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誰かに勧められた本は読みたくなる 。 Vol.3

こんにちは。

あっという間にもう3月ですね。
ポカポカの陽射しの中で本が読める季節です。

そんな時に読んでほしい、「誰かに勧めたれた本は読みたくなる」シリーズ。
vol.1 はこちら
vol.2はこちら

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 / 若林正恭 (文藝春秋)

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お笑い芸人オードリー・若林正恭さんのキューバ旅行記です。

競争社会、お金があれば幸せになれるんだという<新自由主義>な日本から抜け出すために、<社会主義国>のキューバの景色を見に行く、というお話なのですが…… 旅で見た景色とリンクするように、若林さんが「生きづらい」と感じた過去の思い出が織り込まれていて、それを読むたびになんとも言えない気分になります。「なんか毎日つかれたな…」と感じる人にとっては、より自分事として楽しめるんじゃないかと思います。(疲れすぎてる人は、泣いちゃうかもしれません)
キューバに行きたい!旅がしたい!と思わせてくれる本というよりも、「生きづらい」「なんかだるい」「とりあえずめんどくさい」という、なんとも言葉にしづらいモヤモヤを、若林さんが代弁&浄化してくれる本だと思います。
ちなみに2017年刊行の本書は、2020年に文庫化されました。文庫版ではモンゴル編・アイスランド編・コロナ後の東京編の3編が追加されており、「コロナ後の東京編」もグッとくるので、文庫本をオススメします。


またここか / 坂元裕二 (リトル・モア)

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この本は、「東京ラブストーリー」にはじまり「mother」や「woman」、「最高の離婚」「カルテット」など、名ドラマを生み出してきた脚本家 坂元裕二が書いた舞台脚本です。
舞台の脚本って、セリフとセリフの間から、自分で想像しなくてはならないことが多くて読みにくそう、と思われるかもしれませんが、意外とそんなことはないです。
脚本だからこそ坂元裕二らしい小気味の良いセリフがたっぷりと味わえますし、ト書きもしっかりと書かれているので状況の想像はしやすく、気軽に読めます、ので、戯曲と聞いて二の足を踏んだ人には安心して読んでほしいと思っています。
作品全体はシリアスなトーンに包まれているのですが、終始奇妙で軽妙な会話の掛け合いが面白く、真面目な場面なのにちょっと笑ってしまうシーンが多く、完璧にドラマチックな物語より妙なリアリティがあります。
タイトルの「またここか」というのは、自分が何度も同じ過ちを犯したときの、同じところに立ち尽くすような感覚を指していて、そういう自分ってどうしようもないなあと感じてしまう瞬間とどう付き合っていくかに、答える作品です。その答えが、今まで切実な物語を描き続けてきた坂元裕二の書いた答えとしてとてもしびれるものなので、物語や、物語を作る人が好きだぞという人にはぜひ読んでもらいたい作品です。


モーパッサン短篇選 / ギ・ド・モ-パッサン 高山鉄男  (岩波書店)

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「女の一生」「脂肪の塊」で有名なモーパッサンですが、沢山の短編を残したことでも知られています。
この短篇選に記されている作品は、明るいテーマのものもあれば暗いものもあります。そのどれもが、読み手の予想を裏切り最後の数行だけではっとさせられるストーリー展開になっていて面白いです。
短編ということもあり読みやすいですし、それでいて大きな余韻を残す作品が多いので、寝る前に読むのがおすすめです。


楽園のカンヴァス / 原田マハ (新潮社)

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この1年で本を選ぶ基準が変わり、読み直したいと思った1冊です。素朴派の巨匠、アンリ・ルソーの大作「夢」。
もし「夢」と似通った絵画があるとしたら…。MoMAの「夢」は贋作なのか、それとも”これ”が「贋作」なのか。
1つの絵画をめぐるアートミステリです。魅力は、キュレーターの原田マハだからこそ描ける、易しくて美しいルソーに対する描写。
本を読み終わったらルソーに対する愛が増しまし、溢れ出て、早くMoMAに会いに行きたい!と思うはず。
特に「ルソーの絵がわからない」人から「アンリ・ルソーは下手で好きじゃない」と思っている人、大きく言えば絵画に興味がない人にこそ読んでほしい本かなと思います。
もちろんピカソも出てきます!アートミステリとして読み応えがあるだけではなく、ちょっとした脳内旅行にもオススメです。舞台は倉敷、大原美術館からニューヨーク・バーゼル、パリと様々な街で展開されて行きます。
自分の記憶と照らし合わせながら本を読み進めるのもよし、自粛解禁後の旅行へ思いを馳せるでもよし。
一大エンターテイメントとして読んでほしい1冊です。世界が様変わりしても、時間は止まってくれないから。
カオスな世界線からの逃避行を手伝ってくれる一冊、どっぷりと夢の世界へ入り込んで行って欲しいです!

ご紹介した本は、すべてBLTのSTORESで販売していますので、ぜひご利用くださいね。

BOOKLABTOKYO 富澤

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