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知らない間に

6月になると、前年度の収入に合わせて、税金の請求がやってくる。私のような勤め人であれば、給料天引きでルーチンワーク的な感じだが、個人事業主ともなれば、それをちゃんと見越した上で、資金繰りをしなければならない。

それを、大吾が出来ない。もちろん、税理士が管理はしていてが、その税理士も、適当な大吾に合わせて適当な資金管理をしていた。前年度、大吾の月収が200万円だった時は、年収で行くと2400万円、その次の年に、売り上げが少し下がっただけで、税金を払うだけで、全く売り上げが残らなくなった。

6月に一気に会社のお金がなくなった。私も不安にはなったが、大吾、税理士からも、たまたま的な感じで言われていたので、足りない運転資金を、家族の貯金から賄って、その場を凌いでいた。

対策として役員報酬を大幅に下げたものの、会社の余剰資金がどんどん減って、家族の貯金から賄うことが増えていった。
家族の貯金とは、子供達3人の教育資金の為に貯めていたもので、生活費に回すものではないと、何度も大吾に言った。でも、家族の金じゃなくて俺の金をどう使おうと、関係ないと言われて、なす術がなかった。

なんとか上手く立て直せばなんとかなったと思うが、過去の栄光に縛られるかのように、中々経営方針を変えようとしないうちに、どんどん経営が悪化していった。

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