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同伴客の横で飲む

 北陸で仕事を担当するようになって久しい。市場が小さいため売り上げとしては中々厳しい地域ではあるが、食事と酒が完全に好みにはまった。
 どの季節に行っても美味しい魚と酒が楽しめるこの地域にはプライベートでも頻繁に遊びに行くようになっている。

 そんな北陸での仕事終わりに片町へ一人で飲みに行くとカウンターに通してもらうことが多い。カウンターが有る店を積極的に選んでいる節はあるが、板前さんの仕事を見ながら食事をするのは楽しいし贅沢だ。少し会話の相手をしてもらえるのも嬉しい。
 ただ、そういったお店のカウンターは自分の様なオッサン一人の酔客よりも男女のペアが座っていることが多い。夫婦やカップルと思しき人々も当然見かけるのだが、圧倒的に多いのはおそらく他人同士であろう男女、同伴である。
 地元名古屋でも、他の出張先でもあまりこういった光景を見ることは無かったのでとても興味深かった。

謎の負い目を感じながら酒ばかりを頼む

 個人的な統計。男性は比較的年齢層が高く(40代~70代)、女性は幅広い(20代~40代)様に見えた。
 地域性なのか、女性はガールズバー・クラブ・スナックにお勤めであろう雰囲気の方が多く、極めて派手な女性は少な目。男性客は地元のオジサマから出張のサラリーマン、漁師さんも見た事がある。
 この男女どちらにも共通することが、よく食べる事。この後出勤してお酒を飲むため当然酒量は控えめになるのだが、それにしても食べる人が多い。
 サラダ・旬の魚・肉料理・のどぐろ・寿司、大量にオーダーされる高級料理を横目に少ないオーダーで酒ばかり飲む一人ぼっちのオッサン…

 女性と飲むようなお店には全く興味が無いので、自分で稼いだお金をこういう風に使いたいとは全く思わない。ただ、男も女もお店も全員の需要が満たされているので大変良いことだと思う。月に1度来るかどうかの余所者一人客ではこんなに売上額は上がらない。同伴客の方が圧倒的に上客だ。
 隣で食事をしていて漏れ聞こえてくる会話も面白い事が多く、たくさん食べてよく飲む。こういったオジサマにはあらゆる面で負けている気がしてくる。
 とはいえ、少し賑やかなお店で一人で飲むことが好きなので、これはこれで楽しい。外野から見ている分には無くなって欲しくない文化の一つ。

良客でありたい

 コロナ禍で新店を探すことが減り、余所者とは言え馴染みの店ばかりに顔を出すようになったからこそ良客でありたい。
 同伴客ほどではないが、ほどほどに食べて呑み、泥酔はせず、それなりにお金を使って早めに帰る。来れるときは必ず顔を出す。自分にできるのはこの程度。
 泥酔して粗相をしたり、悪態をついている光景も見ないわけではない。こういう客には絶対になってはいけない。

是非北陸へ

 冬の北陸は本当に美味しいものがそろっていて、11月~翌年の2月頃まではなんといっても蟹が目玉。年内であればせいこ蟹(香箱ガニ)と呼ばれる雌の蟹が大変美味しく頂けます。昨今蟹はやや高いですが魚も本当に美味しいので、お酒を飲めなくても食だけで十二分に楽しめると思います。
 温泉宿ももちろん良いが、個人的には駅前や繁華街に泊まり、少し良いお店で食事をしてみてほしい。味のレベルもさることながら、その土地のリアルな匂いを体験できる。
 トップの画像は北陸地物の岩もずく酢。パキパキ食感と磯の香りがたまらない。

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