読書会を育てる(19/06/02版)

▼私は昨年(2018年)10/20(土)から、オンライン会議システム「Zoom」を介してオンライン読書会を開催しています。私にとってこの読書会の開催はもう何回めかのものでありますが、これを「最後の開催」として、つまりは、今後はこれを中断させることなく続けていきたいと考えているところです。

読書会って?

▼「読書会をしてますので、よろしかったらお越しください!」とお声かけしても、ピンと来ない方がいらっしゃることに、最近ようやく気がつきました。つまり、「集まって本を読む(=朗読とか黙読とか)んですか?」という反応があるということにです。

▼これには、読書とは「一人で」「黙々と」するものという、一種の固定観念があるからなんだと考えています。もちろん、読書は最終的に「一人で」するものであるとは思います。それは「一人で」しか生きられないのと同じ意味ですが、それについてはまた別の機会に・・・。

▼しかしです。ちょっと振り返ってみてください。映画を見たり、コンサートに行ったりして楽しかったことは、つい人に話をしたくなりませんか?

▼あるいは、食事を気の合った仲間とすると、一人で食べているよりも楽しかったり、おいしく感じられたりしませんか?

▼実は、「読書」も同じなんです。打ち解けた仲間に、読んだ感想や意見を話す。あるいはそれを聴く。それを「会」として行うと、読書の楽しみは、たぶん倍化します。なぜならば、一人で読んでいると気がつかなかったその本の美点に気づかされることが多いからなんです。

どう進めているの?

▼現在、12回まで進めている読書会について説明をさせていただきます。この読書会では、3つのパターンで会を進行させています。

▼一つは、読書にちなんだ話題を元にして発言をしていただき、それを元に意見を述べ合うというスタイルです。今までの実績を書くと、

・名刺代わりの1冊、
・はじまりの1冊、
・読書ノートについて(予定)、
・2018年のベストとMVP
・私を支えた1冊
・2019年の抱負

などです。(→Aパターン)

▼もう一つのパターンは、(1)1冊の購読テキストを決め、(2)範囲を指定した上で読んでおいてもらって、(3)実施日に感想や意見を述べ合う、というものです。これについては11/17(土)をしており、テキストには菅野仁さんの『友だち幻想』(ちくまプリマー新書)を指定させていただきました(→Bパターン)。次回1/26(土)に『友だち幻想』が終了する予定ですので、2月からは齋藤孝さんの『読書力』(岩波新書)を読む予定です(その後、『こころ』と『人間失格』を読みました)。

▼さらに、参加者それぞれの方に「推薦本(=推し本)」をご紹介いただくCパターンを用意しました。このAパターンからBパターンとを交互に挟んで毎週土曜の20時から、約1時間から1時間半を使って行っていきます。

この読書会で目指すものと可能性

▼ここからは、ちょっと誇大妄想的なことも書きます。お含みおきください。

第一の目標は「楽しさ」です。先ほども書いたような、一人でする読書では味わえない楽しみを追求する。その中で「読み深め」を狙っていく。これが第一の目標です。

▼この「読み深め」という言葉を初めて見たのは、経済史家の内田義彦さんによる『読書と社会科学』(岩波新書)の中であったと思います。会での発言を注意深く聴き、聴かれる。そうすると、発言者がそうとは気づいていなかったことをすくい取ってもらえる。ことによると、その中には著者の「意図せざる真意」さえも含まれていることがあると思います。そういったことは、対話と「傾聴(とさしあたり言っておきます)」から生まれるものではないかと考えるものです。

第二には、参加者の相互啓発です。人が人に対する最大の貢献とは、触発を与えるということであると私は考えます。一人ひとりが、お互いの「善き所」を見出し、伸ばしあっていくことが可能ではないかと私は考えております。

▼第三に、そのことを通じて、人と人との関係性を磨き、更新していく。そのことが可能なのではないか。そんなことを「妄想」しています。

▼これらのことを、「文化としての読書会」を通じて実現することができるのではないのか。基本になるのは、著書(=著者)と発言者に対する敬意、リスペクトです。いまのこの社会、「人間に対する敬意、リスペクト」が決定的に足りていないと予感しています。それに抗して、読書会こそが「人に対する敬意」を育む小さなコミュニティとして機能しうるのではないのか。そんなことを考えています。

▼本稿は以上となります。お読みいただきまして、ありがとうございました。

※なお、本稿は2018年11月にブログに書いたものに、若干加筆して公開したものです。お含みおきください。また、読書会へのお問い合わせは、本稿へのコメントか以下のTwitterアカウントまでお寄せくださいますようお願いいたします。


最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。ときどき課金設定をしていることがあります。ご検討ください。もし気に入っていただけたら、コメントやサポートをしていただけると喜びます。今後ともよろしくお願い申し上げます。