最近、同じ部署のBさんと話をする機会があった。 現在、僕はBさんと同じプロジェクトに携わっているため、仕事の相談や質問など自ずとそういう機会が増えてきた。 40代前半くらいのBさんは、入社10年の女性社員だ。 暇があると色んな人に話しかけて、ゲラゲラと笑っている事が多い。大半は、業務と関係の無い話ばかりである。 ただ仕事の知識やノウハウは確かなものを持っている人で、頭の回転が速くて資料も分かりやすい。 僕が漠然とした質問をしても、適切に答えてくれ
いつの間にか10月も中旬に差し掛かっている。 僕が今の会社に入社したのは去年の11月。 もうすぐ入社してから1年経ったことになる。 最初に比べれば仕事をこなせるようになってはきたが、まだ色々と不安な面も多い。 細かいミスや知識不足な所も目立つが、職場の雰囲気にも慣れてきて、分からなくてもなんとかする方法は覚えてきた。 休みも前の会社よりも多く、仕事内容にも興味が湧いてくる。 辞める選択は間違ってなかった。 ここ最近、それをしみじみ感じることが多い
ある日の朝のこと。 僕は大学の友人が来るのを家で待っていた。 仕事ばかりなので、たまには泊りがけでどこかに旅行にでも行きたい。そんなことを思ったのか、僕は荷物を準備していた。 数日分の衣類や洗面用具。懐中電灯と地図。スマホの充電器など諸々の大量の持ち物を、リュックサックが大きく膨らむくらい詰め込んだ。 ここ最近は旅行に行けていない。ましてや泊りがけの旅行となると、学生の時以来になる。 思い切り息抜きをしよう。久々の友人との旅行に、僕は胸を躍らせていた。
先日、職場の同僚Aさんと話していた時のことだった。 Aさんは僕よりも5つ年上だが、入社した時期は一緒だった。 部署は違うが、この会社でのスタート位置はお互いにほぼ同じである。 そのため、自ずと昼休憩などの暇な時間帯には雑談を交わすことが多くなっていった。 一般的には同期ということにはなる。 とはいえ、5つも年齢差があると、それほど気安い関係性ではない。 お互いに敬語を使ったり、くだらない会話で頭を空っぽにして盛り上がったりなどはなく、微妙な距離感を保
ある日、近所の本屋をうろついていると見覚えのあるタイトルが目に留まった。 「〇〇くんは多分、BEASTERSとか好きじゃない?」 以前、好きなアニメの話をしていると、職場の先輩が勧めてきたアニメだった。 ネットフリックスでアニメを配信しているとは聞いていたが、漫画が原作だったことはその時初めて知った。 マンガは昔からそれなりには好きで、たくさん読んでいるわけではないが、高校生までは好きな漫画を買い集めることも少なくなかった。 大学に進学して以降はマンガを読
今週から、仕事が盆休みに入った。 僕の会社では、この時期に一週間ほどの長期休暇が与えられる。 プライベートを満喫するタイプでもない僕にとって、これほどの長い休みを貰っても、正直持て余すことが多い。 大学の友人と会う約束があるくらいで、それ以外はほとんど予定は入れていない。だが、仕事のことを考えずに家でダラダラと過ごせるのは、充分に嬉しい。 家で本を読んだり、映画を観たりしながら、しばしの休息を堪能していた僕だったが、3日目になると少し飽きてきた。 ダラ
昨日、会社から封筒が届いていた。 毎月、給料日になると給料明細が入った封筒が自宅に郵送されてくる。 リビングに置いてある会社からの封筒を見て、僕は怪訝に思った。一週間前に、七月分の給料明細が届いている。このタイミングで封筒が送られてくる理由に心当たりが無い。 不思議に思いながら、僕は封を開けた。 賞与支給明細。 中に入っていた三つ折りの紙を広げるとそう書かれていた。 夏のボーナス。一般的にはこの時期に振り込まれることが多い。 僕はあまり長期的な目
3か月ほど前から、新しくEさんという人が中途採用で入社してきた。 2つ年上で、関西の有名大学出身で、前職は設備関係の仕事をしていたらしい。 一応、入社した時期で考えると、僕の方が先輩になる。 「Eくんも入ってきたことだし、君も頑張らないとね。」 上司にはそう激励されたが、個人的にはあまり気にせず程々に頑張っていこうと思っている。 そもそも、経験や知識から見ても、僕よりもスペックが高いのは明らかである。 お互いに切磋琢磨しあうべき。そういう意識をもって、
僕の会社では、月の最後になると月報を提出することになっている。 1ヶ月間で行った仕事の内容、反省点とその改善策。それらをA4サイズの紙にびっしりと書かないといけない。 今日の夕方頃、仕事がひと段落したので僕は月報を書いていた。 しばらく専念していたが、今月の反省点を書いている途中、不意に手が止まった。 およそ半分くらい埋めたぐらいの文量は書いた。 他に何か書けることはないだろうか。 先月に書いた内容を、言い回しや表現を変えて書いて残り半分を埋める。
毎日をそつなくこなすことは、それほど簡単なことではない。 早起きして会社へ向かい、仕事に取り組む。残業するとなれば更にその難易度は上がると思う。 友人や彼女と遊びに行く。家族がいる人なら、子供と遊ぶ。 そういった明確な楽しみや癒しがあれば、それをモチベーションにすることで毎日の仕事を頑張れるのだと思う。 僕が勤務している会社にもそういう人が多い。そして、仕事に対する意識も高い。 現状、それなりに僕は毎日をそつなくこなせていると思う。 明確な楽しみや癒
ここ3週間程、先輩のFさんに指示をもらいながら業務をこなしていた。 訥々とした喋り方の人。あまり関わったことの無い人だったのでそのくらいの印象しかなかった。 「〇〇くんは、まだ1年目だから、このプロジェクトに関わるのはまだ早いと思うんですけどねぇ。」 Fさんは事あるごとにそんな事をぼやいていた。 頭ごなしにしかりつけたり、威圧的な態度の人ではないため委縮する事はなく、質問はしやすい人ではある。 しかし、面倒なことをしたくないと思っている節がある人だと僕は
子供を授かった時は、どういう気持ちなんだろうか。 これまで何度か、こんな疑問が頭によぎったことがあった。 喜びや感動といった感情が多くを占めるんじゃないだろうか。 子供という存在は、いわば自分が歩んできた人生の証を刻むようなものだ。おそらく、子供を授かった時の感情の多くを占めるのはそれだと僕は思う。 もし、自分が子供を授かったとしたらどういう感情を抱くのだろう? 喜びや感動よりも、親になるという責任感やプレッシャーの方が上回る。頭の中で想像してみただけだ
最近、残業する事が多くなってきた。 研修が終わって、本格的に実務の内容に入ったのだから仕方ないが、身体的に疲労が溜まってきている。 だが、前の職場ほど精神的な辛さは少ない。 ノルマに追われていた頃の僕は、求められる結果を達成するための方法が全く見えなくて、休みの日でも落ち着かない日々を過ごしていた。 みなし残業制だったことも辛さの要因の一つだったかもしれない。 あらかじめ30時間分の残業代が給料に組み込まれていたが、今思うと本当に30時間分も残業代が払わ
毎日が楽しい。 今の会社に就職してから、そのように感じる事が多い。 頭を抱えてしまうぐらいの巨大な不満や解決策が見えてこない途方もない悩みもない。 プライベートでも自分なりに楽しみを見つけ、それに没頭する事が増えてきた。 このように、最近は良い気分になる事が多かったが、先週の金曜日は久々に少し気分が落ちる出来事があった。 今までは先輩が抱えているプロジェクトの手伝いをする事が多く、本来の1/10ぐらいの作業量と難易度の仕事内容に取り組んでいた。 特に
先週の金曜日、仕事から帰った僕はいつもより少しだけ気分が良かった。 一週間の終わりということもあったが、それよりも夜9時から放送されるタイタニックを楽しみにしていたからである。 というのも、僕はタイタニックを見た事がなかった。 厳密には、有名なあのシーンの記憶だけはあるのだが、それ以外が一切思い出せない。 観てたとしても、かなり幼い頃に見たのだと思う。 近年、こういう昔の映画を地上波でやることは少なくなっている。一回ぐらい、しっかりと見ておくのも悪くない
少し前に人事考課があった。 ざっくばらんに言うと、前期の反省点を振り返り、今期の目標を決める面談である。 勤続年数が長い人は、これによって役職が上がったり部署が変わったりすることも多い。 また、それぞれの社員の活躍を評価・採点して、ボーナスとして還元する目的も担っている。 とはいえ、僕の場合は入社して初めての人事考課である。 今期、入社したわけだから前期の反省点なんてあるわけがない。 ましてや僕は仕事をまだ完璧にこなせない。だから、今後の具体的な目標