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嫌いなのに

話し合いを避けるところ。何を考えてるか口にしないところ。気を遣いすぎるところ。優しさ半分、面倒臭さ半分で喧嘩してくれないところ。でも嫌な気持ちが表情には出ちゃうところ。ひとりで全部決めちゃうところ。我慢しすぎていきなり爆発しちゃうところ。泣いてるくせに悲しくないって強がるところ。

全部全部嫌いなのに、彼を嫌いになんてなれなかった。嫌いになりたかった。

好きな歌も、好きな服も、好きな花も、好きな場所も、好きな映画も。あの頃とは全部違うのに。彼への想いだけが心にずっと残ってる。どうしてこの気持ちだけ色褪せないんだろう。

夜桜に、花火の帰り道、地面を隠す茶色の葉。冷たい海風。どの季節にも彼の匂いがする。

愛してる。たぶん。これが愛かなんてわからないけど。もう生きててくれればそれでいい。素敵な人に囲まれて、幸せでいてね。ひとりで泣かないで。沢山愛されて、沢山笑ってね。私より先に死なないで。大好きだよ。

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