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今週、読み終えた本 『トランスジェンダーになりたい少女たち』 『そして陰謀が教授を潰した』 『刑事弁護人』 『「やさしさ」の免罪符』

ネット上だけでなく現実世界でも大炎上、賛否両論の嵐という本書。実際に読んでみると、いわゆるトランスフォビア的な本ではないし、トランスヘイトを煽るような内容でもない。しかし、文章のごく一部ではあるが皮肉や嫌味に受け取れるようなちょっとしたトゲがあり、こういうところは反発を招きそうだなと感じた。決して「中立的」とは言えないが、本書を販売する現実の書店が脅迫を受けるような内容とも思えなかった。


新聞記者出身らしい嫌らしさや傲慢さを感じる部分がありながらも、それが逆に筆者の魅力につながっていて、惹きつけられる本だった。こういう執念深さがないと、記者は務まらないだろうなとも感じた。
青山学院で起きた強姦事件の真相を追いながら、脇役的な登場人物の履歴にも少し深く入り込んでいく、そのフラフラ感が心地良い。
この事件、私にはどう見ても冤罪に思える。検察も裁判官も、とてもまともな仕事をしているとは言えない。「疑わしきは罰せず」はまったく機能せず、「疑ったら罰す」。現代の痴漢問題にも通じる話で、男性にとっても、女性にとっても、こういう状況はマイナスでしかないと思うのだが……。


GPS捜査の違憲性を問う裁判に関するノンフィクションなんだけど、中盤以降は「池井戸潤か!!」ってくらいにグイグイ引き込み熱くさせる小説のような展開と描写。
とても良い内容だった。


前著『「正しさ」の商人』に比べるとやや読み疲れしてしまったが、良い本ではあった。

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