見出し画像

ネタバレ無し 映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た


劇場で観てきた。
おもしろかった!

ストーリーをざっくり言うと、昭和31年、目玉の親父になる前のゲゲゲの鬼太郎のお父さんと、水木という名前の人間の男( 復員兵で、銀行員をやっている)との友情のようなものを描いた作品。


鑑賞後、私は夫と意見が対立した。
私の意見は、あまりに横溝正史カラー強めで、オリジナリティーがうすいのではないかというものだが、夫は、古い土着の因習、のようなストーリーは、オマージュやパロディを超えてすでにジャンルになっているのだ、と主張した。

言われてみれば、確かにそうだ。
手塚治虫の『奇子』にも田舎の因習ってテーマは出てくるよね、といったら、ほら、やっぱり!と夫はご満悦だった。



夫はラスボスのモデルは岸信介だろうか、とも言っていた。だが言ったあと多分違うなとすぐ訂正していた。
こちらが食い下がって、その話題を掘り下げようとしたら、夫は話したくなさそうだった。



話を戻すと、映画の面白さではゴジラ-1.0の方だと思うのだが、実は価値があるのは鬼太郎の方だと思う。

何故なら、対面を保つために軍に裏切られて失われた日本軍兵士の命についての記録は、戦場を経験していない生きている人間にとって忘れがちだから。

鬼太郎の人間の親父であり、かつ犬死にした日本兵と訴追を逃れた戦争責任者の記録を、世に知らせる役を負った水木という男は言わずもがな、水木しげるその人である。



ゴジラ-1.0では、新しい家族をもって希望に満ちたキラキラな復員兵が主役だったが、こちらの鬼太郎では、戦争で本当に壊さなければならないものが壊されてなかったリアルなテーマついて描かれてる。

宇多丸さんもラジオ評でかなり褒めていたけど、クライマックスで水木からラスボスへ突きつけるセリフがかっこいい。
多分1番大切な部分があのセリフにぎゅっと詰まっている。


おしまい


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?