【前編】こんぴらさんと、おうどんと。娘と2人、香川旅。
「うどんの食べ歩きしたいねん」
末娘がぽそりと言った。
彼女は食べることが大好きだ。暇さえあれば食べている。休日には友達と食べ歩きに出かけたり、食べ放題の店に行ったり、牛丼屋めぐりをしたり。食に費やすエネルギーは、華のJKとは思えないほどだ。
今までの娘との旅行を振り返っても、あのテーマパークに行ってみたいから〇〇県に行こう!ではなく、カニが食べたいから〇〇県に行こう、ホタルイカが食べたいから〇〇県に行こう、というパターンが多かった。
「うん、ほんなら香川に行こう!」
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関西圏から香川までそれほど遠くはない。交通手段はいろいろあるが、今回は岡山まで新幹線に乗り、岡山から高松まで快速マリンライナー(瀬戸大橋横断)を使った。
お昼過ぎに高松に到着。ホテルに荷物を預けてから、早速「ことでん」に乗り、おうどん屋さんめぐりスタート。
「ことでん」は2両編成のローカル列車で、フォルムや色がめちゃくちゃキュート。ICカードではなく紙の切符を買えば、駅員さんがハサミを入れてくれるというのを聞き、乗るたびに紙の切符を買った。車内の雰囲気や駅舎のたたずまい、沿線に広がる風景など、わたしが高校時代に愛用していた電車によく似ていて、とても懐かしい気もちになった。
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1軒目のおうどん屋さんは、讃岐うどん「上原屋本店」。
13時過ぎに到着。すでに30人以上は並んでいたが、みんなツルッと食べて帰るので20分も並ばなかったと思う。店内は地元の高校生グループ、観光客、外国の人などで賑わっていた。
昆布やうるめで取ったあっさり風味の出汁に、モチモチしなやかな食感のおうどん。めちゃくちゃ美味しい!娘はザルうどん+かき揚げを食べ、美味しすぎて悶絶していた。
「おうどんって、こんなに美味しかったっけ?」娘と話しながらブラブラ歩いて、2軒目を目指す。
♢
2軒目のおうどん屋さんは、元祖セルフうどんの店「竹清(ちくせい)」。
14時ころだったが、店内には多くのお客さんがいた。1番人気の「竹清うどん」を注文。店のおばちゃんが「半熟卵天とちくわ天が自慢よ!」と教えてくれたので、それもあわせて注文する。
弾力とコシのある麺に、半熟卵の黄身がからんで旨い。娘は釜揚げうどんにちくわ天。かけうどんで食べるよりも、釜揚げはさらにコシがある。ちくわ天もビックリするくらいの美味しさ!
お腹もいい感じで膨れてきたが、そそくさと次のお店を目指す母娘。狙いを定めている3軒目のお店の閉店時間は15時。急がねば!早歩きでお店に向かい、ギリギリセーフで滑り込む。
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3軒目のおうどん屋さんは、さか枝うどん本店。
高松のど真ん中にあって、ビジネスマンや大学生など地元の人にもこよなく愛されている超人気店。テレビなどで、讃岐うどんの代表店として取り上げられることも多いらしい。
閉店ギリギリに行ったので、60種類以上もあるという名物天ぷらはすべて完売していた。残念すぎる。
これが小サイズ?と驚くくらい麺がたっぷり。小麦の素朴な味がする太麺で、ほどよい弾力感で食べやすい。いりこベースで5種類のかつおから取った出汁の香りがよく、美味しくて飲み干しました。
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この時点で、娘もわたしもお腹パンパン。グルテンフリーどころかフルグルテン。
「もう無理やー。なんっも入らん」
お腹をなでながらホテルまでの道を歩いていると・・・ん?なになに?これはガイドブックに載っていたあのお店では!行かねば!
香川の郷土料理が味わえるカフェ「甘味茶屋 ぶどうの木」。
お目当ては、香川県でお正月に食べる「あんもち雑煮」。
お雑煮は地域によってさまざま。「秘密のケンミンSHOW」などでも紹介されていたけれど、香川のお雑煮「白みそとあんもち」の組み合わせがまったく想像できなかったので、1度食べてみたかった。
大きなまんまるのあんもち、ニンジン、大根が入っている。今まで食べたことのない味。白みその塩味とあんもちの甘さって、意外に合うのね。あんこが思っていたよりも多く入っている。出汁も程よく効いていて、なんとも優しいハーモニー。おもち自体の味もいい。ちょこっと添えてある「しょうゆ豆」の塩気もGood!
美味しかったので、帰り際にお店のお母さんにそう伝え、話を聞いてみた。家庭で食べるあんもち雑煮には、他にもいろんな具材が入るらしい。ごぼう、サトイモ、鶏肉などが入ったりして、家ごとにオリジナルの味があるんだとか。
♢
ほっこりした気もちでホテルに到着。
「こんなにお腹いっぱいやから、もう夜ごはんいらんわ」2人ともそう言っていたが、夜9時くらいになるとお腹がすいてきた。
「行っとく?」
「そりゃ行くやろー」
「ほんなら行こかー!」
というわけで、夜だけ営業しているおうどん屋さんへ。
4軒目のおうどん屋さんは、「手打ちうどん 鶴丸」。
飲み屋さんエリアにある、深夜まで営業するお店。行ったときには長い行列ができていたが、そこを行き交う地元のサラリーマンが「あぁ、鶴丸さん、今日も行列できてるわ。また来週にしようか」と言っていたので、いつも混んでいるらしい。
〆の一杯にピッタリという看板メニューは、特性スパイスの効いたカレーうどん。
看板メニューだけあって、周囲のほとんどの人がカレーうどんを注文していた。シンプルに美味しい。うどんも美味しいし、カレーも美味しいし、出汁も美味しい。コクがあるのにしつこくない。
シャキシャキの玉ねぎとモチモチのおうどんに、スパイス香るスープが絡んでいて絶妙。だれが食べても「美味しい!」となるカレーうどん。スープも全部飲み干しました!
「うどんの食べ歩きできて、満足やわぁ」
嬉しそうな娘の笑顔、それに勝るものはありません。
明日はこんぴらさんにお参りしてから、おうどんを食べる予定。
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