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短い地球外生命論

  小学生の頃から地球外生命や知的生命の存在に、自分でいうのも何ですが、並みならぬ興味がありました。エイリアン映画が大好きでした。ブロムカンプの『第9地区』やキャメロンの『アバター』、『プレデター』やスピルバーグの『ET』など。また、スターウォーズ作品は幼いころから観ていました。Discoveryチャンネルは中学時代のお気に入りでした。その宇宙番組は欠かさずに見ていました。

宇宙人はいるのか。この問いは人類が抱くロマンの一つでしょう。

 宇宙人熱がようやく冷めていたころ、ナショジオ日本版で『地球外生命・探査の最前線』という地球外生命探査の動向に関する特集がありました。以下は、それとジェームズ・ラヴロックの『ノヴァセン』を読んだうえで書いた文章です。

 米国を中心に続けられてきた、SETI (Search for Extra-Terrestrial Intelligence)「地球外生命探査計画」は今までの60年ほどの活動で大きな成果を残せなかったという見方がある。宇宙はこんなにも広大なのに、いや、そうだからこそ、電波信号は捕えられない。我々は銀河系において、この宇宙において、特別な存在なのだろうか。そう結論づけるのはまだ早いと考える人たちがいる。

前世紀末まで惑星が太陽系以外に存在するかどうかさえはっきりしなかった。しかし、ペガサス座51番星の発見を皮切りに次々と想像を絶す世界が認知された。SFと同等か、それ以上に面白くなってきたといえるかもしれない。
かつて、ヴェネツィアの銀行業の興隆でルネサンスが到来した。現代において、地球外生命探査というムーヴメントをもたらしており、宇宙時代の勃興を予兆するのが、ジェームズウェップ宇宙望遠鏡やTESSでの探査を始めとした私たちの第二の故郷を探す試みなのかもしれない、と感じる。そう、宇宙探査や系外惑星探査は、ロマンや好奇心だけに終始して行われているのではない。将来、人類が地球で住めなくなりそうになることが確実にわかった場合のクライシスに備えるための、保険でもあるのだ。系外惑星探査は人類の未来に大きく関わるという可能性をプランとして持つ人々がいる。

  銀河系には、自滅した文明が数多くあり、その存在から私たちヒトが文明存続の鍵を学べる可能性や探すべきは電波信号などではなく、その文明自体の基準による、テクノロジーの痕跡、名付けてテクノシグネチャーだという認識に基づいたSETI探査の方向転換などは、少し興味深い。考えてみれば、人類史上滅亡した文明や種族は考古学上知られているものもある。そのような文明や古生物や古人類の滅亡から私たちサピエンスの存続について研究する学問(歴史学や考古学や古生物学)はすでにあるが、それを宇宙に拡張する可能性も今後拓かれるかもしれない。そう考えると面白い。いずれも、過去の世界を探究する試みだと思う。

ここまでが、その特集の感想ですが、以下は『ノヴァセン』を読んだ角度からです。

  COSMOSの人間原理という考え方がある。ラヴロックは人間が電子的知性を生み出し、究極的にはそれが宇宙システムを情報に変換すると述べた。
宇宙には電子的生命体が既に存在するのか、だとしたら、なぜ観測でかからないのか。ラヴロック曰く、もしいるなら、そこらじゅうにうじゃうじゃいるだろうから。

  ラヴロックはガイア仮説を提唱したことで有名であるが、人類文明が宇宙で唯一にして、最初の存在だと考える。フランク・ティプラ―とジョン・バローが唱えた人間原理の宇宙論とは、ごく簡単に言ってしまえば、我々の宇宙が観測者を内部に生み出すように微調整されているという考え方で、ラヴロックはこれをフェルミ・パラドクスと相補的に捉える。
エンリコ・フェルミの着想によれば、人類よりも遥かに進化した知性が存在したなら、銀河系を支配する時間は十分すぎるほどあったはずである。地球はすでにエイリアンに征服されているはずなのだ。ラヴロックは人類は選ばれた存在だと考える。神に選ばれたのではもちろんない。絶妙な条件と途方もなく困難なプロセスのもと、COSMOSを理解するために宇宙の適齢期に誕生した種であると。

私は、枢軸の時代という人類の世界的な目覚めを宇宙的な意味で捉えることができると感じています。我々が考えるということ、そのスキルの出現や行為自体は、宇宙の存在を前提にしているという見方ができると思う。宗教や哲学、自然科学はこの宇宙、COSMOSを理解しようとする壮大な営みだという点で大きな包摂的・共通的視点でみることができる。
「枢軸の時代に現代まで連なる偉大な宗教や哲学の数々が誕生した。そのひと握りから、古代ギリシアや古代インドの哲人によって、自然科学の芽が誕生した。その芽はくねくねしながら成長し、人類は観測装置を、人工知能を得た。人工知能は超知能となり、それがまた新たな宇宙を創成するのかもしれない。超知能は、宇宙全域に進出するなかで、はたして同類をみつけるだろうか。超知能には、自分が主以外に独りぼっちかどうかが、すぐにわかるだろう。自分たちが何者であるかどうかさえ。」

ご清聴ありがとうございました。



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