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【オンラインショップ更新】特集 谷川俊太郎訳の絵本

おはようございます!
古本とがらくた paquet.オンラインショップ更新のお知らせです。

今週は谷川俊太郎訳特集。
日本が誇るすばらしい詩人の一人であり、もはや説明不要かと思いますので、彼にまつわるわたしの個人的なエピソードを短く書き、今回の序文としてみようと思います。

今から二年と少し前、その年の夏から秋にかけて、わたしは広島県、世界遺産となった赤い大鳥居のある宮島で暮らしていました。
普段は島内ではたらいたり、海辺でチルしたりして過ごしていましたが(バイト先で友達もできました)休みの日はフェリーで島を出て、路面電車で広島市街へ遊びにいくこともありました。
商店街にアカデミイ書店というおおきな街の古本屋があり、滞在中に何度か足を運んだのですが、そこで出会ったうちの一冊が谷川俊太郎さんの『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』
真っ白な表紙に力強い明朝体の太字でタイトルが縦書きにされている、1965年に青土社から出版された詩集です。

本は好きでしたが、詩にはさほど興味がなく、谷川俊太郎といえば合唱曲「春に」のイメージしかなかった当時、この詩集を読んで彼の言葉の本当さにぱっと目が覚めた心地がしました。

「葉書を書くよ 葉書には元気ですなどと書いてあるが
正確に言うとちょっと違うんだな 元気じゃないと書くのも不正確で」

旅が日常だったころ、つまりどこにいればいいのかわからなくて、日銭だけを稼いでただぶらぶらしていた日々にわたしははじめて彼の言葉をきちんと読み、その後もとくに何が変わったというわけではないけれど、とにかくそれが谷川俊太郎さんとの出会いでした。

今回紹介する絵本然り、彼の訳書には名作が本当に多いので、古本屋をはじめて海外の翻訳絵本を専門にやるようになり、彼と何度も出会いなおすことになるのは必然でしたが!

前置きはこのくらいにして、さっそく紹介していきます。

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「スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし」
レオ=レオニ 文・絵
谷川俊太郎 訳
1969年 好学社 発行

国語の教科書に載っていることもあり、多くの人の記憶に残っているちいさなかしこいさかなのスイミー。

オランダ出身の絵本作家レオ=レオニの代表作で、日本では今から約半世紀前に谷川俊太郎さんの訳で出版されました。

海で暮らすちいさなさかなの兄弟たち。
仲間たちは赤いのに、スイミーだけは真っ黒でした。
ある日まぐろがやってきて、赤いさかなたちを一匹のこらずたべてしまいますが、泳ぎの得意なスイミーだけはまぐろから逃げることに成功します。

さびしいスイミー。スイミーはひろい海を放浪し、やがて兄弟たちにそっくりな、赤いさかなの群れを見つけます。

「ででこいよ,みんなであそぼう。」

スイミーは誘いますが、彼らはおおきなさかなが怖いからといって岩かげから出ようとしません。

そんな彼らに、スイミーはある提案をします。
かしこくてとても勇敢な、ちいさなさかなのおはなしです。


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「ひとあし ひとあし なんでもはかれるしゃくとりむしのはなし」
レオ=レオニ 文・絵
谷川俊太郎 訳
1975年 好学社 発行


つづいてレオ=レオニの人気作。
原題「Inch by Inch」を「ひとあし ひとあし」と訳すなんて、タイトルからときめきます。

なんでもはかれる「しゃくとりむし」がこまどりのしっぽやフラミンゴのくびや、いろいろな鳥のいろいろな部分をはかって歩くチャーミングなおはなし。

作者二人のよいところが掛け合わされた、すてきな絵本です。


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「ちいさな島」
ゴールデン・マクドナルド 作
レナード・ワイスガード 絵
谷川俊太郎 訳
1996年9月10日 童話館出版 発行

絵本が好きな方は知っているかもしれませんが、作者「ゴールデン・マクドナルド」はアメリカで活躍した絵本作家、マーガレット・ワイズ・ブラウンのペンネームのうちのひとつ。
レナード・ワイスガードとはブラウン名義でもよく組んでいて「あかいひかり みどりのひかり」「しずかでにぎやかなほん」(どちらも谷川俊太郎さんが訳を手がけています!)など名作絵本が多くありますね。

今回紹介する「ちいさな島」はアメリカでその年に出版された絵本のうちもっとも優れた絵本に贈られる賞、コルデコット賞の1947年度受賞作。

ある小さな島の自然を描写した内容の絵本ですが、もし海外作家の絵本であることをしらずに日本語訳だけを読んだら、谷川俊太郎さんの詩だと思ってしまうかもしれません。そのくらい内容とよく合った、すばらしい訳だと思います。


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「おじいちゃん」
ジョン・バーニンガム 作
谷川俊太郎 訳
1985年8月15日 ほるぷ出版 発行


おじいちゃんとのたのしい日々の思い出を記した、ジョン・バーニンガムらしい優しい絵本。

「こりゃ すてきなちょこれーと・あいすくりーむだね。」「ちょこれーとじゃないわ,いちごよ。」

おじいちゃんと孫娘による、どこかとぼけたようなやりとりが続きます。
スヌーピーでおなじみ「PEANUTS」を読んだときにも思いましたが、谷川俊太郎さんのこういう訳って味があるというか、とにかく良いです。

ジョン・バーニンガムは本作で文と絵が一体となった良い絵本に贈られるという賞、エミール/クルト・マッシュラー賞を受賞しています。


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「おくりものはナンニモナイ」
パトリック・マクドネル 文・絵
谷川俊太郎 訳
2005年10月30日 あすなろ書房 発行

仲良しのムーチとアール。
「いつもとちがう日」にムーチはアールに贈り物をしたくていろいろと考えるのですが、アールはベッドもガムも持ってる。

なんでも持ってるともだちをよろこばせるものって、いったいなんなんだろう?

黒のインクで描かれたイラストに赤の水彩のみで色が塗られた、シンプルでかわいい絵本。
二人が行き着く結末にじんわり胸があたたかくなります。


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「きりのなかのサーカス」
ブルーノ・ムナーリ 作
谷川俊太郎 訳
2009年9月 フレーベル館 発行
(現在出版社品切れ)

最後はとっておき、ブルーノ・ムナーリのしかけ絵本。

イタリアを代表する芸術家であり、グラフィックデザイナーでありプロダクトデザイナーであり装丁家であり……さまざまな顔を持つムナーリですが、絵本作家としても多くのすばらしい作品を遺しており、晩年は子どものためのワークショップを各地で行うなど、未来の芸術家たちへ向けた活動に尽力した人物としてもしられています。

「きりのなかのサーカス」はイタリアで1968年に出版されたムナーリの絵本のなかでも特に人気が高い一冊で、日本では1981年に好学社から八木田宜子訳で出版されました。
今回入荷したものは後にフレーベル社から出た新訳版となります。

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丸くくり抜かれたトレーシングペーパーや色紙で構成されており、ページをめくることで霧のなかのサーカスを進んでいくような体験をさせてくれるムナーリらしいデザイン絵本。

出版社品切れのため手に入りにくくなっている作品です。
状態も◎の初版です。この機会にぜひどうぞ。

さすが谷川俊太郎さん。どれもずっと本棚にならべておきたくなる、名作揃いとなりました。

オンラインショップでは今夜21時に販売が開始されるので、気になる絵本がある方はぜひチェックしてみてください。

お買い物をされたお客様には購入特典として、わたしの個人的な読書記録をまとめた小冊子「なにかよむもの」を一回のご注文につき一冊同封してお届けしています。(ありがたいことに残りわずか!なくなり次第終了です。)

最後に、春のイベント情報です!
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一年ほどイベントでの出張販売をお休みしていましたが、3月より感染予防対策をおこなったうえで各イベントでの販売を再開することにしました。

★3月28日(日) たちばな大木戸ひなた市(愛知県名古屋市日置神社)
★4月24日(土) 名古屋アンティークマーケット(愛知県名古屋市東別院境内)

お近くの方は無理のない範囲でぜひ遊びにいらしてください◎
ほかにも調整中のイベントがありますので、情報解禁次第告知していきます!

最新情報はインスタグラムで。フォローしていただけると嬉しいです!

今週末もご注文をお待ちしております◎

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