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店舗の閉店

大吾の店舗は家賃が7.80万円近くした。人件費などの運転資金は、月2.300万円かかっていた。
遊戯王カードが主な稼ぎ頭だったが、ゲームのルール改定に伴い下火になっていった。

ポケモンカードや、ドラゴンボールカードなど、様々なカードゲームはあったが、丁度衰退期だったので、店舗に来るお客さんが減っていた。

当時の主な収入源はインターネットショップ収入だったので、家賃、人件費の削減の為に店舗を閉店することになった。
それに伴い新しい事務所を家の近くに借りた。

その頃の会社には移転の運転資金は残っていなかったので、これも家の貯金から切り崩していった。

閉店となると、大変だった。カードとはいえ在庫数が数知れずあり、閉店セールで叩き売りをしても、減る数にはかぎりがあった為処分も沢山した。

何も無くなったおしゃれ内装の店内、こだわって作ったから悲しさもひとしおだったと思うが、その時の私には大吾を労る余裕はなかった。
そうやって、優しさを失うことによって、夫婦関係って悪化していく事に気づかず、段々と気まずい関係になっていった。

インターネットショップは、2LDKのマンション一室に、社員とバイト数人で運営していた。
店舗がなくても、売買することが出来る世の中になるなんで、本当に便利になったなと思う反面、店舗が無い分買取に力を入れないと、商売が成り立たない。

そのサイクルを作るには、高価買取し、安く売るしか無い。そこのバランスが少しでも狂うと、儲けがわずかになり、商売が成り立たなくなる。
大吾の店は、高価買取で業界では有名だった。
それだけに、常にカードの値動きを調べないと大損するので、精神的に休まる時がなかったと思う。

その精神的な安らぎが、海外旅行や、国内旅行だったのが、学校の兼ね合いや、お金の都合で回数も減り、ストレス解消もままならず、イライラする時も増えた。

大吾のイライラは、家族の恐怖だったので、怒らせなきように気を使う毎日が続いた。
と同時にプチ貧乏生活が始まった。

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