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【実話怪談】ハロウィン怪談口裂け風船。

フリーターのKくんは数年前のハロウィンの日、雰囲気はどんなものかと、普段通りの格好で渋谷を物見遊山で歩き回っていた。
様々なコスプレをした人たちで賑わっていて、それをただ見て回っているだけで楽しかったという。
道を反対方向から歩いてくる人混みの中に、左右の口角から耳の方に向かってやや上向けに、やけにリアルで、生のレバーを思わせるような不気味な色合いの、赤黒い線を頬に引いている女の人を見つけた。
無表情だった。人が密集していて首から下がどうなっているかは分からなかったが、口裂け女のコスプレだとKくんは思った。
「凄く背が高いのか、口裂けの女の顔だけが密集した人混みの中でひょこんと空中に浮いてるようでした。」
あと数歩で、その女とすれ違うかというときだった。
口裂け女の顔が風船のように真ん丸に膨らだかと思うと破裂して、跡形もなく一瞬でどこかへ消えてしまったという。 
「それに気づいてるの俺だけだったみたいで。何が起きたのかまったく理解できなかったですね。」
Kくんは一気に気持ちが萎えて、そそくさと駅に向かいそのまま家路についたという。
「あれってバケモノだったんですかね。それしかないですよね。ハロウィンの日はバケモノたちも大手を振るって出歩ける日なんですかねぇ。」
Kくんはそれ以来、ハロウィンの日は家でおとなしくしてるそうである。




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