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月見 まる
2020年2月6日 07:19
古い友人が帰宅後、ドミノはようやく自分の時間を取りもどした。部屋に入りると、光を無くした卵達が机の上に転がっている。 「君たちもお休み」 そっと卵を手にすると、棚に置いてある籠の中へ優しく入れてやる。籠には庭の色とりどりの枯れ葉が敷き詰められており、それはまるで本当に鳥の巣で守られている卵の様だ、とドミノはいつも思う。 視線を上段に向けると、鍵のかかるガラス扉。そこにはずらり
2020年2月5日 07:18
小さな備え付けのテーブルに並ぶ果実入り紅茶が2つ。しかし、1つはドングリのかさで作った、ラルーの為の小さなコップだ。ラルーは尻尾の立派な、小さなリスだ。 出会った頃より白い毛が増えたように見えるが、それでも山で見かけるどのリス達よりもフワフワとした柔らかい尾を持ってくる。 ドミノはラルーのその滑らかな毛並みを見つめ、墓で眠る王達の事を思った。 世界が始まった時、8人の王達は神に
2020年2月2日 18:43
神の食卓にある卵。「さて、これはゆで卵か、なま卵か」しかし、答えるものは誰もいない。では、ここで賭けをしよう。神はそう言って目を閉じた。「ゆで卵であったなら新しい命を…… なま卵であったなら新しい世界を」卵は神の手から離れ、床に叩きつけられた。殻にヒビが入る小さな音が神の耳にも届いた。神はしばらく床に転がる卵を見下ろしていた。中からは何も出てこない。「答は出たみた