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微笑みと殺伐

新日本プロレスのG1クライマックス、ノアのN-1 VICTORY、そして全日本プロレスのチャンピオン・カーニバル。コロナの影響で各団体最大の売りである「ヘビー級シングルの総当たりリーグ戦」開催スケジュールが重なってしまい、日々嬉しい悲鳴が続いています。

「全日本プロレスTV」で、ジェイク・リー選手が五冠王者の諏訪魔選手を撃破した試合を見ました。一点集中の腕攻めと激しい蹴り。フィニッシュは「変型腕固め」となっていますが、形的にはザック・セイバーJrの使う「ジム・ブレイクス・アームバー」ですね。ザック選手の関節技もそうですけど、付け焼刃ではない長年の研究で培った確かな技術を感じました。そしてなにがなんでも勝つという闘志と執念。心を打たれる死闘でした。

試合後のコメントも秀逸。

最初がジェイク選手です。

「最後の最後まで耐え抜いたら、ああいうチャンスっていうのはいきなり巡ってくるんですよ」「俺はこれ、人生でも置き換えられると思う」「耐えに耐えに耐え凌いで、ここだっていう時までは、しっかり実力を養っていく」
「メインテーマは『人は変われる』ということ」

高身長で爽やか、そのうえ弁も立つジェイク選手。某女性週刊誌に「イケメンレスラー」として取り上げられたこともあります。こういう選手は得てしてコアな男性ファンに嫌悪されるのですが、もったいない話です。実はかなりの苦労人。ウェイトリフティングをしていた大学時代に怪我をし、スカウトされた全日本プロレスも一度は退団しています。その後は総合格闘技に参戦しつつ、整体師をしていたとか(ちなみに大学の奨学金をいまも返済し続けている模様)。

彼がデビューを控えていた2011年の春ごろ、全日本から新日本へ転戦しようとしていた鈴木みのる選手が「全日本の次のスターを見つけた」みたいなことを週刊プロレスの連載に書いていた記憶があります。当時次世代のスターと目されていた真田(現・SANADA)選手やKAI選手のことかと思いきや、それよりも下の世代だと。たぶんジェイク選手を指していたのではないでしょうか。だとしたら、みのる選手の先見の明はすごいですね。いつか殺伐とした再会を期待しています。

これを書いていて、2017年のG1で久しぶりにSANADA選手とシングルで対戦した時のみのる選手がどこか嬉しそうに見えたことを思い出しました。「なに粋がってんだよSANADA!」という試合後のコメントにも歴史を感じました。いまのジェイク選手と向かい合ったら、どういう表情を浮かべるのでしょうか。


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