マティーニ

書きたくなったら書いています💫フォローもフォロー解除もコメントもどうぞお気軽に🌟お願い…

マティーニ

書きたくなったら書いています💫フォローもフォロー解除もコメントもどうぞお気軽に🌟お願いします。

マガジン

  • ボーヴォワールの『第二の性』を読む

    『第二の性』を読んで把握した内容を不定期であげています。

最近の記事

  • 固定された記事

トニ・モリスン『「他者」の起源』を読んだ

人は、差別主義者に生まれるのではなく、差別主義者になるのである。 アメリカの黒人女性作家、トニ•モリスンの言葉※1である。 元ネタはもちろんボーヴォワールの 「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」 である。 さて、この世にオギャーと生まれたその時から、「ファッキンコリアン ゴーアウト」などと言ったり思ったりしている人は、いない。 ではなぜ、人は差別主義者になるのか。 私がこの本を買った当時、帯には、  <人はなぜ差別をやめられないのか> とあった。 この公演

    • How to become a writer

      以前から漠然と「物語を書いてみたい」と思っていた。 ついこの間、米アカデミー賞を獲った歴代の映画をネットで確認していたら、デルトロ監督の『シェイプ オブ ウォーター』を思いだした。 数年前に鑑賞し、エロシーンが印象に残っていた。 人間の女と不気味な生き物の魚人が愛し合いセックスする設定が、強烈にエロかった。 その設定はストーリーのためのエロで、本来エロ作品ではない。 たぶん、一部の人がエロの側にガッチリ捕らえられてしまうのも作者の想定内で、私も完全にデルトロ監督の思

      • シモーヌ・ド・ボーヴォワール著『第二の性』を読む③

        『第二の性』第1巻 第二章 「精神分析の見解」は、第一章とページ量を比較すると四分の一程度となっている。 主旨は、精神分析家が説いてきた女についての学問が、人間の歴史そのものを歪曲するものであるという批判である。   前章のボリュームから想像するに、著者のボーヴォワールもさらっとフロイトとアドラーの精神分析を否認する程度に敢えてとどめておこうとしているように思う。 フロイトは、人間の生活の発達を性欲の面だけから見る学説を唱えた。 アドラーは、性欲だけで説明するのは無理だと

        • シモーヌ・ド・ボーヴォワール著『第二の性』を読む②

          ボーヴォワールの『第二の性』の邦訳は、私が読んでいる河出文庫の新訳※1だと全3巻ある。 1巻の第一部「運命」は以下の3章から成る。 第1章 「生物学的条件」 第2章 「精神分析の見解」 第3章 「史的唯物論の見解」 本文では、第1章の生物学的条件について咀嚼した内容を書いておく。 ポイントは、生物学上の雌雄の二元性の事実と、人間の女の特徴、その身体の特徴だけでは性差別が終わらない理由にならない、の2点である。 (だから他の学問を調べて行こう、と次章へ続く)

        • 固定された記事

        トニ・モリスン『「他者」の起源』を読んだ

        マガジン

        • ボーヴォワールの『第二の性』を読む
          3本

        記事

          「僕は愛なしには生きられない」

          本文のタイトルは、娼婦のクリスティーヌと結婚しようとしたゴッホが、反対する家族を説得するため弟のテオに宛てた手紙(※1)の一節である。 ゴッホはクリスティーヌと家庭を持ち、正式な結婚はせず短期間で別れた。                    🔸 ゴッホの作品に360°囲まれて体験できるアートイベントを見るため、三月初旬、りんかい線天王洲アイル駅から徒歩5分の位置にある寺田倉庫に来た。 ゴッホの作品は、2、3点のヒマワリと、2、3の自画像しか知らなかった。 今回、イ

          「僕は愛なしには生きられない」

          シモーヌ・ド・ボーヴォワール著『第二の性』を読む①

          現行の五千円札には樋口一葉が描かれている。 今度は津田梅子になるらしい。 彼女らはなぜ一万円札ではなく五千円札なのか。 その根拠は何? (これは質問ではありません)          🔸 初版は1949年。 フェミニズムの古典と言うには新しいし、現代のフェミニズムと言うにはちょっと古い。 だが避けては通れない、一生に一度は読まずにいられない、あの書を読みはじめた。 シモーヌ・ド・ボーヴォワールの『第二の性』である。 分厚い文庫本で全3巻ある。 第1巻は、42ページ

          シモーヌ・ド・ボーヴォワール著『第二の性』を読む①

          シンデレラの屍を超えてゆく

          お金持ちの男との結婚が女の理想という刷り込みを「シンデレラ・コンプレックス」と呼ぶなら、そこから脱却し、学問にはげむことやキャリア志向を「ジェイン・エア・シンドローム」と呼ぶらしい。 シャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』が脱シンデレラストーリーの原型であり、その後の女性作家にどれほど影響を与えたか、について論じる本を読んだ。※1 廣野由美子さんはNHK100分で名著の、『高慢と偏見』の回で知った。 最近は、シェリーの『フランケンシュタイン』に的を絞った批評を読んだが

          シンデレラの屍を超えてゆく

          「どれほど似ているか」

          韓国を代表するSF作家キム・ボヨン著、『どれほど似ているか』( ※1 )を読んだ。 この作品は、十の短編から成る。 上の引用部は表題作「どれほど似ているか」の主人公であるAIが、宇宙船に同乗する船長へ発する言葉である。 本文ではその短編「どれほど似ているか」について紹介してみたい。 🔸ネタバレ無しのあらすじ 衛星間への食糧補給を手がける企業「一つ釜」の宇宙船が、エウロパ(※2)への補給をしようとしていた。船員は12〜13名。 語り手の主人公[私]は、宇宙船に同乗し

          「どれほど似ているか」

          中村彝の夕食を作ったのは誰か?東京都新宿区にある中村彝アトリエ記念館に行った

          先々月、東京駅から徒歩五分の場所にある、アーティゾン美術館へ行った。 その際に一番気になった絵は青木繁のわだつみのいろこの宮だったが、2番目に気になった絵が、この絵である↓ この絶妙な表情! そんで帽子の被り方! 絵を見ると目が合う男に話しかけたら こちらの期待を爽やかに裏切る言葉が返ってきそうな、やや不穏な笑み。 この顔、誰かに似てる気がする。 芸人だったか。それとも俳優だったか。 名前は思い浮かばない。 黒いスーツ+ハットに白のタイが、探偵物語の衣装のようだから

          中村彝の夕食を作ったのは誰か?東京都新宿区にある中村彝アトリエ記念館に行った

          伊藤野枝 『伊藤野枝セレクション』 を読んだ

          私は以前、こんな文を投稿した。 虚構でも現実でも、近代に自由を求めた女は殺された、という主旨のことを一部書いた。 フェミニストで社会主義活動家だったローザ・ルクセンブルグを何となくイメージし書いたのだが、日本にもいた。  伊藤野枝がその1人だ。 野枝は、フェミニストでアナキストだった。 強制的に結婚させられた夫がいたが、他の男性と恋愛関係になって駆け落ちもした。 今は姦通罪こそ廃止されたが、自分の貞操を、愛してない夫や世間様に渡すことなく、自分で支配して生きる女の

          伊藤野枝 『伊藤野枝セレクション』 を読んだ

          次のジェームズ・ボンドは誰か?トニ・モリソンの文学批評を読んだ

          ダニエル・クレイグ終了で、次のジェームズ・ボンドを演じるのは誰なのかずっと気になっている。 このソースによると候補は10名弱、その後4人に絞り込まれた。 そのうち2人は非白人だったことに度肝を抜かれた。 UK生まれの白人男性、ではないボンドが誕生する日が来るのだろうか。 007の映画シリーズといえば、白人男性が中心のマッチョなエンタテイメントだ。 女はおっぱい丸出しだし、アジア系や褐色の肌の男なんて名前も出てこないし。 まあ落ち着け。                

          次のジェームズ・ボンドは誰か?トニ・モリソンの文学批評を読んだ

          孤独なモンスター

          昔々、一人の冒険家が北極の海で、自分の船が立ち往生し絶望的になっている矢先、吹雪の中、人間のような形をした大きなものが、犬ぞりを引いて通り過ぎていくのを見た。 冒険家は翌日、一人の衰弱した男を救助する。 男はあの怪物を探していると言う。 その男は、以前は大学の研究室にいた博士だった。 命の起源はどこからくるのか? 生と死を分つものは何か? そうした研究に没頭していた。 博士の異常な愛情は、やがて墓を暴いて複数のご遺体をつなぎ合わせる行為に及んだ。 そして遂に、遺体が蘇

          孤独なモンスター

          お前の口唇にキスした

          平野啓一郎さんの訳で、オスカーワイルドの『サロメ』を読んだ。 本文のタイトルは、私が衝撃を受けたサロメのセリフである。 ワイルドの『サロメ』を読んだあと、聖書の洗礼者ヨハネ斬首のストーリーとの比較をしたくなったので、福音書を読み返した。 私が持ってるのは、岩波の塚本虎二さんのやつです。  私が創世記や新約聖書やらを読んだのは三十を過ぎてからで、それまでソドムとゴモラは怪獣の名前かと思っていたのだが、ユダヤキリスト教圏の芸術を理解するのにこれらの教典はとても役にたった。

          お前の口唇にキスした

          中島美千代 『青木繁と画の中の女』 を読んだ

          先月、東京駅から徒歩5分の京橋にあるアーティゾン美術館へ行った。 私は常設展の中で、一眼見て忘れられなくなった絵があった。 青木繁という画家の[わだつみのいろこの宮]という作品だった。 上部に描かれた青年に魅了されてしまい、すこし何か、見るのが怖くなってくるほどだった。 関心を持って青木繁についての評伝『青木繁と画の中の女』*を図書館で借りて読んだ。 私が心惹かれた「わだつみのいろこの宮」は、日本の古典の『古事記』、また『日本書紀』の中にある話をもとにして描かれた作品

          中島美千代 『青木繁と画の中の女』 を読んだ

          小さなクリスマス

          先日、某所で行われた子供達のための小さなクリスマス会に少しだけお邪魔させてもらった。 こども達がそれぞれ作ったリースとスタンドグラスの色彩のパネル、 キャンドルサービス、『きらきら星』のハンドベル演奏と、ビンゴゲームとクリスマスの歌をみんなで歌った。 驚いたのはなんと”ベレン”(ベツレヘム)の飾りが置いてあったことだった。 拡大すると、 カトリックの国ではお馴染みの飾り付けだが日本では珍しい。 イエスキリストの誕生のシーンを再現した、クリスマスデコレーションだ。

          小さなクリスマス

          ネタバレ無し 映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た

          劇場で観てきた。 おもしろかった! ストーリーをざっくり言うと、昭和31年、目玉の親父になる前のゲゲゲの鬼太郎のお父さんと、水木という名前の人間の男( 復員兵で、銀行員をやっている)との友情のようなものを描いた作品。 鑑賞後、私は夫と意見が対立した。 私の意見は、あまりに横溝正史カラー強めで、オリジナリティーがうすいのではないかというものだが、夫は、古い土着の因習、のようなストーリーは、オマージュやパロディを超えてすでにジャンルになっているのだ、と主張した。 言われてみ

          ネタバレ無し 映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た