泉速之
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古草紙昭和百怪22 令和5年初花月「熊野の秘境にひそむ鬼族の子孫」(「週刊事件実話」 昭和36年)/ 雛月「古文書に取組む武内宿禰67代目の子孫」(「週刊実話特報」 昭和36年)
「熊野の秘境にひそむ鬼族の子孫」(「週刊事件実話」 昭和36年) 前々月の記事と同号ながら、異色ゆゑ紹介を。「特別読物 熊野の秘境にひそむ鬼族の子孫」(「週刊事件実話」 昭和36年8月1日 116~122頁 写真10点 地図1点 日本文芸社)は、傍題が「闇夜、燐光もえる墓場! 夏なお寒い鬼気迫る魔境探検!」。惹句に「伝説はウソではなかった! 前人未踏この深山幽谷にいまも棲息していた、鬼族の後裔! これは生々しい決死の現地ルポだ。」とある通り、興味深い取材報告かと。 以下
古草紙昭和百怪21 令和4年極月「深夜 生木に打つ呪いの祈り釘」(「週刊事件実話」 昭和36年) / 令和5年睦月「月からの暗号が解読された」(「週刊読売」 昭和37年)
「深夜 生木に打つ呪いの祈り釘」(「週刊事件実話」 昭和36年) 副題なのか「身の毛もよだつ生きている伝説!」と大書、「憎い相手を呪い祈り殺す! 陰湿なそしてあまりにも異妖奇怪な人間の執念! ひと口に昔のことと片づけてしまえない、鬼気せまるようなこの事実が…」との惹句に食傷しながらも、通り一遍の怪談が飽きられつつあったてふ往時にあっても尚、呪詛ばかりは廃れる気配が無かったとは意外。「深夜! 生木に打つ呪いの祈り釘」(「週刊事件実話」 昭和36年8月1日 100~5頁 写真
有料100古草紙昭和百怪20 令和4年初霜月「生きている『海竜』」(「知性」 年度不明) / 神楽月「あなたは殺される相がある」(「ヤングレディ」 昭和42年)
「生きている『海竜』」(「知性」 年度不明 10月) 大宅文庫目録「奇生物一般」にも昭和40年代半ば以前は僅か数点ゆゑ、今回また落穗拾ひ、「海の神秘 生きている怪竜」(中山光義 「知性」 年度不明 10月 130~9頁 挿絵2点・柱に1点 知性社 四六判)を。尤も、恐らく「オール讀物」掲載と思はれる黒沼健「古生代の海蛇は生きている!?」が「秘境物語」(新潮社 昭和32年)に収録済なのと同様、本稿も単行本に収まった可能は否めません。 以下、約3000字 四百字詰約8枚 図版2
有料100古草紙昭和百怪19 令和4年月見月「背すじがゾーッとするぜ」(「週刊実話読物」昭和36年) / 寝覚月「祟りと呪い この怪異集」(「週刊事件実話」昭和36年)
「背すじがゾーッとするぜ」(「週刊実話読物」昭和36年) 「『今頃怪談なんて……』と、一笑に伏しても結構だし、『なるほど、怪談とも言えるね』と少しばかり背筋をゾクゾクさせてもいいし。とに角、以下、三篇のミステリーは、人口一千万を突破しようと云う、世界第一の大都会"東京"の繁華街に起った実話である。」とは柱の文句。昭和半ば、怪異談には昔ながらの銷夏法とも時代遅れとも、両面の評価があった様です。 以下、約3000字 四百字詰約8枚 図版2点
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古草紙昭和百怪16 令和4年如月「『12.000年前の国』から来た大使」(「週刊事件実話」昭和36年) / 「神秘の術 霊験あらたか 神通力の種を明かせば」(「週刊事件実話」昭和36年)
「『12.000年前の国』から来た大使」(「週刊事件実話」昭和36年) 如月朔はジョージ・パルの誕生日。ちょいとお化けから離れ、関連の話柄を。「クローズ・アップ 『12.000年前の国』から来た大使 フルシチョフに爆弾をなげつけた『ムー帝国の映画屋』白上さん」(「週刊事件実話」 昭和36年10月23日 日本文芸社 84~87頁 写真4点 地図1点)は、まづ柱で自己紹介。「沈んだ大陸をしらべて何になるのだと、よく人にいわれます。しかし、その『ムー帝国』とは六千四百万の民族が
有料100古草紙昭和百怪15 令和3年師走「わたしの名は霊感女給」(「週刊内外実話」昭和36年) / 令和4年睦月「一度死んでまた生きた奇蹟の記録」(「週刊事件実話」昭和36年)
「わたしの名は霊感女給」(「週刊内外実話」昭和36年) 拝み屋の話柄が続くと、提灯持かと誤解されさうですが、いつもながら大宅文庫目録に未掲ゆゑ。今回も「『予言』をうかがいにくる指名客で、彼女はついにナンバーワン。ネオン街の藤田小女姫と評判の女性の素顏は……。」と柱の文句が躍る「ここにこんな人が… わたしの名は霊感女給 ドンピシャリの予言がつくったNO1ホステス」(「週刊内外実話」昭和36年12月15日 芸文社 48~9頁 写真2点)。 以下、約2500字 四百字詰7枚 図版
有料100古草紙昭和百怪14 令和3年神無月「教祖様はもと赤線業者」(「アサヒ芸能」 昭和36年)/ 霜月「瀕死の病人も生き返る不思議な靈波」(「週刊事件実話」 昭和36年)
「教祖様はもと赤線業者」(「アサヒ芸能」 昭和36年) 昭和の御宇にも八卦見や拝み屋の記事は少なくなかったものの、何せ似たり寄ったりなので、わざわざ取り上げる程の内実に乏しいのは確か。今回、超自然と色道との交錯が新味かと。「関西特信 教祖様はもと赤線業者」(「アサヒ芸能」 昭和36年4月16日 徳間書店 78~80頁 写真4点 B5判)は、柱(リード)に曰く「赤線業十年というソノ道のベテラン女性が新興宗教の教祖となって大繁盛している。…、お得意の判じものは人性相談とあって、連
有料100古草紙昭和百怪12 令和3年水無月「吸血鬼のいる修道院」(能島武文 「笑の泉」昭和32年)/ 文月「太平洋に人魚はいるか」(須藤拳人 「実話雑誌」昭和32年)
「吸血鬼のいる修道院」(能島武文 「笑の泉」昭和32年) 前回言及「世界艶笑怪奇読本 No.6」の目次を確認すると、他に野尻抱影「女装脱獄」や都筑道夫「マルコポーロの預言」も掲載と判明しました。家蔵の生天目星涯の切抜にも、往時には稀少な吸血鬼の話柄が続くので、序に紹介。以前、帝劇の音楽劇に絡め、切抜の綴を通覧しても、家蔵の内には二つしか見付からなかった験があり、その折に触れた通り、大宅文庫目録も「妖怪」の項に僅か五例を並べるに留まり、しかも過半は書評といふ有様。少くとも昭
有料100古草紙昭和百怪9 令和2年師走「心霊シリーズ 遊魂が受けたショック」(「週刊スリラー」昭和34年)/ 令和3年睦月「人間レーダー 藤田小女姫」(「週刊スリラー」昭和34年)
「心霊シリーズ 遊魂が受けたショック」(「週刊スリラー」昭和34年) 鮮やかな盈月に彩られた万聖節が、年に一度の洋書市に当る巡合せ。悪疫をかそけみ見送る積りも、植草日記を拾ひ読む内に翻心、最終日夕方に覗いてみました。補充がなされたのか、棚に目立つ空きが無いのも幸ひ、最近上梓に気付いたばかりのカッシング写真表紙版レ・ファニュ他、綺譚集を十冊ばかり落掌。何せ、探偵や空想科学小説に限り七十年代迄の小型略装本が並ぶ壮観は、他所で叶ふはおろか、頃日のぼってりした厚冊さへ街中の古書肆で
古草紙昭和百怪8 令和2年神無月「湖底に眠るミイラ」 / 霜月「魔の海峽と幽霊船」(「週刊大衆」昭和34年)
「湖底に眠るミイラ」(「週刊大衆」昭和34年) ウォルター・モリノの画業を漫ろ眺めてゐたら、海底に建立された聖者像に行当りました。双手を掲げた立姿の周囲を、潜水夫達が取り巻く構図。この像は遺蹟などではあらで、遭難した仲間を弔ふべく1950年代に供へられた新物。ジェノヴァ沖の他にも複製が置かれた様でもあります。水(みな)底に巨きな人影が佇立するのは、こと暗闇の最中なれば尚更、誰しも敔(ぎよ)つとするのが請合ひ。尤も場所が場所だけに、市井の徒がおいそれとは拝めぬのは却って幸ひか
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