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本を愛する11名に聞いた『私の偏愛する1冊』をご紹介!

「好きな本」というのは結構ある気がする。「好きな本教えて?」なんて会話もわりとあるような気がする。でも、今回は「好きな本」ではなくて「偏愛本」がテーマ。

偏愛なのだから、みんなにおすすめだったり、多くの人に理解されるようなチョイスじゃなくて全然いい本。自分にしか良さがわからなくてもいい。でもとにかく誰がなんと言おうと私はこれが好き。何度も読み返していようが、一度しか読んでなかろうが、もういっそ表紙だけで愛してしまった!・・・そんな本でもいい。

このnoteでは、そんな、それぞれの愛すべきキラキラした偏愛本をご紹介します。愛のシンパシーを感じたら、どこかで手に取っていただくのもいいかもしれません。

1.空の名前

この本を偏愛している人:水野さやかさん
読んだ回数:数えきれない
はじめて読んだ時期:10歳くらい

この本はいろいろな空の表情を写真と文字で表現している一冊です。構成として雲の章、風の章、水の章、光の章、氷の章と5章に分かれており、素敵な空の写真を見ることができます。

特に「匂いのする雨の写真」が偏愛のポイントで、とにかく、これに尽きます。この本との出会いは10歳くらいの時でした。立ち読みを繰り返して、その後、親に頼みこんで買ってもらった思い出の一冊です。数えきれないほど読んでいます。空を見上げてみたくなる偏愛の一冊です。

2.狭き門

この本を偏愛している人:あゆさん
読んだ回数:数えきれない
はじめて読んだ時期:中1位。内容を理解できたのは高校生
どんな時読む?:自分のしたいことがわからくなったり、意志が弱った時

この本の偏愛ポイントはヒロインの主人公の愛し方です。自分の意思で能動的に主人公に接したことと、同時に自分の意思を生涯貫き通した強靭な美しい精神がずっと忘れられない一冊です。

この本は中学校1、2年生の頃から気分で1ヶ月に1回ぐらいは手に取っていて、数えきれないほど読んでいる自分の中で本当に好きな本です。自分のしたいことがわからなくなった時、自分の意思が弱っている時に読む偏愛の一冊です。

3.ペンギン・ハイウェイ

この本を偏愛している人:みずきちさん
読んだ回数:2〜3回
はじめて読んだ時期:大学2年の春休み
どんな時読む?:夏が本格化してきた頃

主人公の暮らす街に突然現れるペンギン。主人公はこのペンギンについて研究を始め、周りを巻き込みながら謎を解決していくお話です。

偏愛ポイントは、物語の中にでてくる謎の物質「海」を観察するシーンです。登場人物が見たことない「海」を観察していていて、こっちまで一緒に観察している気持ちになります。結末は少し寂しさがある内容だけど、ひと夏の冒険の余韻を味わえる。映画化にもなっている偏愛の一冊です。

4.ライオンのおやつ

この本を偏愛している人:スガワラアズサさん
読んだ回数:1回
はじめて読んだ時期:2020年の10月
どんな時読む?:とげとげしたり、くろい感情がうずいたりした時、気持ちを落ち着かせるためにこの本を読みたいです。

この本のテーマは「若くして残り少ない余命を宣告された主人公の余生の物語」という重いものですが、重いテーマにも関わらず、登場人物に一人も嫌な人がいない温かい物語です。さらに文章も美しく繊細で素敵な感覚になります。特にいのちについての描写はお気に入りです。

ジャケットについても、暖かみのあるフォント、温もりを感じる絵でとても素敵な印象。本全体からも感じられる温かいお話の偏愛の一冊です。

5.わたしを空腹にしないほうがいい

この本を偏愛している人:Ammyさん
読んだ回数:5回
はじめて読んだ時期:去年の7月の終わり
どんな時読む?:休みの日の昼間に読むことが多い。空き時間や帰りの電車の待ち時間に読んだりも。そこで夕ご飯のメニューを思いついたりします。

この本のテーマは食と、それを巡る人々や風景のエッセイ集です。夜に読むとお腹が空いてくるほど読んでいて食べ物のいい匂いを感じる描写と五七五調になっている各タイトルが面白く『神に似た笑い声するビアガーデン』などただ「美味しそう」「美味しい」だけではなく、そこに含まれた幸せや感情に触れることで思わずハッとさせられる内容です。

実際に本に出てくるホテルオークラのレシピのフレンチトーストも作ってみました。とても素敵な表現が多く、食べ物を通じて幸福を感じることのできる偏愛の一冊です。

6.金閣寺

この本を偏愛している人:さとーさん
読んだ回数:1回
はじめて読んだ時期:大学3年生の頃
どんな時読む?:秋に読みたくなる

「日本語ってこんな綺麗なんだ」がこの本を読んだ時に初めて感じたことでした。主人公は小さい頃に「金閣寺は美しい」と言われて育ち、美=金閣寺となります。しかし、実際に見た金閣寺は想像とのギャップがあり、苦悩。最後には燃やしてしまいます。こんなクレイジーな内容だけどテーマは美で、さらに三島の日本語の綺麗さに驚愕しました。これまでいろいろな本を読んできたけどこれ以上に美しい一冊に出会ったことがない偏愛の一冊です。

7.桜風堂ものがたり

この本を偏愛している人:おだりょさん
読んだ回数:一部読みを含めると10回位
はじめて読んだ時期:2〜3年前
どんな時読む?:色々疲れたと思ったとき

おだりょさんはこの本を「自然豊かな里の春!」と表現してくれました。ことば、本、それが繋ぐものっていったい何なのかを、極上の暖かさで書き上げてくれていて、冬の夜に飲むホットミルクみたいな感じ!とのこと。

主人公を3つの言葉で表すとしたら?との質問には「優しい、繊細、柔らかい」と答えてくれました。まさにご本人のよう。本と響き合いながら読んでいる感じがとても素敵な偏愛本だと思いました。気づいたらいつも本棚のお気に入りゾーンにいる本だそうです。

8.僕の心のヤバイやつ

この本を偏愛している人:前田@まんがたりさん
読んだ回数:10回以上
はじめて読んだ時期:2018年頃
どんな時読む?:元気をもらえるので疲れたとき

まえださんが人生で唯一ファンレターを出したことがある作家さんだそうで、その偏愛ぶりが垣間見えます。

中二病をこじらせている主人公と、アイドルだけどドジで食い意地はっている、死ぬほど不器用な二人の恋心と友達の間で揺れ動く、ラブコメギャグマンガ。ヒロインよりも、主人公のまっすぐに生きる「生き様」と、そこに見え隠れする中二思春期真っ盛りなカッコつけがかっこ悪いところに萌えるそう。すべての登場キャラクターが愛に溢れているのも偏愛ポイントとのことです。

9.はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内

この本を偏愛している人:えび子さん
読んだ回数:1回。本は一度読みしかしない
はじめて読んだ時期:就職して1年目
どんな時読む?:考えるとは何か分からなくなったとき

哲学そのものは学問として触れたことはなく、えび子さんにとって、哲学本はこの本が初めてとのこと。

哲学本なので答えは書いておらず、自分で答えを出すためのヒントが書かれており、えびこさんの中でずっと渦巻いていた「答えなんてその時々で変わるのに、なんで大人は答えを自信持って決めるんだろう?」という長年の謎にうまく応えてくれた本だったそう。いつ読んでも自分にヒントを与えてくれる気がして、お守り本として所有しているとのこと。偏愛感ありますね!

10.切りとれ、あの祈る手を---

この本を偏愛している人:sakiさん
読んだ回数:年2〜3回読むので、最低20回は読んでる
はじめて読んだ時期:高校生の時
どんな時読む?:ちょっと気分が落ち込んだとき

普段はいろんなジャンルの本を読むsakiさんの偏愛本。「本と革命」というテーマと、著者の強い文体が相まって圧倒されたそう。その熱量がとにかくすごいんです。

文体が結構かたいので、最初は全然わからないのが悔しくて、何回も読んでるうちに気づいたら1番好きな本になっていたんだとか。これってもう誰かを好きになる感じに似てますね! どんな人かわからないから余計に惹かれる現象。章ごとに完結しているので好きな章をその時々で読み返しやすい本です。

11.とるにたらないものもの

この本を偏愛している人:おとめさん
読んだ回数:数えきれないくらい
はじめて読んだ時期:2003年 出版後すぐ
どんな時読む?:

とるにたらない、けれどたまらなく愛おしいことが短い文章で綴られているエッセイ集。

著者の江國さんらしさがギュギュッと詰まっていて、きゅんとしたり笑ったりほろ苦かったり。とにかくどこまでも芳醇。好きな人が眠れない夜に、電話越しに読んであげた思い出の本でもあります。もうそれ自体がたまらないとるにたらないものもの。そして江國さんに目の前でサインしてもらった人生で数少ない宝物。どこかに避難する時には掴んで持って出る大切な偏愛本です。

編集後記

ー 「偏愛する私の1冊企画」に参加して
bosyuカフェには、#book_recommend という、本好きさんが集まっておすすめ本を紹介しあったり、本の話をするチャンネルがあります。

そこに集う方々に、特に『偏愛している一冊』を聞いてまとめてみたい…!と始まったのが今回の企画。仕事をしていると、読むのがビジネス本ばかりになってしまう…という方も多います。このnoteが、新しい本との出会いのきっかけになればうれしいです。

✍️ 偏愛本企画チーム:おとめ、さとー、bosyuさん

📕 おとめさん 
ひとことで「偏愛本」と言っても、本当に皆さんに聞けば聞くほど目線も違えば受け止め方も違う偏愛本のお話が聞けて、本好きとしてはとても幸せな企画でした。参加できてとても豊かなものをたくさんいただいた気持ちです。関わってくださった皆様に感謝です。ありがとうございました。
📗 さとーさん
今回企画に参加してみて、読書家のみなさんの「偏愛の一冊」ということでどんな作品がでてくるのだろうと楽しみに参加しました。普段から常に本を読んでいても、年に100冊以上読んでもこれは今まで読んだ中で一番好きだという瞬間に出会うのはとても稀有なことだと感じています。そんなみなさんの大切な一冊に触れることができ、本への愛を感じました。そして、自分でももっと好きな一冊に出会えるよう読書していきたいと思いました。
📙 bosyuさん
なんとなくTwitterで見かけた本を買うことが多いので、こうして体温を感じる本のおすすめを知るのはとても新鮮な経験でした。人生の中で「偏愛」してしまう本に出会うことなんて、めったにないと思います。そんなみなさんにご紹介いただいた偏愛の一冊、少しづつ読んで行こうと思っています。

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