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2度目の就職の話 【受付編 ③】

私はお腹の不調からトイレに行くため席を立つことが増えました。
「給料泥棒ね。」と山村さんや岩橋さんに噂されました。

そして、あまりにも仕事が手持無沙汰だったため、椅子に座ったままうとうとすることもありました。
「え、嘘、仕事中よ。寝るなんて信じられる?」

そして、やがてこのことは試用期間満了時の院内会議にも取り上げられることとなります。

今思えば、暇だから眠ったのではなく、仕事がないにも関わらず常に誰かに見られている(拘束されている)そんな緊張から逃れるために眠ったのかも知れません。

岩橋さんは薬局の扉を開けて、笑いながら大きな声で言いました。
「もうこの子いらないわ。薬局に返すわ。」
すると次の瞬間、桐島さんも笑いながら信じられない言葉を返したのです。
「こっちのほうこそお断り。熨斗つけて返すわ。」
厳しいけれど言葉に重みのあった桐島さんは何処へ行ってしまったのか。
ノリでいじめに加担する人になってしまったのか。

悔しさとショックが入り混じった気持ちで、私は再び受付の4人の背中だけを眺める時間を過ごしました。
本来なら、受付の仕事もサポートとして入る予定でしたが、カルテの受け渡しすらこんな状況の私には受付の仕事は難しいと誰もが思ったのでしょう。

けれど、そんな中、
「電話の取り方練習してみる?」
仲宗根さんが言って下さったのです。
保留の仕方や転送の仕方、受付側で対応してはいけない内容など、なかなか理解できず失敗を繰り返し、山村さんたちには白い目で見られましたが、それでも根気強く教えてくれました。

そして、最終的には残業も週2回ほど入ることになり、残業時に受付をサポートして下さっている事務所の女性から会計用のパソコンの使い方も教わりました。こちらは得意分野のため、入力には問題はないですが、やはりどの仕事をするに当たっても他のメンバーとの連携、コミュニケーションが必要だということを痛感しました。

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