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バスに乗ったら田舎の限界を知った話

先日、愛媛県松山市に旅行に出かけた。僕は大学まで愛媛で育ったので松山でよく遊んだが、観光として旅行するのは初めて。羽田空港から90分のフライト、事前にストリーミングしておいたチェーンソーマン第8話を見ていたらすぐに着いた。

松山空港から観光の中心地、大街道までは7km、車で約20分の道のり。いつもなら家族に車で迎えに来てもらうので、空港から大街道に向かう方法を知らなかったが、実はリムジンバスが存在するらしい。

料金表を確認すると、大街道までは850円とある。

…高くないか?

私の実家は大街道から約14km離れた場所にあるが、バスで移動した場合の料金は670円。(2022年12月現在)

強気な料金設定に驚きながら、まあ観光客用のリムジンバスだし仕方ないか…と納得し、乗車。入口の乗車券を引き抜くスタイルで、降車時にこの乗車券を見せて、指定の金額を払う仕組みらしい。

バスは何事もなく運行し、大街道に到着。850円の支払いは、出口付近(運転席横)の支払機で行われるようだ。

お、よく見ると硬貨の投入口のとなりにカードリーダーがあるではないか。なるほど、僕も今や大都会の住人(板橋区)、ここはPASMOでピッとな…ん?ピッと…あれ?

運転手さん「これい~カードしか使えませんよ。」




…は?

※い〜カードは、伊予鉄道等で販売、利用ができる非接触方式ICカードを利用したストアードフェアシステムカードである。(Wikipediaより)
要は地元民用の交通系ICカードのこと。

このキャッシュレスのご時勢に主要な交通系ICに未対応とは…
仕方なく1000円札を両替機に入れると、100円やら50円やら10円がジャラジャラと吐き出された。支払機からはおつりが出ないので、一度両替機で大量の小銭にばらさないといけないのだ。

財布が重い。


な~んか食い違ってるというか、わかってないなあ~などと思いながら、気を取り直して大街道を観光。ホテルのチェックインを済ませ、道後温泉に向かう。大街道から道後までは路面電車を使う。

料金は一律180円。これは地元民も使う頻度は多いので、料金も割安。さてお支払いは…お、ここにもカードリーダーが。なるほど、僕も今や新板橋駅~水道橋駅間の定期を持つ男、ここはPASMOでピッとな…ん?ピッと…あれ?

運転手さん「これい~カードしか使えませんよ。」



路面電車、お前もか。お前もい~カードか。180円なんて半端な額を小銭で持っているわけもなく、また両替。吐き出される大量の小銭。

財布が重い。

いくら本州から離れた四国、愛媛県の都市とはいえ、50万人を超える人口を抱える松山市(2022年12月現在)。主要なICカードにくらい対応していると信じた僕が馬鹿だったのだ。このやるせなさは、道後温泉が癒してくれるはずだ。


あっという間に時が過ぎ、東京へ帰る時間となった。大街道から空港への移動はタクシーを使おうか迷ったが、ちょうどバスが到着したのでバスに飛び乗った。

バスには見慣れた支払機とカードリーダー。でももう騙されない。君は所詮、い~カードしか読み取れないことを僕は知ってる。無駄な期待はしないと決めたのだ。

松山空港に到着したが、850円の運賃をちょうど払える小銭がないことに気付く。そりゃ850円ちょうど払える小銭持ってるほうが今時珍しいか。両替
の際に他の乗客に迷惑をかけないよう、一番最後に降りることにした。

両替機に1000円札を突っ込むが、反応しない。ん?おかしいぞ…?

運転手さん「いま支払機が詰まっちゃって両替機が反応しないんですよ。外の券売機から乗車チケット買ってきてもらえます?」




いやPASMOかSuica使えるようにしろやボケ!!!!!

…と言いたい気持ちを抑え、券売機で乗車チケットを買って手渡した。



これでも21年間、愛媛で生まれ育った人間として、少なからず地元愛というものを持ち合わせているつもりだ。もっといろんな人に知ってほしいし、もっと栄えてくれればうれしい。

だが今回の旅行ではっきりと分かった。この街がこれ以上栄えることはない。田舎の観光地というポジションを越えることは決してない。広島県や岡山県はもちろん、香川県と比べることさえおこがましい。

だって香川県はPASMOもSuicaも使えるもん。


これが愛媛県の限界です。県庁所在地でさえこの始末なのです。他県からお越しのみなさま、愛媛にお越しの際は大量の小銭をご持参ください。

ちなみに、愛媛県の交通インフラのほとんどは伊予鉄道が運営していますので、どんな交通機関でもこの現象が起きます。リムジンバスに850円も取るなら、支払機買い換えればいいのにね。


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