がる熱

翌日、10月18日(水)の朝。
夫はケロッとして2階の寝室から降りてきた。
(夫を休めたかったので、1人で別の部屋で寝てもらっていた。)

熱は36度台に下がった、という。
それを聞いて、
「よかった、じゃああの熱は疲れからだったのかな?」
そう私は思って胸をなでおろした。

しかしそう思ったのもつかの間、お昼になってまた夫の様子がおかしくなった。
熱を測ると、38.8度。
けれど、夜寝る前になると少し下がる。

10月19日(木)
お昼、また熱があがり38.2度。

その間にも、またあのK内科に私と夫は代わる代わる電話をかけていた。
今思うと、他の病院さがせよ、と思うのだが、病院にうとい私たちは
どの病院でも対応が同じなのではないか、と思っていたのだ。

K内科の対応はこんな感じだった。
「来てもらっても、またインフルエンザかどうかの検査しかできません」
肺炎かどうかの検査はできないのか、と聞くと
「それはまた別の日になります」
などの冷たい対応。

なぜこんなにK内科に固執したのかは、私の持病、パニック障害のせいもあった。
私は家のすぐ近くの「踏み切り」が嫌いだった。
そこはしょっちゅう開かずの踏切になるところで、私はそこで待っているときに発作を起こしてしまったことがある。

だからできれば、踏切を渡らない病院に行きたいとも思っていたのは事実・・・。

いざとなれば、タクシーで夫を踏切の向こうの病院へ、と思っていたが、積極的に病院を探さない自分もいた。
それを私は大いに悔やんでいる。

母からの電話

その日の夜、母から電話があった。
母には家族がインフルエンザにかかったことを言ってあったので、その後どう?と聞かれた。

「夫くんはなんかストレスなのか、夕方に熱は出るけど、朝には熱が下がるから大丈夫だと思う。」
私は、呑気にそんなことを言っていた。
言いながら自分でも、半信半疑ではあったのだか、そう信じたかったのだ。
(それを隣の部屋で聞いていた夫は、どう思っていたのか・・・。)

すると、母は
「夕方からだけ熱が出る病気もあるかもしれないじゃない。
病院に行きなさい」
という。

夕方からだけ熱が出る病気もある?
というワードは私には目からうろこだった。

しかし、病院に電話しても断られるし、と私はいじけモードだった。

その翌日の金曜日、
再発熱してから会社を休んでいた夫も、さすがに仕事復帰しないとやばいと焦り、テレワークで仕事を再開した。

そしてその午後、38.6度。
やっぱり熱が上がってしまった。
なんとか仕事はやり切ったが、咳が苦しそうで辛そうである。

でも夜には熱が37.6度に下がるので、私たちはこのままよくなるのではないかという淡い思いを捨てきれずにいたのだ・・・。
今思えば、とんでもない誤診なのだが。

そして翌日の10月21日の土曜日。
母が家に来てくれた。
4歳の娘に会いに来てくれたのだが、夫の様子も気にしてくれている。

夫はあれから夜の咳がひどく、めまいもして、横になって寝られないと言っていた。
しかし、朝になると熱が下がり元気そうにしているので、遊びに来た母とも話をしていた。

夫の様子を話すと、母はさっそく土曜日でもやっている病院を探し始めてくれた。
近くの病院を探すと、Y診療所というところがやっているらしい。
ネットの評判もよさげで、夫はさっそく予約の電話をかけてみた。
しかし、やっと電話がつながったその病院から信じられない一言が・・・

はじめに診てもらった病院で診てもらってください。


「はじめにかかった病院で診てもらった方がいいと思います。こちらでは診れません」
は?
断られるの!?

私は驚いて、私が唯一知っている大きな病院、K総合病院へ電話をかけた。
(踏切の向こう側)
しかしその病院は土曜診察はやっておらず、緊急の場合のみ対応しているという。
それでもどうにかして診てもらえないか、とすがる気持ちで夫の症状を話すと、電話に出ている事務の人が言った。
「あ~、緊急性が低い場合は、月曜日に来てもらえますか?」

緊急性が低いかどうか分からないから聞いているのに!!
病院に断られて、絶望しているのは夫だった。

母に話すと、コロナの後の病院はそんななのか!?と憤りつつ、
埼玉県の救急電話相談というサイトを見つけてくれた。

#7119でお医者さんにいくべきかどうか、の相談もできるそうだ。

私はまた断られるのではという不安に押しつぶされそうになりながら、
電話をかけた。

その時の時間は午後3時になるところだった。
その時の夫の熱は、なんと39.1度。
無言でその体温計を私に手渡してきたとき、私はやばいことが起こっていると確信した。

#7119から
0570-783-770
さいたまコロナ総合相談センターという番号を教えてもらい、電話をかけると女性オペレーターが対応してくれた。

そして土曜日の午後だというのに、夫の症状を診てくれる可能性のある病院を3つもすぐ紹介してくれたのだ。

ありがたい、と思いつつ、また断られるのでは、と思いながら
教えてもらった病院の番号を押す。

そこはうちから車で4分のTクリニックだった。
電話に出てくれた看護師さんに
はじめに診てくれた病院では、隔離室で診察と薬を出すだけしかできないと言われた、お願いだから見てほしい、と懇願した。

すると、看護師さんは
レントゲンと血液検査と診断ならできますよ、と言ってくれた。

その言葉に涙が出そうなほど、安心した。

すぐに夫にその旨を伝え、家を出て病院へ向かった。
踏切の向こう側で怖かったので、薬を飲み、母、娘、総出で行くことにした。

これは立派な肺炎ですよ

夫が診察室に入っている間、私は娘や母とも一緒にいたので車で待機していた。せめて点滴だけでもしてもらえたら、と看護師さんに頼みに行こうと、病院へ入る。

すると、私を見つけて看護師さんがすぐ
「あぁ、旦那さん今、点滴うけてるので、あと30分くらいで終わりますよ」
と言ってくれた。
すでに点滴してもらっているのか、ありがたいと思っていると、
「先生からお話うかがいます?」
との言葉。
先生から説明って、よっぽど重病じゃなければ別にいいんだけど、まあ説明してくれるなら、と能天気に診察室へ入る。

中には白髪の快活そうな、男の先生。
そして夫の上半身のレントゲン写真があった。

先生は目を大きくあけて、レントゲン写真を手に持った棒で指すと、
活舌よく言った。

「あのね、これは立派な肺炎ですよ」

「えっ、肺炎!?」

「私は今日初めて診たから、なにがどうしてこうなったのかは分かりませんがね、これは立派な肺炎です!」

「えっ、肺炎!?」

先生の口から肺炎という言葉が出るたびに、同じ言葉しか返せない。

病名が分かってほっとはしたが、それよりも肺炎という大きな病気の名前が自分の中で消化しきれなかった。

点滴を座りながら受けている夫の横に行くと、夫は笑ってくれた。
けれど座っているのは、ベッドに横になると咳が出て、めまいもしてしまうからで、そんな状態の夫を心から気の毒に思った。

そんなに苦しい状態だったのに、診てくれる病院にたどり着くまでにこんなに時間がかかって本当にごめん!!

と心で何度も何度も懺悔した。

診てくれた先生からは
月曜日は絶対に、絶対に仕事をしないでください!!
と念を押され、
今日はお風呂もお酒も絶対に絶対にやめてください!!
と言われ、私はなかば放心状態のまま、はい、と返事をしたのである。

大切な人を守るために

私はこの件で、非常に大事なことを学びました。

若いうちは、病気にあまりかからないから、いざ罹ったときに
どこに電話すればいいか、どの病院にかかればいいか、分からないと思います。
そして、病院によっては平気で診療を断ってくるところもあります。

でも、そんな病院に心くじけてはいけないのです。

どこの病院にかかったらいいか、分からなくなったら、
埼玉県では
#7119
で、かかるべきかどうかの相談も受け付けてくれます。

0570-783-770
では、コロナやインフルエンザでも診てくれる病院を紹介してくれます。

もし、どこかの病院で心なく断られても、めげずに電話をかけ続けてください。
私が夫にしてしまったようなことにならないように。

若い人は特に、遠慮してしまうことがあると思うけど、
遠慮は無用です!!
自分の、もしくは自分の大切な人の病状を必死に訴えましょう!




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