新芽🌱

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分断を煽ることからは、できる限り距離をおきたい。スクショ含めた無断転載は厳禁。https://www.instagram.com/ichiha_photo?igsh=ZXF5cDlnZThoN2ts

最近の記事

今週の練習成果

    • 今週、読み終えた本 『トランスジェンダーになりたい少女たち』 『そして陰謀が教授を潰した』 『刑事弁護人』 『「やさしさ」の免罪符』

      ネット上だけでなく現実世界でも大炎上、賛否両論の嵐という本書。実際に読んでみると、いわゆるトランスフォビア的な本ではないし、トランスヘイトを煽るような内容でもない。しかし、文章のごく一部ではあるが皮肉や嫌味に受け取れるようなちょっとしたトゲがあり、こういうところは反発を招きそうだなと感じた。決して「中立的」とは言えないが、本書を販売する現実の書店が脅迫を受けるような内容とも思えなかった。 新聞記者出身らしい嫌らしさや傲慢さを感じる部分がありながらも、それが逆に筆者の魅力につ

      • 精神科医としての得意分野は?

        医局の医師全員が集まっている場で、若い先生が「精神科の得意分野を持つほうが良いのかなと思ってるんですが……」と相談した。 たとえば児童思春期、あるいは認知症、依存症といった領域。 その場では、こういう場末の民間病院では「なんでもみる」のだから、特になにかに絞ってできるようになるより、どんな人でもみられるようになるほうが良いのではないか、という話になった。 その後もつらつら考えるうち、以下のようなことを思いついた。 「得意分野」って、なにも児童思春期や認知症や依存症という

        • 今週の練習成果

        今週の練習成果

        • 今週、読み終えた本 『トランスジェンダーになりたい少女たち』 『そして陰謀が教授を潰した』 『刑事弁護人』 『「やさしさ」の免罪符』

        • 精神科医としての得意分野は?

        • 今週の練習成果

          今週、読み終えた本 『紛争地で「働く」私の生き方』

          今週は読み終えた本が一冊だけ……!! やっていることはすごいが、言っていることは青臭い。 ただ、その青臭さは、冬が終わった春の原っぱで感じるような、どこかワクワクする青臭さ。 著者の活動に敬意を表す。 いま読んでいる途中の本。 ネットで賛否両論の嵐だったので購入してみた。週末で読み終えるかな?

          今週、読み終えた本 『紛争地で「働く」私の生き方』

          人工内耳とコミュニケーション文化の話

          ろう学校の先生には「人工内耳には否定的」という人もいるらしい。 これを知ってすぐに思い出したのが、神経内科医オリヴァー・サックスが紹介していたケース。 生まれつき盲目の人が治療を受けて見えるようになったが、かなり戸惑って「見えないままが良かった」と言う話があった。その人は「遠近」「透明」などが分からず、戸惑い、混乱したという。 人工内耳も、当事者が「やらないほうが良かった」と言うことがあるのかもしれない。そして、人工内耳に否定的なろう学校の先生は、もしかするとそういう「やら

          人工内耳とコミュニケーション文化の話

          J.K.ローリングにガッカリ……

          私の大好きな物語『ハリー・ポッター』の作者であるJ.K.ローリングが、オリンピックの女子ボクシング、アルジェリア代表のImane Khelif(以下、ケリフ選手)に対するネットハラスメントの加害者として、ケリフ選手から刑事告訴されたらしい。 この問題、最初は「ケリフ選手はトランスジェンダーで、もとは男性である」という噂から始まり、途中からは「出生時には女性と診断されたが、国際ボクシング協会(IBA)の検査で性染色体がXYと判明した」という話になった。 私も最初は噂に引っかか

          J.K.ローリングにガッカリ……

          今週の練習成果

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          今週、読み終えた本 『やめる力』 『黒い海』 『刑事たちの挽歌』

          経済学部3年生のとき、退学しようと思ったことがある。母から「やめ癖がつくから卒業だけはしなさい」と言われ思いとどまった。 故郷を遠く離れたブックオフに就職したが1年で退職した。このときは「やめ癖」云々は言われなかった。 医学部受験の浪人中、自信をなくしかけて薬学部に変更しようと思ったが、母から「せっかく勉強するんだから目標は変えるな」と言われ踏みこたえた。 結果、今は医師として働き、看護師だった妻と巡り会い、4人の子の父として生きている。「あのときやめていたら」「あのときやめ

          今週、読み終えた本 『やめる力』 『黒い海』 『刑事たちの挽歌』

          死者に雨を、生者に傘を

          原爆忌の今日、天気予報は晴れだった。 だが、十一時を過ぎた頃から雲行きが怪しくなり、やがて土砂降りになった。 大学の講義室前の階段に、高齢の男性が独り座って雨を眺めていた。 私は講義室に戻り、ずっと置き去りにされて埃まみれでボロボロになった傘を拝借した。そして、彼に「どうぞ」とその傘を差し出して気づいた。 雨を見ながら、彼は泣いていた。 原爆に遭った人たちは、喉をカラカラにして亡くなったと聞く。 この雨は、渇いた魂たちに対する慰霊の雨なのかもしれない。 そういえば、近

          死者に雨を、生者に傘を

          今週の練習成果

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          今週、読み終えた本 『農協の闇』『人生の勝算』『影響力の科学』

          母方祖父が農夫だったこともあり、農協は私の感覚的にそう遠くない組織だった。そして、母に農協の悪口を聞かされてきた。母は保険の外交員で、本社表彰されるほどのやり手だった。その母から見て、農協のやり口は高齢者を手玉にとる卑怯なものに映ったのだろう。だから本書を読んでも驚くことはなかった。今は叔父が引き継いでいる農業。さて、農協との関わりかたはどう変わっていくのだろうか……。 若くしてすごい野望を抱き、それを実現する人がいるんだなぁ、と思った。しかし、49歳の自分には、この本から

          今週、読み終えた本 『農協の闇』『人生の勝算』『影響力の科学』

          夏だから、怖い話を

          ある若い男性が、通勤途中にあるマンションの上階から外を眺める女性に気がついた。 毎朝毎夕、彼女は外を眺めている。 もしかすると、僕の通勤帰宅に合わせてる……? 今日も、こっちを見ている。 さっき、手を振られたような気もする。 そう考えた彼は仕事帰りに部屋を訪ねてみたが、呼び鈴を押しても誰も出てこない。 そして、部屋からは、かすかに異臭が漏れてくる。 彼はハッと気づいた。 マンションの上階にいる人の姿が地上から見えるなんておかしいじゃないか。 踏み台に乗っているのならま

          夏だから、怖い話を

          今週の練習成果

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          今週、読み終えた本 『「愛着障害」なのに「発達障害」と診断される人たち』 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 『人に頼む技術』

          かつて自閉症は母親の育てかたによるものと言われていた時代があり、「refrigerator mother」という言葉もあった。ところが生物学的な要因が解明されていくと、「生得的なものであって養育環境は無関係」と、振り子が極端に真逆に振れてしまった。 精神科での診断には流行のようなものがあり、発達障害の診断が乱発した。著者はこのことについて警鐘を鳴らし、生得的なものと養育環境とを合わせて考えるべきだと説く……のだが、そこにちょっとした落とし穴を感じる。著者の筆力が高いせいで、本

          今週、読み終えた本 『「愛着障害」なのに「発達障害」と診断される人たち』 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 『人に頼む技術』

          断言しないといけないとき

          ある統合失調症の人との会話。 「昔は世界が楽しかったのに、今は怖くて……」 「楽しい世界を取り戻すことを、僕たちの目標にましょう。幻聴はなくなったけど世界が怖いままというより、幻聴は残ってるけど世界の楽しみが戻るほうが、目標として良くないですか?」 「できますかね……?」 「できます」 そんなふうに「できます」なんて断言しないほうが良いのでは? と言う人もいるかもしれない。 しかし、この場面では、断言しないといけないのだ。 統合失調症をはじめ、精神科での治療の多く

          断言しないといけないとき