ほきくんのリハビリ記録⑮   ~染みついた恐怖~

前回の続きをお話しする前に、今日ははじめの部分だけ、少し、本題から内容がずれます。
ご了承ください。
 
 
 
私は在宅でリハビリを行っています。
6人のリハビリのプロが我が家にやってきて順番に私の担当をしてくれます。
 
先週1日の担当は作業療法士のTさん。
 
<作業療法士>
私のように、病気を発症した人でも、その人らしい生活が営めるように
様々なリハビリを提示してくれます。
 
1日にTさんから新しいリハビリメニューが提示されました。
それは「千羽鶴を作る!」です。
 
 
千羽鶴=折り紙
 
折り紙にはリハビリ効果がたくさんあるそうです。
・指先を使う作業で、手指の巧緻性が向上する。
・角や辺を合わせることで、注意力や集中力が向上する。
・折り紙といった平面(2次元)のものから、立体の作品(3次元)を作ることで、空間認識能力が向上する。
 
 
 
「よし、これから折り紙で鶴を作るぞ。」
という指令が、脳から神経を通って、折り紙するときに必要な部分(指など)に伝わります。
そのときに初めて指令通りの動きができます。
これが基本です。
 
私の場合・・・
①     【脊髄小脳変性症】を発症し、脳からの指令がうまく通りません。
「脳」自体がうまく機能しなくなってしまったからです。
 
②    指先には、温度の違いや振動などを敏感に感じ取るたくさんの神経が集まっているそうです。
 
①     ②を逆にすると、
A:たくさんの神経が集まっている<指>を、たくさん刺激すれば・・・
B:機能しなくなっちゃった脳も目覚めるのでは!?
C:脳が目覚めたら・・・・・・
D:できなくなったことも、できるようになるのでは!?
 
 
なんて勝手に妄想しています。
 
 
 
 
この妄想を実現させるために、
 
指を刺激できそうなリハビリメニューをいくつか付け加えました。
とにかく指や手を使ったり動かしたりする機会を増やしたくて、
 
「タイピング練習」・「洗濯ものをきれいにたたむ」
を付け加えました。
 
<料理>も指や手をたくさん動かしたりするな!?
 
でもまだ、<一人で買い物する>ことにOKしてもらっていない。・・・
OKしてもらうためにはいくつかの課題をクリアしなきゃ。
 
 
 
 
ここから前回のつづきになります。
 
一人で買い物することにOKをもらうための課題②
【買わないといけないものを探しながら、歩行器の操作をする。】
 
歩行器の練習に付き添ってくれるプロが
<直さないといけない点>をいくつか指摘してくれました。
 
その中の一つが、【歩くときの視線】です。
 
みなさんは歩くときにどの方向を向いてますか。
<前><行きたい方向>ですよね。
そんなの当たり前です。
 
私にとっては、当たり前ではなく、かなり厳しい課題でした。
 
「以前のように、路上のブロックに足を引っかけて大転倒!」
「縫わないといけないくらいの大怪我かぁ。!?」
「やだな~・・・」
 
こんな思いがトラウマのように心に残って、
<前>を向くことができません。
 
プロのリハビリメニューのおかげで、歩行時にほんの少し足があがるようになりました。
だから、ブロックに足を引っかけることはありません。
 
でも染みついた恐怖はそんなに簡単にぬぐえません。
 
 
どうしても「下」を見て路面状況の確認をしてしまう。
 
どうしても<前>を向くことができないのです。
 
 
 
これでは<買い物>はできません。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?