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優澪物語

~ 卯月、皐月、文月。故郷の台湾では旧暦の七月は「鬼月」。
一か月中が東洋版のハロウィンなのです。暑き日が続く中、「鬼故事」を聞くと、ひんやりとした涼感が伝わり、とてもさわやかですね ~

登場人物:
幽霊探測機を使って、心霊スポットを巡るのが大好きな「ツカイチ」;
0感だけどツカイチが撮った写真を分析したり、データを測ったりするのが得意な「ハカコ」;
幽霊が見える「ユウ」と聞こえる「レイ」;あと幽霊たち。

ツカイチは普段から心霊スポット巡りが趣味で、忘れられたお墓・荒れた神社・廃れた学校では、よくその影がうろうろする。
誰もいないのに気配を感じたり、物音が聞こえたりするのは、ツカイチにとって何よりも刺激的であった。
大学に入ってからは、なお遊び心地でいながらも、実際に調査してみようと、ネットでゴーストハンティングのツールを調べていろいろと手に入れた:近赤外線カメラ、磁力測定器、DR60 の録音機、HOPE Spirit Box (HSB-1) app 等等。
これらを持って心霊スポットで検証してみたら、想像の通り、蛍のように宙を舞うオーブが撮れて、磁力測定器の数値も急に高騰するばかりで、ツカイチは胸が高鳴った。

「世の中はこんなにも面白いんだ、まるで映画みたいじゃん!」とある日、そばに座っている友人のハカコにそれらの記録を見せた。
ハカコははりきった優等生で、世にも稀なものを目にして、「あっ、こんなにいいもの。たくさんの人に見せてあげたいね。もっと記録を残してまとめて、論文を書いて学会に出そう!」とツカイチに勧めた。
その後から、忘れられたお墓・荒れた神社・廃れた学校では、よく二つの影がゆらゆらと姿を見せた。
「探検」に行くたびに、どんなドラマチックな結果が出るだろうと、ツカイチはいつもドキドキして興奮状態になるが、0感なハカコは冷静に結果が出るのを待つだけだった。ハカコは分析力が抜群で、毎回の「探検」で残した記録を丁寧に数値解析し、統計データと一目瞭然な説明を付け加えて、あっという間に論文を書き上げた。

そんなある日、普段とても陽気なツカイチが、特に何もないのに急に落ち込んだ。とにかく無感。
しばらく「探検」を休んだので、ハカコは心配になって声をかけてあげた:「ねえ、れいの場所、行かない?」とたびたび誘っても、無言なままだった。それだけでなく、ツカイチは日増しに短気になり、些細なことにも腹立つようになった。
ハカコは科学的精神の持ち主であるが、想像力に富んだ温かい人でもあるので、こんな状況を見て、あらゆる方法でツカイチを助けようとした。可能性を一つひとつ推理していくうちに、一瞬、キラキラが閃いた。
「あっ!もしかすると?」と思って、知り合いの霊能者・ユウとレイの双子に頼んで様子を調べた。
どうやら、前回行った心霊スポットはかつて激戦地で、ツカイチは闘いに疲れ果てたある武士の霊に憑かれたようだった。
霊はツカイチの体とそのエネルギーを使って猛威を振るったが、双子はただおとなしく、二人のもとに添えてあげた。ユウは霊が見えて、レイは聞こえるだけだが、互いに相手の目と耳になって手助けし、その霊が成仏するように、精いっぱい慰めてあげた。
武士の霊は徐々に双子の純粋な気持ちに感動され、山のように重苦しい心もやっとのことで動かされた。「何百年間ずっとここにいたが、これほど優しい人間に出会うのは初めてだな」とつぶやきながらだんだんと軽くなり、そのうち光に帰った。

それから、ツカイチは遊び心地を捨てて、刺激的な心霊スポットではなく、優しい霊気がたっぷりなパワースポットに行くようになった。
双子も二人の「探検」に仲間入りし、霊に出会うたびに二つの世界の間で言葉を「翻訳」した。霊も生きている人間も、双子を通じて自分がいる世界のことを分かち合い、おもしろい「会話」がたくさんとれた。
霊たちはツカイチが持ってるスピリット・ガジェットに興味津々で、ハカコが論文を出すのにはとてもありがたく感じた。
自分たちは魂だけが残っていても永遠に生きてるということが証明されるからだ。
黄金の麦畑、絹のような滝、鳥のさえずりが聞こえる木々の間、これらの場所ではよく、四人の笑い声が伝わってくる。パワースポットでは人間の霊だけでなく、天使、聖なる鳥獣、高次元の宇宙人、そして神もいた。光の玉が星空を舞い、録音機にはときどき、優しく見守るような言葉が残ってあった:「ありがとう」、「がっばってね」と。あたりは和やかに風が吹き、すすきが自然のリズムに合わせてうなずいている。何よりも素晴らしいものであった。

ツカイチとハカコ、ユウとレイ、そして幽霊たちはその後何十年、何百年、何億年にわたって、キラキラしたインスピレーションを飛び交わし、星になってもみんなでおもしろい「会話」をしているのだ。