見出し画像

伝統文化は資本主義の大敵


 日本のマスコミは、「何者か」に乗っ取られている。そしてその「何者か」が、日本を弱体化するために、この国の伝統文化を滅ぼそうとしている。かつての帝国を擁する支配民族は、被支配民族にたいし必ずその伝統文化を破壊し、弱体化しようとした。


 
 人間が、民族がどうすれば秩序だってそれなりに幸福に生きれるのか、誰に分かるだろう?その答えは、その民族が数千年かけて蓄積してきた、叡智の中にしか存在しない。ゆえにその叡智が滅ぼされれば、その民族は必ず迷走し、弱体化していくことになる。いわば伝統破壊とは、愚民化政策そのものなのだ。それと同じことを、現代の日本はされている。まあこれじたいは、人類の歴史の中では、ごくごくありふれたことではある。


 
 その「何者か」が、誰なのかはわからない。しかし推測し、仮説を立てることはできる。それは理詰めで考えれば、それは当然この世界の支配者たちということになるだろう。つまりこの資本主義というシステムの支配者である、大資本家、大富豪たちである。やはり、ディープステート的なものが存在し、裏から資本主義国を操っているのだと、筆者は思う。

 
 
 しかしこれはあくまでも筆者の推測であり、信じるか信じないかは読者の方々のご自由である。ただ確実なのは、この国のマスコミ、いや、この国じたいを背後から操る、「何者か」がいる、ということだ。


            。。。。。


 アメリカは、この30年でGDPが3倍にも成長した。それなら労働者の給料も3倍にならなければおかしいのだが、下から70%の労働者の給料はまったく増えていない。その増加した富は、すべて上澄みの人々の懐に入った。そしていまやアメリカは、上位1%の富裕層が、富の30%を独占するという異常な格差社会である。


 戦前、1909年のイギリスでは、2%の富裕層が、国富の71・7%を独占していた。そして65%の貧困層は、1・7%の富しか得ていなかった。資本主義というシステムでは、国家が制限をかけなければ必ずこうなる。この状況に触発され、ロシアでは共産革命がおこり、ドイツではナチス、イタリアではファシスト党が台頭し、両国はファシズム政党の独裁国家となった。つまりアメリカは、先祖返りをおこしているというわけだ。


 日本では、まだここまで行ってはいない。ただ、下層の労働者が使い捨てにされているだけだ。しかしこの先社会のAI化が進めば、このAI利権を握った上位1%の富裕層が、富を独占するようになるのだろう。つまりこの社会は、1%の富裕層と99%の貧乏人に分断されることになる。そうなればおそらく、日本と西側諸国の各地に高い壁で囲まれた富裕層専用のゲートシティができ、そこを金持ち連中がプライベートジェットで移動する、といったような超格差社会になるのだろう。


 そうなれば、暴動、革命は必至である。


 現代では、共産革命はまずおこらない。しかしファシズム革命なら、十分おこりうる。ファシズムとは、「伝統文化の下に国民が団結し、資本家たちの専横に対抗しよう」、というシステムである。国家が資本家の自由に、強力な制限をかけるシステムである。ムッソリーニなどは、労働者を不当解雇する経営者を監獄に叩き込んだりしていた。現代の日本なら、竹中及びパソナの経営陣はみな監獄行きである。清々しい。政治はかくあるべしだ。


 現代では、ロシアが典型的なファシズム国家である。90年代のロシアでは、ハ人の大富豪が有する八大財閥がGDPの30%を独占するという、異常な格差社会だった。そしてこの八人の大富豪たちが、政治を裏側から支配していた。ロシア版ディープステートである。日本に例えれば、ユニクロの柳井氏、楽天の三木谷氏、そしてホリエモン以下八人がこの国のGDPの30%、150兆円を独占しているようなものだ。あの大三菱の経済圏ですら、7兆円である。いかにありえないことだかがわかる。


 しかしプーチンは大統領に就任するやいなや、この大富豪たちにこう言い放った。

 
「経済は自由にやっていい。しかし、政治に口出しすることは許さない」と。

 
 もちろんこの大富豪たちが、そんなことを聞くわけがない。するとプーチンはこの八大財閥をすべて潰し、全財産を没収し、その金を全部、ご老人たちにばら撒いてしまった(正確には老人年金基金に組み込んだ)凄まじいまでの荒っぽさだが、これこそがファシズム政治の真骨頂でもある。


 ゆえにロシアでは日本のように、非正規労働者がモノのように使い捨てにされ、結婚すらできないような状況に置かれている、といったことはない。彼の国では、真面目に働いてさえいれば結婚し、子供を作ることぐらいはなんとかできる、というシステムでやっているようだ。政治は怖いが、反面、資本主義のえげつなさはかなり抑制されている。これが、ファシズム国家である。


 アメリカはここ20年、ロシア、ウクライナに工作員を派遣し、内部から攪乱工作をやり続けてきた。2014年には、ウクライナの親露派政権を打倒するようなことまでやってのけた。究極の内政干渉だ。これは、世情言われているように、悪のプーチンを打倒しなければならぬという正義感からではもちろんない。これは一つには、ファシズム政権憎しである。


 前述したように、アメリカは1%の富裕層が国富の30%を独占している。かつてのロシアと、酷似しているわけだ。アメリカの貧困層の人々が、このロシアの事例から学んだらどうなるだろう。

 
 
 「ロシアに学べ!ファシズム国家の建設だ!金持ち連中の独占する金を奪っちまえ!」


 
 こう言って蜂起しないとも限らない。去勢されてしまったような感のあるわが日本とは違い、アメリカ人には、それくらいの荒っぽさはある。彼らは、戦うときは本気で戦う。少なくとも、テロが頻発するくらいの状況には、十分なりうるだろう。


 つまりファシズム政治が飛び火してきたら、西側諸国の体制は崩壊まではいかなくとも、分裂するくらいの可能性はでてくる。だからこそ、プーチンはあれほど西側諸国のエスタブリッシュメント層から憎まれているわけだ。プーチンは民主主義の敵ではない、大富豪連の敵なのだ。ここを見誤ると、訳が分からなくなる。


 つまりウクライナ戦争とは、資本主義国家VSファシズム国家の代理戦争の場でもある。正反対の体制間での、生存闘争なのだ。男女平等をめざす進歩思想といわれるフェミニズムが、じつは男と女という属性間の泥臭い権力闘争の道具にすぎなかった、というのと同じようなものだ。


 
 中国もまた、共産党が力ずくで資本家たちを押さえつける、ファシズム国家の、いわば亜種である。名前とは、じつは逆なのだ。西ヨーロッパの極右政党も伝統文化を崇拝し、移民の受け入れを阻止するという点で、ファシズム的な政党である(ちなみに西ヨーロッパの極右政党は、ロシアと背後でつながっている)


 資本主義というシステムは、必ずごく少数の金持ちが富を独占するようになる。歴史的に、そんなことはさせないと人々は共産主義(左派)とファシズム(右派)で対抗してきた。共産主義は、あえなく滅んだ。しかしファシズムはいまだ意気軒昂で、日本だけがこの流れに取り残されているのだ。そしてこのファシズムの核になるのが、伝統文化なのだ。伝統文化なくして、ファシズムは絶対に成立しない。


 だからこそ、資本主義の最前線を走っている日本では、これだけ伝統文化が蔑まれているわけだ。もはや日本では、伝統文化とは時代遅れの、人間を不当に抑圧する拘束であるとしかとらえられていない。日本人、特に若者たちは、伝統文化にツバを吐きかけ、それから逃れることこそが自由であると思いこんでいる。


 完全にズレている。その伝統文化に対する蔑みは、この資本主義というシステムの支配者たちの思惑からきているのだ。彼ら大資本家たちは、ファシズムが怖くて怖くてたまらない。だから、何としても伝統文化を滅ぼすべしと決意している。


 ゆえに反伝統のリベラリズムとフェミニズムを流布し、軽蔑という毒でもって日本の伝統を滅ぼそうと画策しているわけだ。わが国のリベラリストやフェミニストたちは、伝統に対しつねに軽蔑でもって攻撃してくる。


 「古臭い!、非合理的だ!、パターナリズムだ!、男尊女卑だ!、女性蔑視だ!」

 
 彼らは、つねにうんざりするようなワンパターンの軽蔑の言葉を投げつけてくる。文化人でありながら、決して知性と論理でくることがない。彼ら左派連中の浅知恵では、伝統文化を論理で崩壊させることなどできないからだ。いや、知性と論理でやるならば、いかなる人間にも伝統文化の正当性を否定することなどできない。


 しかし軽蔑という非知性的な毒を飲ませてしまえば、人々は自らの手で伝統文化を破壊するようになるのである。


 日本では、この企みは成功した。伝統文化は完膚なきまでに破壊されている。さらに人々は完全にバラバラで、しかも男と女、若者世代と中高年世代でいがみあっている。完璧だ。「分断して統治せよ」の、お手本のような状態である。これならば人々は、来るべく超格差社会においても、決して支配層に反抗することはないだろう。じじつこの国の貧困層の人々は、先進国の中でも突出して使い捨てにされているが、ここ20年間ほとんど反抗の一つもできていない。


 日本人同士で団結するための長幼の序の文化も、敢闘精神を惹起する男らしさの規範も、すでに破壊されてしまっているからだ。われわれ日本人には、支配者たちに反抗するための文化が、すでに何もないのだ。


 リベラル文化人は、若者たちは、「伝統なんてクソだぜ」と言い放ち、伝統に汚されていないオレたち若者世代こそが、真に自由で高貴な存在なのだと嘯いている。しかし精神的なるものは何もなく、秩序のタガは外れ、それをなんとかして辻褄あわせをしようとして精神的に疲弊しきっている、ということにはまったく気づいていない。この国の人々にいちばん合った伝統文化という基準を破壊され、出口の見えない迷宮に入り込み、苦しみぬいているというのは明白だが、そこはまったく見えていない。

 
 
 
 自由の名の下の、恐ろしいまでの空虚。



 いまの時代を一言で表現するならば、こんな感じだ。そしてこの狂気を演出しているのが、この世界の支配者たちであるということに、そろそろ日本人は気づくべきではないだろうか。その国の伝統文化が破壊され、人々が対立させられているとしたならば、合理的に考えれば、その分断工作を仕掛けているのは、その世界の支配者たちしかありえないのだ。


 


 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?