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食い物イキリシリーズその2「どうして蒙古タンメン中本で北極を頼んでしまうのか」

貴方は人から聞いてもいないのに「俺CoCo壱の10辛食ったことあるから(ドヤァッ)」ってされたこと、ありませんか?

「スナックバス江」より

これはCoCo壱を色んなモノに入れ替えても成立する。我が家ではこれやこれに類する行為を「辛味イキリ」と言う。まぁ聞いてくれよ。

「スナックバス江」より

俺がかつて恥ずかしかったのは、ほぼ地元である東京都福生市にある「アリババ」というカレーの有名店に家族で行った時のこと、今から25年ぐらい前だろうか?

父が店員さんに対しカレーを10辛でと頼んだところ、当時「一度当店で6辛以上を食べた人にのみ、10辛を提供させていただいているんですよ」的に店のルールを100%の丁寧さにて対応してくれたのだが、そこは現在80を超えるバリバリ昭和初期、戦前生まれの店員にやたらフレンドリーに話かける世代の父は違う。

「いや私はね、辛さには強いんですよ。若い頃は東南アジアとかの唐辛子たっぷりの食い物を平気で食べたモンだ、だから辛いのは平気なんですよワハハ」

的な回答をかました。簡略化して書いたが、多分この3倍量くらいどうでもいい辛いモン食った話をたっぷりして、まぁ結果として店の人もこういった老年世代の辛味自慢に慣れていたのだろう、あっさりと10辛を提供してくれた。

「スナックバス江」より。当時反抗期辺りだった俺はこんな心境でそれを見てたワケよ。

いざ10辛を食い始めたら「これは辛い、辛すぎる‼︎」「いやー辛い、こんな辛いモノは久しぶりだ‼︎」とヒーヒー言いながら汗だくになりながらなんとか完食はした。店の人に心配されながらも「いやーなかなかやりますなー、でも私は若い頃もっと辛いモノを食べたことがあるんですよーワハハ」みたいな、知らねえよって感じの強がりをかます。これもこの文章の3倍量くらいはしゃべっていただろう。

「スナックバス江」より

「なぜ辛いモノを食ったところで賞金をくれる訳でもなし、なのに何故父はあんな無様な姿を周りに晒して強がっているのか? 端的にあんな大人にはなりたくない……」とティーンエイジャーの俺は思ったモノだったのであーる。

当時はこの言葉はなかったというか、この概念が俺の中にはなかったがつまり現在で言うところの「イキリ」である。この「俺激辛食えるぜ‼︎」というイキリはウチの父に限らず、多くのところで見られる光景だろう。何故ならば、そんな父を蔑んでいた俺ですらやってしまうのだから……

Twitterかなんかで見たけど、辛味のイキリというかマウントは老若男女DQNオタクに関わらずマウントを取れる、マウントオールラウンダーだ的な話を見て納得した記憶もあるな。手っ取り早く他人に対して出来る自慢みたいなね。

「スナックバス江」より。結局血は争えない。

と言う訳で前置きが長かったけれども、今回は恐らく今首都圏で最も辛味イキリが発生する場であろう(俺調べ)蒙古タンメン中本でのイキリだ‼︎ 覚悟しろ‼︎

蒙古タンメン中本 初回(立川店)

俺は何年か前まで、妻や友人へ「俺辛いものは得意じゃないが、別に食えないワケじゃないんだぜへへ」と謎の強がりをした挙句にちょっと辛そうなモノを頼み、辛さにやられるという上の父親と何が違うねんというムーブをかましがちだったようだ。

「スナックバス江」より。要はそう言うことだが、それはそれでまた違う話もある‼︎

そんな普段ラーメン好きな俺が、はっきり意識的に避けていた店といえば中本だ。存在自体は2010年頃から当時の職場近辺にあったので知っていた。当然会社でもたまに話題になって、先輩からは「辛いけど旨いから、ラーメン好きなら1回食った方がいいよ」的なことも言われていた。しかしニュータンタンメン辺りのピリ辛は全然いけるけど、中本の辛さはガチ‼︎なんて感じのイメージがとにかくあった。なんとなく、食った後にダメージを受けそうで怖かったしな。

冷静に考えると、口の中を散々痛めつけた上に何故金を払わねばならぬのか、と……

「スナックバス江」より。ただ痛いモノを食べて金を払う気には……

とはいえYouTube全盛時代、かつては海のものとも山のものとも分からなければ実際その場に赴き食ってみなければ分からなかったが、実際に動画で食った様子をアップしてる人は膨大であるワケよ。たまに見ると、皆口を揃えて言うのが「辛いけど、辛さの中に旨味がある‼︎」というような事。もちろん表立って「マズい‼︎」というこたぁいくらYouTubeでもねぇだろうと思うけど、ただ辛いだけならばこんなに流行らないんじゃないの? と思っていたのも事実。いつかタイミングがあればと思っていた2021年9月、noterでありリアル友人のヤマタカ.com氏(https://note.com/yamataka_1984)とLINEしていた時にふと彼が言った。

「そういえば蒙古タンメン中本って食った事ないけど、ある?」

この後諸々すったもんだあって結局行くことにしたんだが、最初にこのLINEを受け取った時の俺の心境は「とうとう来たなこの時が」だった。

「フリースタイルダンジョン」より

てなこってマイファースト中本は立川店。頼んだメニューは当然蒙古タンメン。……だったが辛さが不安だったので、辛さがマイルドになるとの話があったのでバターと背脂をトッピングした‼︎(いやこれはただ俺がデブだからか?)

蒙古タンメン大盛りにトッピングでバター&背脂

で、結論から言えば旨えのよコレが‼︎ 馬鹿みたいな事を言えばホントに「辛さの中に旨味がある」のよ‼︎ これには味噌ラーメンにはうるさいヤマタカ.com氏も「これは俺が好きな味噌ラーメンてカテゴリーのものではないけど、旨いわ‼︎」的なリアクションで絶賛。

「将太の寿司」より

なんつーか40近くなってくるとなかなか新しい味覚に出会うことがないというか、知ってる味の中で旨いものを求めてく感じってかね。そんな中で知ってる感じの味なのに辛さがアクセントになってる味噌ラーメンて感じで、ホントに旨かった。自分の中ではめちゃくちゃ新しい感じのジャンルだったので、それも含めて良かったんだよなぁ。

2回目(上板橋本店)

その1ヶ月後の話。すっかり中本の辛いラーメンを食って俺は潜在的に調子コイていたのだろう。会社の飲み会(赤羽)で泥酔した後、散々「中本は旨い‼︎」「辛いけど旨味がある‼︎」等を力説していたらしい……

「スナックバス江」より。記憶がない時の酒では大体やらかしててつらいよ‼︎ 皆もするといい、注意。

その勢いで「2次会は中本本店へ‼︎」と騒ぎ、なんとわざわざ上司と同僚1人がタクシーで上板橋まで着いて行ってくれたのだ。尚、俺は中本の店内でもギャーギャー騒いでいたらしく店員にも結構怒られてたらしいスマン‼︎

さっきから「らしい」を連呼しているのは当然酒に酔って記憶がないからである。だが、上板橋本店に行った記憶はある。これはなぜか? 

結論から言えば酔って自分を見失った俺は当然イキり、なんと「北極」を注文したようだ。その余りの辛さに食ってた終盤に完全に酔いが覚めて正気に戻ったのであった……

「スナックバス江」より

なんとか途中で背脂を追加し完食したものの、酔いはすっかり醒め、口と喉と次の日のケ○の穴に多大なダメージを受け(まぁ事前の酒の分もあろうが)、若干会社での扱いにも響く等まるでメリットのない結果に。

しかしまぁ、泥酔を正気に戻す食い物なんてそうそうあるまい。そういう意味ではやはり強烈な体験であり、なんならやはり旨いなと思ったのも事実。あとお酒の飲み過ぎは体調的にも社会的にも身を滅ぼすので注意‼︎(この時の写真もあるんだけど、汚すぎたので割愛‼︎)

「スナックバス江」より。何故人は酒で同じ失敗を繰り返すのか……

まぁここでも繰り返される「イキり」である。泥酔していたとは言え、北極を頼むということは俺の心の中でどこかに「まぁ言うて全然食えたんだから、北極も食えるんじゃないの?」という慢心があったのだ。間違いなく‼︎ だから辛いモノ得意じゃないと分かっているはずなのに繰り返す、何なんだ俺は‼︎

「スナックバス江」より。まぁおっさんはただでさえ同じ話を何度もするしな……


3回目(秋津店)

そして割と最近。ウチのカミさんが何故か中本食いたいと言い出す。普段さまざまな芸能人が中本で苦しむ様のYouTube(江頭2:50、中川翔子等)を見て楽しんでいたものの、あまり中本そのものに興味を示さなかったが何故か芸人「タイムマシーン3号」のYouTube中本回を見て以降、興味が出て食べたくなったとの事。

タイムマシーン3号のYouTubeは面白いな‼︎

カミさんから辛くないのはどれだと聞かれ

蒙古タンメンで5辛
北極は9辛
味噌タンメンで3辛という説明をしたがまるで理解されず、「結局辛いんでしょ?」と言われたが「北極は辛いが、他は多分行けるのでは?」と言ったが信用できんとのこと。「んじゃまったく辛くない塩タンメンにしたら?」と提案しても「それじゃつまらん」というので、結果当日のフィーリングで決めるという危険な解答。

「スナックバス江」より

という訳でウチから1番近い立川店へ電車で行ったところまさかの定休日だったというハプニングがあり(というか中本に定休日があると思ってなかった俺の確認不足)、このまま引き返せるかと秋津店へ電車で移動してまで食いに行った‼︎ 秋津店、平日13時ごろなのに並びができてたなぁ。

カミさんは結局蒙古タンメン(5辛)を頼み、俺は五目蒙古タンメン(6辛)大盛りに辛さ対策で背脂とバターをトッピング。

ライスも忘れずにね‼︎

俺の結論としてはやっぱこれでも辛いしかし旨い‼︎ という感じなので、中本を楽しむ辛さ強くない勢としては絶妙な辛さなのではないかという感じ。

それを証拠に、実はカミさんにもオーダーミスで五目蒙古タンメンが来た(多分俺がわちゃわちゃ食券買いまくったからかな?)ので食ってたが、辛いが旨くてスルスル入るとのことだったので、やはり概ね辛さに強くない人でも美味しくいただけるのが中本表記の5〜6辛だということなのでは。

「スナックバス江」より。おおよそ世間で認知されてるであろうことを、堂々と今言っていくスタイル‼︎

あとスゲェどうでもいい事を言わせてくれ。俺ラーメンのトッピングとしてのゆで卵の必要性を感じたことがなかったが、中本のスライスゆで卵はあると要所で絶妙に辛さの中和になるからとても良かった‼︎ やっぱ多少具がモリモリになるこの五目蒙古タンメンが、中本を一番楽しめる最適解なメニューなのでは‼︎

イキリは伝染する?


というレビューでここを締めても良かったと思っているのだが、最後に行く前に散々辛さにビビっていたカミさんの、食後に放った言葉がこれである。

「これなら北極を頼んでも食べられたかも」


「スナックバス江」より

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