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エンタメスタートアップ未来録:これからの外部環境変化とトレンドについて

皆さん、こんにちは。しばらく長期休暇をいただいていた関係で久しぶりにゆっくり時間がとれていろいろ見直す時間がありました。その中で今後エンタメスタートアップを取り巻く外部環境で起きそうな5大変化をマクロ・ミクロともに交えながら予想してみようと思います(全て個人の意見です)。

基本あまりこういうの当たらないんですが、ポジションとって公開することが大事だと思っている派+間違えた場合前提を見直すきっかけにもなるので思うがままに綴ってみようと思います(だいたい後悔もします)。既に起きつつあるテーマもあるので、そういったものについてはその延長戦上の未来も少し触れていきたいと思います。

専門家でも何でもないので、投資銀行・上場企業・スタートアップ・VCを行き来しているいち個人の脳内体操くらいライトなもので、むしろここから皆さんの意見をビルドアップしてもっといいものに昇華してほしいくらいの感じに思ってます。決して特定の業界や職業に対して意図して何か物申そうと思っているわけではないのでそこはご理解ください。

それではいってみましょう。

前提として考えているマクロ環境

為替と物価
たぶん一瞬円高で130円台とかその辺まで戻る可能性はあると思いますが、中長期にみたら円安がじわじわ続きどこか今より円安水準で収斂すると思ってます
。僕はマクロのプロじゃないので結局シンプルに考えて、「日本の国力って中長期的にみたら相対的に国際社会においてどうなの?」という問いに対してグローバル相対で人口減少/高齢化という構造問題を抱える中で技術革新/生産性向上で上回るのが難しいと考えている悲観論者なので…
物価については、円安と相まった外国人流入が物価高に拍車をかけてこのままじわじわ上がっていき、特に不動産は2-3年以内にどこかで外国人の購入規制が入るのかなと思ってたりします。
投資環境
グローバルで見た時に株式市場はアップダウンはあれどじわじわ引き続き上がると思ってます。やはり直近はAIのサプライチェーンの中で競争優位性をもつ会社とその恩恵を受ける周辺領域がグローバルでホットなテーマであり続け、日本固有の部分で行くと昔からテーマとしてあるジャパンエクセレンスに日本の国際地位が下がれば下がるほど焦点が当たると思ってます。仮想通貨はオルタナ投資としては少なくとも今の地位は確立し続けていると思っている一方でいわゆるWeb3.0領域はわかりません。ただ仕組みとしてはじわじわ定着して結局振り返ってみたらこれって2021年の時にいってたweb3.0じゃん?みたいな感じになるのかぁと思ってます。正直ビットコイン含む仮想通貨については伝統的なお金の定義であります価値尺度/交換価値/保存価値という3つにのっとるとこちらもまたじわじわ上がるような気がしており、直近のETF採用のようなカタリストがあれば爆発的に跳ねる瞬間もあるのではと思ってます。

現在進行形そしてこれから起きる5つの波

ここからはよりミクロの話になりますが、個人的にエンタメスタートアップ領域を取り巻く大きなトレンドとして以下5つがくると思ってます。

①AI x グローバル x ジャパンエクセレンス領域として再注目
②M&Aロールアップモデルの答え合わせと会社の選別
③仕組みとして組み込まれたweb3.0が花開く
④VCの調達/競争環境の変化に伴うエンタメ特化型のVCやファンドの設立
⑤人材の流動化:エンタメxファイナンス人材の台頭

総じてエンタメの未来は明るいと思ってます(ここはもちろんポジショントークも含まれております笑)。以下時系列順にあえて予想してみます(未来予想って言い続ければいつかは当たると思っている派なのであえて時間軸を設けて厳しくみようと思ってます)

2023年後半~2025年前半

この期間はエンタメスタートアップ業界にとって今顕在化している2つのトレンドが推進される期間だと思ってます。その2大トレンドがテーマでいうと上述している①AI x グローバル x ジャパンエクセレンス領域の再注目、動きで言いますとM&Aロールアップモデルによる事業拡大であります。特に新しい材料ではないですが、昔からこの領域で取り組んでいる会社及び新規でピボットという形で参入している会社含めて、改めて多くの会社がグローバルで日本が戦える領域としてのIPコンテンツというストーリーを掲げており、生成AIとの親和性の高さや国の後押しもありより一層投資家含めて押し出している印象です

また投資環境についても軽く触れさせていただくと、引き続き優れた起業家にとっては相次ぐVCやコーポレートのファンドレイズによる潤沢な資金・政府の制度改正的な後押しも含めて資金集めがしやすい状況が当面続くと思います。既にシリアルの方が大型調達しているケースも出ていますが、引き続き起業家優位な市場が続くのではと思ってます。VCのファンドレイズの時期なども考えますと業界としては完全にサイクルでいうと投資期だと思ってます。

2025年後半~2026年後半

この辺からがまだ顕在化していない未来になると思いますが、上述した2大トレンドについて大きく2つの変化が起きると思ってます。それが5つの波で触れてます下記2つです。

②M&Aロールアップモデルの答え合わせと会社の選別
③仕組みとして組み込まれたweb3.0が花開く

またエンタメスタートアップを取り巻く外部環境の大きな変化という意味では下記2つの変化が起きると思ってます

④VCの調達/競合環境の変化に伴うエンタメ特化型のVCやファンドの設立
⑤人材の流動化:エンタメxファイナンス人材の台頭

少し触れていきます。

②M&Aロールアップモデルの答え合わせと会社の選別

M&Aロールアップって言うと売上を一気に伸ばせてスタートアップ的なコンテクストですと一見魅力的に映るのですが、結局は利益で見た時に買収時ののれん含めてどれだけちゃんと回収できるかに尽きると思ってます。もちろん買収自体も容易ではないですが、それ以上に"適切な買収"及び"買収時に描いたPMIの遂行"はその何倍以上もハードルが高いと思ってます。実際以前も取り上げましたDisneyのようなエンタメ会社の買収はうまくいってないですし、直近報道ありましたSonyのパラマウント買収検討のニュースが出た時に同社の株は大きく下落しており、プロの機関投資家が集まる株式市場がいかにこの辺をシビアに見ているかわかると思います。

結局M&Aも投資的な側面が当然あり、答え合わせが数年後なので現在M&Aを遂行している会社の多くがいざふたを開けてみたら「PMIうまくいってません」・「買収価格が高すぎました」みたいな事例がたくさん出てきてこのモデルは一部ファイナンスと事業を複合的にみれるプロによってうまく遂行している組織以外は難しいよねみたいな流れになるのではと思ってます(逆にうまくやれている会社は評価されるのではと思ってます)。

ビジネスモデルまわりのアップデートですが、既存のエンタメ産業における新しいビジネスモデルという意味ではNFTに代表されるweb3.0まわりの技術の組み込み→メタバース→生成AIという流れできてるかと思います。その中でNFTやメタバースは思想や技術としてはこれまでのweb2.0技術と一線を画すも、本質的なユーザー価値は?というところが当時答えが出ずにいわゆる”ブーム”として去っていきました。
表では生成AI系 x エンタメの会社にスポットライトが当たっている印象ですが、一方で水面下ではここの領域で粛々とビジネスを試行錯誤し続けている企業もいて、個人的には今から1~2年かけてここの生成AI x エンタメの会社と自力を虎視眈々と上げている仕組みとしてweb3.0技術を活用して作り上げている会社が交差してブレイクスルーを起こしていわゆる仕組みの強いエンタメ会社が各領域で誕生するのではと思ってます。

次に投資環境のアップデートですが、この期間は1つ業界として大きな分岐点になると思ってます。まずVCのファンドレイズですが、2018~2021年にレイズした多くのファンドが(大半がファンド3あたり?)この時期あたりから自分たちの投資の答え合わせをさせられます。2013年以降の金融緩和時期に調達して多大な成果を出したファンド1やファンド2と異なり、明らかに割高だった投資時のバリュエーションの適正化・市場の競争激化あとは一部ファンドのスケールアップによって業界としてリターンが悪くなると個人的には思っており、結果としてファンドレイズが難しくなるのではと思ってます

また、まだ黎明期だとは思いますが、VC側のヒトも流動的になると思ってます。2010年前後のアーリームーバーに続いて2015年以降投資銀行から大量にCFO人材が流れ込んだようにVC側でも現在業界が拡大している弊害が顕在化すると思ってます。パートナークラスではスタートアップ役員・アドバイザーが多発し、一部スタートアップ実務に向いてない方は大企業やプロフェッショナルファーム(アドバイザリー系含む)のスタートアップ部門に流れるのではないかと思ってます。中堅若手層はコンサルなどのプロファームに入り直したり事業会社の経営企画のメンバークラスとして修業を積む人が増えるのでは?と思ってます。
また、競争環境激化や調達環境悪化より人材の選別も起こり、VCにも強いバーティカルの専門性が求められるようになり、そうした人材が残り、ファンドとの方針の違いで活躍できない人材はスタートアップに引き抜かれる気がしてます。そうしますと2重の意味でスタートアップ側は強い仕組みを持ち込める人材が流れ込んで成長し、同時に差別化をしたいVCもこうした人材プールの拡大によってより大きくなる業界についてはvertical特化のファンドを再び設立し始めるのではと思ってます(日本は市場が小さいからverticalは生まれないと言われがちですが、そこがまさしく今後ジャパンエクセレンステーマに当てはまる業界は成長して変わっていくと思ってます)。その中でここのトレンドの1番の恩恵を受けるのがエンタメ産業だと思ってます(1番アートとサイエンスのバランスを理解しないといけないという意味では人材も希少ですしそういう人材のニーズが高いと個人的に思っていますので)

エグジット環境にについても最後軽く触れておきますと、現在IPO一辺倒だった風潮に対してM&Aも大事だよねみたいなトレンドとGo Globalということでユニコーン目指そうみたいな感じになっていると感じます。実際市場の回復は読めないですが、けっこうIPO市場は24年と25年前半もきついんじゃないかなぁと思ってます(22年23年相対でみたら回復方向には向かっていると思いますが)。グローバルはもしかしたら25年中旬あたり回復の兆しがみえてくるかもしれませんが、どちらかというと日本は固有要因でグロス市場が弱いのではと思ってます。少し大胆な予想ですが、先ほど触れたVC側の人材の流動性も含めて以下3つの変化がこの期間に起こりうるのではと思ってます。
①従来のM&AやPEファンドとは異なった属性や人材プールから成るスタートアップにより特化したアドバイザリーやファンドの台頭と彼らによるスタートアップM&A市場の拡大
②グロス市場ではなくプライム市場や海外上場を直接狙うスタートアップの台頭
③グロス市場が東証二部市場的な位置づけに逆戻りし、成長が弱い割安株のファンドや経営陣による買収が加速。上場している会社は必ずしも成長志向とは限らずプライム市場で起きているような株主還元にフォーカスするような企業も現れる(少しスモールビジネス的な側面を持ったまま上場するイメージ)

最後までお読みいただいた方ありがとうございました。ちょっとだらだら書きすぎて突っ込みどころ満載な投稿になってしまいましたが、冒頭申し上げたビルドアップ含めて本稿が読者の皆さんに考えるきっかけを与えることができれば何よりです。是非共感する点や個人的に取り上げたい部分があればツイッター経由で引用してコメントしてみてください。本記事が面白いなぁと思っていただいた方はしばらくnoteは休みしてツイッター主体になるかもしれませんが、ツイッター(X)やnoteのフォロー/いいね/拡散宜しくお願い致します。

ではでは良き週末を。


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