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君は今すぐ「Star Fetchers : Pilot」をプレイして過酷世界に対峙するのだ【イチオシ】

google検索のゲーム説明欄より飛んできた方へ:
こちらの文章は日本に住むひとりのファンが自分の状況と重ね合わせてレビューしたいわゆる怪文章です。公式サイトはこちらでございます。まずは公式を訪れたうえで、ゆっくりしてくれ。

親愛なる君が知ってようが知っていまいが、俺はそこそこ長時間のアルバイトでカネを作っている貧乏学生だし、阿呆なのでこの先の就活だとか将来だとかについては全く見通しが立っていない。森見登美彦先生の大学生かよってくらいには荒んでいる。先が詰まっている。

つまるところ、今から書くようなどっしりとした、ゲームをしている場合ではないのだ。今すぐ将来について人生について考えるべきである。ゲームを一時間規制されるべきなのは俺だ。
でもぐずぐずしている。ちょっとニヒルをキメこんで、
「世界が過酷に見えるのも、結局政治の話なんだよね~ああ~やだわ~現代社会~~クソクソクソ、日本クソ!」とか言い出す勢いすらある。どの口がたたくか。
まあそんな状況にあるのである。一昔前のヒッピーかよ。

だがしかし。

(やっぱり)言うまでもなく現代社会はホントに過酷だ。漫画のカイジであるとおり、人情と愛嬌だけでは生きていけないのが現実である。あたりを見渡せば悪い大人がデニーズでペーペーの大学生相手に、日本の財政に依存するサラリーマンについて「信用ならない」とか何とか言って、他にも色々うそぶきながらマルチの勧誘を行い、向こうを見たら今日もどこかで炎上沙汰が起こる始末だ。カネとSNS発言は命より重い・・・!

そういう世の中の残酷さは、時としてゲームにも現れる。ジャンルはもちろんサイバーパンク。より無慈悲でディストピア社会と化したメガシティを舞台に、人間模様を繰り広げる。サイバーパンクはそういうものだ。
前置きが無駄に長くなったが、俺は「Star Fetchers : Pilot」について、いま最もダークでDEEPなサイバーパンクであることを証明し、真っ先にプレイしてもらうため、君はこのエントリに付き合っていただく。では、始めよう。

Star Fetchers : Pilotとは何か

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起動した瞬間にネオン看板。そして……。

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Star Fetchers : Pilot is part 1 of a journey following two inner city thugs as they take on the hardest gangster there ever was. Star Fetchers is an adventure huffing on the fumes of 90's midnight TV, delivering a story paved with bizarre scenarios, ugly characters and high paced action. Follow the gang "The Thornz" as they crawl out of the slum and make it to the top.

(ガバガバすぎる直訳:Star Fetchers : Pilotは、2人の凶悪なチンピラが数多のギャングに挑戦する、かつてない冒険物語だ。 Star Fetchersは、90年代深夜テレビ風の雰囲気に包まれた、奇妙なシナリオとキャラクター、ハイペース・アクションでまとめ上げられているストーリーを魅力としている。彼女ら「Thornz」とスラム街からはい出して、ギャングのトップにたどり着け。)

——公式ストアページより。

ここで一つ。「サイバーパンクゲームなのに知らないよ!」そう思われるのも無理はないと言っておく。なぜならこれはインディーズゲームだ。
Steamの荒野では毎日ものすごい数のゲームが生えてきており、プレイされるだけの価値があるのに埋もれることもざらである。あの「UNDERTALE」だって、最初はTobyFox氏の古参ファン、砕いていえば地元で有名レベルのキックスターターから始まったし、尊敬しているダイハードテイルズの「AREA4643」も同様だ。これらは成功したし、実に面白いものである。
しかしながら、良いも悪いも、他のメディアでそのゲームが「出るぞ!」と言われなければよくわからない。ふざけてキーボードを叩いて生まれた「なんやねん」としか言えないものだってある。だがSteamに慈悲はなく、どんなゲームも同様にストアへ並ぶ。本当に無慈悲だ。
インディ、すなわち独立系とはそういう意味である。

つまるところ、Steam内で知名度がフラットに見えるのに、実のところはサメがウヨウヨしているレッドオーシャンという、過酷すぎる環境で生まれている。それにコレを書いている時点で昨日(2020/01/17)配信され、まだどこのゲームメディアも記事にしていないから知らなくて当然である。偶然がなければ俺も見逃していただろう。
だからこそ、一番最新鋭ともいえる。余計なことを考えてゲームを作る必要がないのだ。まず俺が保証するのが、100パーセント純粋なサイバーパンクが喉元に食らいつくことである。

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重酸性雨……打ち捨てられたアンドロイド……DOOMの看板……NEON……ガールスカウトがペニス増大ピルを売るような病んだ社会……要素を上げればきりがないが、開幕からギラギラしたネオン社会の泥の中でもがく男(追記:女の子と明言されました)が浮かない顔して店のゴミを捨てに行く。それだけでも十分な威力がある。それに店に戻れば、

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イヤミな顔した同僚から「豚小屋で新鮮な豚肉を取って来い、自分はやらんが」とか言われて、強引にバットでカワイイ豚さんをスラッシュさせられる始末だ。手は血で汚れる。「これ以下なんてあるのか……?」救いがない。市民的すぎるサイバーパンク側面を捉えているといえるだろう。だからかなり、LOOSERなテイストだった。「こんなひどいのイヤだよお……すぐにでも脱出したい……」このまま腰抜けシミュレーターが続くなら、GTA5でもやろうか、そう思った時のことだった。

危険な世界が待つ

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店が強盗に襲われるのだ。ただ事ではない。この場面転換は強烈だった。このまま凶弾の餌食になるのか? そう思ったらすぐに、デカいサングラスをかけたミステリアスガールが主人公に目を付け、ついでに店の強盗を速攻で斬り殺す。この斬り殺すシーンは自分がプレイできる。

何が言いたいか。

これは剣戟アクションなのである。

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(シンプルな操作体系。直観的)

人間が斬り殺されるのはサイバーパンク世界においても普通のことではなく、あたりまえのように血が出て真っ二つになり一撃で死ぬ。敵も生きるのに必死だから、銃弾だって使ってくるだろう。つまりHOTLINE MIAMI的に、簡単に死に、簡単に殺す相当ハードコアなアクションとして仕上がっていた。けっこう難しいが、スローモードも使え、攻撃をうまく躱して両断してくのは爽快である。

一通りメキシコ格好をした強盗を殺し、一週間後に向かった先はヤクザの事務所。そう、もう戻れない。ミステリアス・ガールとともに「Thornz」となって、「脅威レベル」が上のヤクザを倒しに行く自警団活動を行うことになるのだ。ついでに、事務所を奪うために。生きるため、戦いに行くのだ。「Dog head」が支配する街へと。そんな無謀すぎる挑戦をするTHORNZのメンバーは二人だ。

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Zambeziは、Thornzのリーダーであり、雑貨店店員だったSanyatiに目を付け、銃弾飛び交う世界へ連れて行ったミステリアスなタフガイだ。さっきコミュニティを覗いたらgirlと言われたので女の子だが、肝っ玉の大きさはそこらの野郎の数倍だろう。だが精神面は若干サイコな面があり、(逆噴射先生的に言うなら)真の男か、ただの切り刻んで遊んでいる腰抜けかは見届ける必要がある。

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Sanyatiは、どうしようもない状況で追い込まれた元雑貨店店員であり、どうしようもないから血なまぐさい世界に入ることとなった。画面に最初に出てくるキャラもこの人だ。
もともとが普通の人間(身体能力はなぜか高い)であるので、人を殺すのには抵抗があるし、そもそもあまり乗り気ではない。だが、やるしかないのだ。

君はどちらかを選んだら、すぐにヤクザを抹殺しに行く。

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ルチャドールみたいなやつをどんどん倒し、悪魔主義者みたいな事務所を駆け抜け、刀一つで血の海を作ってゆく。選んだキャラにもよるが、Sanyatiは糸目なのか目を閉じているのか、そんな感じなので、思わず俺は座頭市を思い出していた。涙飲んで、逆さ斬り。無慈悲に前進を続ける。剣のスキルはプレイヤーの方が上であり、通り過ぎた瞬間に敵の胴体と足が吹っ飛んでいることもざらだ。
ダクトみたいなところを滑り落ちる場面があるのでそこでは何となく攻殻機動隊のシーンを思い出した。多分あらゆるネタが詰まっている。それもまた、インディ的でカッコいい。

そして最深部だ。

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このデッドプールみたいなやつがターゲットであり、アサルトライフルを乱射して撃ち殺しに来る。何回かやれば慣れるので、とりあえず死んで覚えて対峙しろ。ただし道中みたいなごり押しは通用せず、敵の銃弾のパターンを見切って、スローを駆使しながら懐に潜り込んで行け。侍の精神である。
このゲームにおいては戦う事=生きることであり、自分も必死なら相手も必死に生きている。詳しいことは言わないが、とりあえずこいつを殺したら、なにかこみあげてくるものがあるだろう。

HIPHOPで、ダーク

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危険レベルは上昇する。格上のヤクザを殺したから当然だ。死体は墓場にも持ってゆく。人を殺したから当然だ。なぜ、こんなことをするのか? こいつらは頭がおかしいのだろうか? そうではない。たしかにZambeziはとてつもなくサイコパスで、人間を殺しても笑っていられる。だがこいつがThornzを結成したのには理由がある。ちょうど墓場の奥の方、空を切り裂かんと伸びるビルの頂上に居座る街の支配者「Doghead」へとケンカを売るためだ。

DOGHEAD。この男だ。

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アヌビスみたいに、多くの血と屍の上に築かれた玉座に座っていそうな風格があり、ビルの頂上にいるから、重酸性雨の空を見るときも影響を受けていない。この世界の頂点にいるといってもいいだろう。だがZambezi曰く、こいつはマザファッカだ。当然だ。自分たちは土砂降りの雨の中、もがくしかないのであるから。
そんな二人が世界を支配するヤクザにケンカを売り、玉座を目指す。これはHIPHOPの成り上がりストーリーであり、曇り空の向こうを目指すロマンでもあるのだ。

だが人々は曇った空に慣れてしまったから精神まで腐ってしまった。

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街を歩けばわかるが、みんな荒んだ顔をして、みんな何か悲観的である。誰もが悪事とは無関係でいられないような雰囲気が漂っており、実際問題、裏社会と何ら関係のなかったSanyatiは暗黒ビジネスに取り組まざるを得なくなってしまったのだ。Zambeziのいうような、「スリル満点」な世界はこいつにとってみれば地獄もいいところである。
それでも、やるしかない。「負け組のままでいるのか?」「ずっと負け組の道を歩いてきた……だけど、この道はまだ歩いてない……」

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僅かばかりの希望を捨てず、Sanyatiは刀を手に取り戦うことを決意するのだ。とにかく、ストーリーラインは第一章だけでも目を見張るものがあり、このエントリを読んだ後でも興奮し、感動を覚えるだろう。暗いサクセスストーリーはたった今始まったばかりだ。スターフェッチャー……星を捕まえられるのか。そういう、世界が待っている。

もちろんビジュアルもすごい

これを書いておかないといけないと思ったので最後にビジュアルについて書く。このゲームのアートワークは独特だ。たまに実写取り込みとかが入ったり、ゴアゴアしいのにキャラがやたらキュートである。このスタイルは恐らく「VaperWave」文化に影響を受けていると思う。ヴェイパーウェーヴについて詳しく説明するともう一つ記事がいるので今は書かないが、「VHSに勝手に録画された深夜ビデオの妖しい雰囲気」を持った曲と思っていただければ十分だ。そのためか、このゲームはどちらかというとVHS全盛の90年代寄りであり、スーパーファミコンのような色数で話が進んでいく。

タイトル画面からそれは証明されている。

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この妖しさよ。まぶしさよ。ぜひともブラウン管で遊びたい。

そしてムービー。ゲームプレイ。これも超興奮する。文字で書くよりも見てもらった方が「キュート&シュール&ポップ&ヒップホップ」なテイストが伝わると思うから、何枚かスクリーンショットを張らせていただく。バイオレンスさも魅力だ。

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非合法ビジネスへ出かける。不安だろう。

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基本的に、アップ画面はMSXとかPC98、FLASHムービーの様。

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キュートなメインキャラクター。ガタイの大きい男はビズを斡旋しに来た。


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サツバツ!

今すぐプレイすべき理由

ここまで読んで、興味を持った方もいるだろう。だけど次に思うのは、「ウィッシュリストに入れて、セールになったら買おう」である。俺がそうだから間違いない。だがこのゲームは超新鮮であり、個人が開発しているインディ・ゲームだ。今やらないと、何かのはずみで製作が遅れたり、ひどいときには消滅することもある。何が言いたいか。「PLAY=応援」である。俺はこの素晴らしいゲームを見つけた。だから、みんなに遊んでもらいたい。そのためにnoteでまとめていつでもオススメできるようにした。みんなもやって、作者の推進力となれ。

それに俺がオススメしやすい理由はもう一つある。これは無料だ。もう一度言う、無料である。やらない手筈はないだろう。数円の電気代だけで、このゲームが遊べてしまうのだ。今完成しているのは予告編パートであり、ゲームボリュームは小さいが、それでも無料公開されているのは作者からの並々ならぬゲームへの覚悟を感じた。「このゲームは絶対面白いから、やれ!」と。だから、それにこたえてプレイすべきだ。
確かにまだバギー(執筆時点で再プレイしたところ、なぜか俺の環境でムービーから進まなくなった。対処法はwinスタートボタンを押したりして切り替えること?)だし、粗削りと思われるかもしれないが、それでもこの勢いに乗るしかないだろう。超オススメ。そういうわけでよろ。

ここにリンクを付けさせていただく。クリック一発、サイバーパンク世界が広がる。

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……ついでに。何かとんでもないインディゲームがあれば教えて。では、またどこかでお会いしよう。ゴキゲンヨウサヨウナラ!

—完—

蛇足おしらせ:ついにボランティア翻訳が完成し、しばらくしたら日本語版が出て遊びやすくなるはずです。良い子の皆さんがこの沼に落ちてくれることをボランティア一同は心よりお待ちしております!

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