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乗代雄介ブックトーク「書くことのすゝめ」at おかやまZINEスタジアム(前編)

「おかやま文学フェスティバル2024」の一環として2024年2月25日に初開催された「おかやまZINEスタジアム」において、小説家の乗代雄介さんをお招きしてトークイベントを実施しました。主催の岡山市と乗代さんに許可をいただき、トーク内容の書き起こしをここに公開いたします。 後編はこちら↓ ―きょうは作家の乗代雄介さんをお招きしまして、「書くことのすゝめ」という題でトークイベントを開催いたします。 乗代 よろしくお願いします。乗代雄介と申します。 ―進行は吉備人出版の守

    • 2024年1月14日 15:31〜16:15

      備中高松城址(附水攻築堤跡、国指定史跡) ///たけのこ。あしぶみ。あそんだ 公園西端の東屋のベンチに座って書いている。眼のまえの池では、敷き詰められた蓮の枯れた茎がひょろひょろと背伸びをしながら風に揺れている。 蓮池の左手の橋を渡れば松林のエリアがつづくのだが、現在は工事中で橋の手前から進入禁止となっている。松林を抜けた先には新設されたばかりの資料館があり、そこでは秀吉の水攻めで知られる備中高松城の戦いがVRで体験できる。きょうのところはみな迂回路である南側の遊歩道を進

      • 2024年1月14日 14:09〜14:52

        近水園(県指定名勝) ///ぜんざ。ほらがい。りんご シイノキの下の木製のベンチに座って書いている。見頃の季節には美しい姿を見せる桜や紅葉、銀杏の木が数多く植栽されているが、冬の寒空の下で葉を落としたまま、細い枝先を広げて風の間に立っている。足元には無数のドングリが敷き詰められ、ところどころに深い褐色の椿の実が混ざる。背後には椿の生け垣が土手に沿って続き、近水園の土地を縁取っている。土手の向こうは足守川だ。 眼の前の遊歩道の先には池が広がっていて、樹々を映した水面の下を鯉

        • 2024年2月24日 11:52〜13:10

          岡山城 ///ついか。ひろめる。こつこつ 後楽園 ///およばれ。やるき。みかた 旭川にかかる月見橋の下の河原へ降り、草のうえにオレンジ色のレジャーシートを広げて座って書いている。対岸に見える岡山城は正午ちかくの高い太陽の陽射しをうけて、北側の屋根瓦を白く光らせている。陽の届かない壁面は黒ぐろとして、城全体に強いコントラストが生まれている。書きはじめたところに橋のうえから若い女性の声がした。「あそこレジャーシート広げてなんかしょうる」。流暢な岡山弁だ。声につられて月見橋を見

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        乗代雄介ブックトーク「書くことのすゝめ」at おかやまZINEスタジアム(前編)

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          2023年12月16日 12:30〜13:00

          百間川せせらぎ広場 ///おじさん。さむらい。いっしき 岡山城や後楽園から旭川を三キロメートルほど上流に遡ると、旭川と百間川が分岐する「一の荒手」と呼ばれる堤がある。旭川の水位が堤を超えると、放水路である百間川に水勢を逃がす仕組みだ。その一の荒手を望む土手のうえにレジャーシートをひろげて書いている。オレンジ色のチェックのシートには、前回のワークショップで書いてもらった作家・乗代雄介のサインがある。南西からの風がひどく強まり、シートをしきりにはためかせる。背負ってきたケルティ

          2023年12月16日 12:30〜13:00

          2023年10月14日 11:10〜11:40

          岡山城 ///ついか。ひろめる。こつこつ 旭川にかかる月見橋の下の河原へ降り、草のうえにオレンジ色のレジャーシートを広げて座って書いている。対岸に見える岡山城は、うっすらとした曇り空の下で、快晴だったきのうよりも明るい黒にうつる。こちら岸では三人の釣り人がみじかい竿でアユを狙っている。仕掛けを投げ込んではたぐりよせてをくり返した紺色のチョッキのおじさんが「何もかからんわ」とつぶやいて場所を移した。足元に咲いていた彼岸花がひとつ踏まれて折れた。眼のまえには二センチほどの太さの

          2023年10月14日 11:10〜11:40

          乗代雄介ブックトーク「書くことのすゝめ」at おかやまZINEスタジアム(後編)

          「おかやま文学フェスティバル2024」の一環として2024年2月25日に初開催された「おかやまZINEスタジアム」において、小説家の乗代雄介さんをお招きしてトークイベントを実施しました。主催の岡山市と乗代さんに許可をいただき、トーク内容の書き起こしをここに公開いたします。 前編はこちら↓ ―お待たせしました。後半は、乗代さんを講師とした創作ワークショップ「小説の練習 〜自分を変える風景を書く〜」の参加メンバーでお届けいたします、よろしくお願いします。今回、ライター・イン・

          乗代雄介ブックトーク「書くことのすゝめ」at おかやまZINEスタジアム(後編)