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転職して2年間、PRと向き合い続けて気づいた大切なこと

キンモクセイの香りで、いつの間にか夏が過ぎ去っていたことに気づく。10月に入り、新天地に向かったり新しい挑戦を始める人たちの投稿であふれるSNSをぼんやりと眺めながら、気づけばぼく自身も転職をしてからの日々を振り返っていた。

もうすぐまたひとつ歳をとる。

33歳で転職してから決して平坦な道ではなかったこの2年間で感じたことを整理して次のステージに向かいたい、という思いから、久しぶりにnoteをひらいたのである。

ぼくの好きな常套句を久しぶりに使うなら、もしあなたの人生の大切な時間を5分ほどいただけるのであれば、最後までお付き合いいただきたい。

1.スーパーサイヤ人にはすぐにはなれない

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▲入社2週間くらいのときに撮影した集合写真

PR Tableに入社直後、資金調達や大規模PRカンファレンスを終え、興奮冷めやらぬ中で書いたnoteで、ぼくはこんなことを綴っていた。

いきなりスーパーサイヤ人になれるわけがない。それはもう毎日毎日、何倍もの負荷をかけた修行の日々を過ごしながら、穏やかな怒りが訪れるのを待つしかないのだ。

そう、このとき僕は予感していた。これから訪れるであろう厳しい修行の日々を。そしてスーパーサイヤ人になるための道は決して平坦ではないことを。

カンファレンスを終えたあと自身の役割としては、PRの啓蒙活動であるPR Table Communityの活動を続けながら、事業サイドではマーケ(当時はインサイドセールスも兼ねていた)を経て、既存顧客向けのコンサルタントとしていわば顧客を成功に導くためのカスタマーサクセス的役割を中心に担うようになっていった。

リード獲得から受注、更新までのSaaSの一連の流れすべてに関わり、その時々に応じて役割を変えながら走り続けることは、僕自身が望んでいたことだし、いわばSaaSスタートアップで働く人たちの宿命かもしれない。

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▲イベントを企画・実行しまくっていたオフラインおじさん時代の思い出

そうした中で、これまで積み上げてきた経験を元に期待される役割と、自分が出せるアウトプットとのギャップに苦しむことも徐々に増えていった。顧客の満足度を充分に満たせるようなプロダクトやサービスが提供できないもどかしさ、それによって足元の数字が作れないことで会社に貢献できていないのではないか、という罪悪感に苛まれるようになっていった。

日々生じる胸が熱くなる体験を忘れぬよう書きためておきたい、という思いからはじめた「週刊ムネアツ」は平成の終わりと共に一旦役目を終え、いつしかその言葉自体に違和感を感じて使わないようになっていったのだった。

2.誰もが十人十色の素晴らしいストーリーを持っている

PR Tableという会社は、企業で働くタレント(社員)に光を当て、彼ら彼女らを主役としたコンテンツを発信することで企業のブランディングを高めていくためのプロダクトやサポートを提供している。

そうした手法を僕らの言葉で”タレントブランディング”と呼んでいるのだが、時勢も相まってそうしたコンテンツづくりをオンラインでサポートする機会が2020年に入ってから増えるようになっていった。

企業の担当者と一緒に、毎日たくさんのタレント(社員)とお話をする機会が増え、自分たちがやっている仕事の素晴らしさを再認識し、顧客と向き合うことの素晴らしさや自身がすべきことの解像度が確実に上がっていった。

コロナが少しずつ世間を騒がせ始めた頃だったろうか。

このまま会社に対しての罪悪感を抱きながら、ふがいない自分のままで仕事を続けていくべきかというのを本気で悩んでいた時期に、経営陣全員と対峙してこれからの話をする機会をもらえることがあった。

そこでは自身のこれまでの甘えや弱さをすべて曝け出し、プライドを断ち切ることができた。自身が出来ることを再認識し、この会社の航海を見届けるために覚悟を決めようと改めて誓うことができた。あのとき、あのタイミングで機会をもらえたことを、経営陣には本当に感謝している。

3.PRという枠組みや職種にこだわらなくても良い

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”Public Relations”とはいったい何なのか。

「企業を取り巻くステークホルダーとの良好な関係構築」といういわば概念としてのPRを拡張していけばいくほど、自身の手触り感はなくなっていき、いくら探究し続けても足りないのではないか、という感覚に襲われる。

今振り返ると、そうしたことに囚われ過ぎて、目の前の事業やプロダクトをどう伸ばしていくか。目の前で困っている顧客に対してどう向き合うのか、というコトに向かってシンプルに向き合うことが出来ていなかったのかもしれない。

「全員がPRパーソンである」というPR Tableが元々持っている考えを実装し、マーケであれセールスであれCSであれ、どんな職種でもPublic RelationsをOSとしてインストールして行動していれば自ずと結果を出せるようになるはずである。

ぼく自身、これからの人生をPRに張る、と覚悟して転職を決意したわけだが、PRパーソンという枠組みや職種にこだわらなくてもいいんじゃないか、と思えるようになったのは大きな変化だったかもしれない。

4.PRと一緒に長く暮らしていくためには”好き”だけじゃ続かない

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たまたま奇跡的なことに、12月12日はPR Tableの創立記念日であり、ぼく個人の結婚記念日でもある。PR Tableはもうすぐ7年目、僕は結婚生活12年目に入る。

誰もが想像できることだとは思うが、ただ盲目的に「好き好き!」って言ってるだけで結婚生活は長くは続かないし、お互いの価値観を尊重し、長所短所を補い合いながら、どのように関係性を築いていけるかがとても大事だ。いわば共通の目標や課題を日々乗り越え続けていくパートナーとしての関係性を築いていかなければならないと思う。

”Public Relations”という言葉が持つ意味や概念に対して、ぼくは当初はどこか憧れのようなものを抱いており、「PRと両想いになりたい!」と言っていた。いわばPRに恋をしていたわけだ。

今はそうしたフェーズはすでに過ぎて、お互いそれなりに知り合った上で、ではどのように良好な関係を築いていきましょうかね?と、PRと手を取り合って未来に向かっていくような、そんな感覚を持つようになってきた。

長く付き合っていきたい、一緒に良い関係を作っていきたいからこその適切な距離感を今後も大事にしていきたい。

5.「強くて、優しくて、かっこいい」ひとになりたい

誰か一人のトッププレイヤーがいるわけでもない、スーパーサイヤ人が揃っているわけではない。だけど“Every dog has his day”「どんな人にも主役になる日がある」

それはまさにPR Tableという会社を表していると思うし、僕らが提供しているサービスのコンセプトにも通じると感じる。

「強くて、優しくて、かっこいい」

スラムダンクのメガネくんのように、全国制覇を本気で目指し、いつかくるその日を信じ続けて仲間と高め合う強さと優しさを持ち、誰かのために頑張れるかっこいい人になりたいし、そういう人が集まる会社にしていきたい。

6.移動はできなくても、行動はできる

コロナによって、完全リモートワーク生活になって半年が過ぎた。

▲リモートワークも慣れてくるとこんなことになる

正直、これまで10年間の生活は一体なんだったのだろうと思う。毎日終電近くまで働くか飲みに行くかで、平日夜はまともに家族とご飯を食べた記憶はないし、土日以外はずっと外で生活していたようなものだ。

一方、今では家族と毎日一緒に晩御飯を食べてお風呂にも入ることができるのに、仕事ができる時間も増えているという不思議な感覚に襲われる。

この半年間はある意味、事業に集中することを決断したことで自分にとってはそれ以外のことを一旦あきらめた半年でもあった。

満を辞して発表し、2月末に予定していた「PR CAMP」のキックオフイベントはコロナの影響で中止となった。

正直オンラインでもまず小規模で開始していくことは出来るのかもしれない。ただそこからまだ再開に至っていないのは、自分自身の気持ちや環境の変化が大きい部分もあるし、中途半端にはじめてまたストップしてしまうくらいなら、長期スパンで腰を据えて取り組みたいことだからだ。

期待して待ってくれている方や関係者の皆さまには、改めてしっかりと説明責任を果たしていきたいと思う。

一方、リモート環境の中で新しく始めた取り組みも多々ある。

サワディーさんとstand fmではじめた「#きょうのPRラジオ」だ。

最新のPR事例や世の中の話題を取り上げたり、気になるPRパーソンをバトン繋ぎでゲストに呼んでいく企画など、好き勝手に語り尽くしている。

▼「PR」を軸にそれぞれのキャリアを振り返ってみた回

こちらは緊急事態宣言の最中4月から開始してすでに19回も続いているが、実はなんと今まで一度も直接会うことなくリモート収録のみで進行している。そもそも顔すら見ずにすべて音声のみでやりとりしている。一度も会ってないのに、もはや心は通じ合っている感覚はとても不思議だ。

ある意味、PRの探究活動とも言えるが、趣味が講じた活動とも言えるので、PRと良い距離感を保てるようになったからこそ続けられているなと感じる。

7.フェアな関係性において、チャンスが生まれる

最後に、この2年間で特に意識するようになったテーマが「関係性」だ。

パートナー、友人、同僚、社会など、生きていく上で「関係性」から逃れることはできず、世の中のほとんどの悩みはそこにまつわるコミュニケーションから生まれているのではないかとも思う。

例えば、これまで企業と従業員の関係はフェアな状態ではなかったが、それが時代と共に変化してきている。

PR Tableは常に自分に対してフェアに接してくれたし、選択権があることで自身のキャリアにもチャンスが生まれてきたと感じる。

逆に言うと、関係性がフェアになることで、企業は従業員からモテるための努力をしていかなければいけない。家族やパートナーなどどんな関係性においても、フェアな関係が実現されるようになれば、より社会は良くなっていくはず。PR Tableを通して「あらゆる関係性をフェアにする」ことに果敢に挑戦していきたいと思う。

これからぼくの3年目の修行の日々がはじまる。

スーパーサイヤ人にはまだまだなれそうにないけれど。

2020.10.24 クボケイタ

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▲1年くらい前に撮った憧れの"ここではないどこかを眼差す"ポーズ(Photo by Takuya Sakawaki )



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