評価
昨日、会社から封筒が届いていた。
毎月、給料日になると給料明細が入った封筒が自宅に郵送されてくる。
リビングに置いてある会社からの封筒を見て、僕は怪訝に思った。一週間前に、七月分の給料明細が届いている。このタイミングで封筒が送られてくる理由に心当たりが無い。
不思議に思いながら、僕は封を開けた。
賞与支給明細。
中に入っていた三つ折りの紙を広げるとそう書かれていた。
夏のボーナス。一般的にはこの時期に振り込まれることが多い。
僕はあまり長期的な目標を立てて何かを頑張るタイプではない。
この一週間、とりあえず頑張ろう。毎週月曜日になると、通勤中の車の中で、そんな漠然とした目標を立てて職場に向かっていた。
そのため、封筒を開けるまでボーナスの存在が頭から消えていた。
明細を広げて、僕は胸を高鳴らせながら中身を確認した。いくら振り込まれているのか。いざ手元に明細が届くと、やはり金額が気になる。
おおよそ給料1か月分。賞与の金額はそのくらいだった。
僕の月給は少し低い方だと、前に友人に言われたことがある。だから、一般的には今回の賞与の金額も低い方だと思う。
しかし、明細を見た僕は、不思議と賞与の金額に対して不満や劣等感を抱くことは無かった。むしろ、喜びの方が勝っていた。
よく考えれば、ボーナスをもらうのは人生で初めてのことである。前の会社はボーナスをもらう前に辞めてしまった。
まぁ、最初はこんなもんだろう。僕は素直に妥当な金額だと感じた。
同世代の奴らはもっとレベルの高い生活をしているのだろうか。たまに、こんなことを考えることがある。
良い会社に入って高い給料を貰い、休日には友人や恋人と遊ぶ。年月を重ねれば、出世をして、価値観の合う人と結婚し、休日には家族とどこかへ出かける。
一般的にはこういう生活が望ましいのかもしれない。僕もそういうものへの憧れが全く無いわけではない。
普段はこういうことは考えないようにしているが、明細を見ていると思わず頭に浮かんでしまう。
僕は明細を再び封筒へ入れた。
今は素直に初めてのボーナスを喜んでいればいい。
僕はそう結論付けた。
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