幸せのクローバー
みんな幸せだった
三つ葉のクローバーが家に必ずあるから
ある朝のニュースで四つ葉が見つかったと流れた
最初に見つけた人は自分こそ一番幸せだと思った
みんな慌てて外へ出た
あっちでもこっちでも四つ葉のクローバーを探している
もう両手に収まらないくらい見つけた人は
自分が一番幸せだと思った
一輪だけ見つけた人は
幸せだけれど何か物足りないと感じた
一輪も見つけられない人は
自分は不幸だと思った
不幸だと思った人の中に
絶対一番幸せにはなれないと思った人がいた
一番になるために不幸な出来事だけ回顧した
そうして一番不幸だと思い込んだ
クローバーで幸せか不幸か自分を決めた日
人と自分とを比べるようになった日
あるねぼすけの人がお昼に起きた
窓際にある花瓶のクローバーを見て
ニコリとほほ笑んだ
窓の外の人たちのことなんて目にも留まらない
今日これからどうやって過ごすかしか考えていない
ねぼすけさんはたくさん寝られたし
太陽は気持ちいいし
昨日買った美味しいパンケーキが自分を待っている
コーヒーを飲みながらほっと一息吐いた
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