『シナリオセンター式』で物語の中心部分『起承転結』の『承』を考えるPart1
『シナリオセンター式 物語のつくり方』で作る物語。
前回は『起承転結』の内、『起』の部分について考えました。
今回はいよいよ物語の中心部分ともいえる『承』の部分について考えていきます。
プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方
新井一樹 @Scenario_Center
前回『起』では、
『研究室をどこにしようか』という悩みを、同級生に大学の食堂で友だちに相談する主人公
で物語をスタートすることを決めました。
前々回決めた『転』では
自分の決断をすべてAIに任せていた優柔不断な主人公が、AIとなんらかの手段で決別し、決断力をつけ、成長する
としました。
つまり、今回考える『承』では、この間を埋めるストーリーを作り上げればよいわけです。
『間を埋める』と考えると、なんだかパズルを解く作業のようでワクワクしてきます。
『承』は物語の大部分70~80%くらいを占めるパートになります。
『転』と『起』では一つずつ箱を作ってきましたが、『承』ではとりあえず五つ用意することにします。
もちろん長編の場合は、五つ以上、短編の場合は長さによって減らすということは考えられますが、今回はこの本の教え手に従って五つの箱を作ることにします。
『承』のポイントとしては『主人公を困らせること』。
読んでいて、主人公が何の苦労もなしにゴール地点に辿り着いても、何もおもしろくありません。
数々のハードルを乗り越えて、やっとの思いで辿り着くから物語がおもしろくなるのです。
ただ、闇雲に困ってばかりいても収拾がつかなくなります。
そこで、箱書きの大箱単位で『主人公の困りごと』を散りばめていく。
それも、後半に行くにしたがってハードルは高くなっていくのが理想です。
もちろん、これら複数のハードルは物語の『テーマ』や『アンチテーゼ』に紐づいている必要があります。
関係のないハードルでは、読者は何を読まされているのかわからなくなってしまうでしょう。
そのために主人公の『貫通行動』を決めてあげることが必要です。
『貫通行動』を決めることで、物語に一貫性ができ、矛盾が生まれにくくなります。
「あれ? この主人公、なんでこんな行動をするの?」と思われた時点で、先を読む気が削がれてしまいます(意図的にそうしている場合を除く)。
『貫通行動』には『鬼を退治する』だったり、『愛する人を守り抜く』だったり、『国のために戦う』だったりと大儀のために何かをする、でも良いですし、『世界一のプロ野球選手になる』だったり、『隠されたお宝を見つける』だったり、『世界を征服する』だったりと自分のために何かをする、でもなんでもよいかと。
とにかく一貫した行動を取れるように決めてあげましょう。
そのためには主人公の『欲望』も決めてあげることが重要です。
その『欲望』のために、一貫した行動をとる、と考えれば自ずとその必要性は理解していただけるでしょう。
ここで私は、主人公の『欲望』は『ヒロインに認められるために、決断力をつけたい』、『貫通行動』は『ヒロインにバカにされないようにする、嫌われないようにする』こと、としました。
なんとも消極的な『欲望』『貫通行動』ですが、元々優柔不断な主人公にはピッタリくるのではないかと。
『欲望』『貫通行動』が決まったところで、次はいよいよ『承』の箱を作っていきたいと思います。
今回はここまでで少々長くなったので、続きは次週に。
プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方
新井一樹 @Scenario_Center
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