見出し画像

【本とわたし】  心に残った3冊。

   来週二十二日金曜日に「冬至」を迎えますね。昼が最も短くなり夜が最も長くなる日。この日が過ぎるとまた、夏至へ向かってゆっくりと日中の時間が長くなっていきます。そして冬至が過ぎれば、子どもがウキウキ楽しみにしている「クリスマス」も近づいてきます。
 さて、この一年で読んだ本の数は、今のところ71冊。その中で心に残っている(最高だった)3冊をご紹介します。宜しければ是非お付き合いください。



「生きることと死ぬこと」がずっと横たわっていた

 今年、わたしの読書の軸になっていたテーマだったなぁと振り返って思います。死生観。そういう本を求め読んでいました。振り返ると、お正月に読んだ『ミトンとふびん』からはじまり。

生きている限り生きようよ、体も生きてるしという答えを毎回出して、ただここにいるだけでいい。それが幸せなんだ。

ミトンとふびん/吉本ばなな


読書を通して『自分を知ろうとする』

 それは、今私が考えていることの整理だったり。今感じていることを見つめる時間だったり。本の「言葉」を通して、自己を見つめる時間となりました。それを記す「日記」の存在も、やっぱり大きかった。書くことで、確かめている。歳を重ねてもなお、読んで、書いて、見つめる。この流れは欠かせない。これは私を創る人生の一部となってるし、私を支えている。

1冊目、悲しみこそ姿を変えた喜び。

 わたしがほんとうに知りたいと思っていることの答えが、この本のなかにある気がしてならない。読了後も、棚に戻さずに、積読本のなかに入れている。読了後に味わったなんとも言葉にしがたい「それ」がある。その『それ』が(申し訳ない)言葉にはできない。だから、もう一度読みたいと思っているんだと思う。

 付箋をつけたすべての文章を日記に綴りたい。私にとって『見逃してはならない言葉』がこの本には詰まっていた。ただ書いて終わるのではなく、その言葉から何を感じているのかも記したい。・・・そんな時間を、年末年始に過ごしたいと思っている。

若い時代は肉体の季節である。
若者たちはその肉体で世界を感じ、世界を掴もうとする。
中年、壮年の時代は心の季節である。
肉体はもう若者のように働きはしないが、
そのかわりに心によって世界を感じ、世界をつかもうとする。

P92

それを誰かに与えてもらうことはできない。
どうしても自分で探さねばならない。
たとえ、ある本を与えてもらっても、
それが『良い本』になるとは限らない。

P220



2冊目、女はいつもこぼしている。 

 「女」が「女」として、より強い自覚と意識の目覚めを、この本によって与えられたように思う。「現代女性必読書」と、裏にある言葉の本当の意味がわかる。ここに書かれていることを、今の私だからすんなりと受け入れて、心身で溶かすことができるのかもしれない。20代や30代前半ころに出会っていたら、ここまで言葉が届かなかっただろうと思う。いろいろな経験を経たから「分かる」ことがある。
 質素な生活、内的な自足、人間的な関係の充実を求める・・・私もです、と言いたい。もっと質素に、物は少なく、必要最低限に。食は土鍋ご飯と、出汁をとったお味噌汁を基本に、副菜は1品。そして毎月、大切な人たちと過ごす時間を多く持ちたい。そしてちゃんと、ひとり時間も作る。
2024年もきっとそんな一年になる。


しかし最も近い二人の人間の間にも無限の距離がやはりあることが理解され、それが受け入れられれば、そしてもしこの二人が二人の間にあるこの距離を愛するに至るならば、それは互いに相手の全体を広い空を背景に眺めることを許して、二人だけのまたとない生活が始まることになる。

P97


もう1冊は非常に悩みました。『それでも食べて生きてゆく』『死ぬまで生きる日記』『日日是好日』『吉本ばななさんの本すべて!』これらの本はどれも良かったし、私の内面に影響を与えてくれたから。

3冊目、人は美しくなるために生きている。

「こうやって互いに歳はとったけれども、変わっていないと感じるということは、心の歳は取ってないということなのですかね。でも、心が歳を取るってどういうことなのでしょうか」と僕が言うと、「きっといろいろなことが変わっているとと思うけれど、瞳の輝きや色は変わらないというか、本来の自分の瞳の輝きや色を、さらにきれいに磨いていくことが、心の歳を取るってことじゃないかしら。瞳の輝きや色を失っていくことは、残念なことに心の歳を取っていないということかもしれないわ。それは人として成長していないということ。」

P119

『年齢を重ねる、または心の歳を取るということは、一歳、そして一歳と、美しくなるということ。人は美しくなるために生きている。人は瞳を磨くために生きていると思った。』(P121)
 
この本に書かれているすべての言葉が好きだった。そして『私もそう在りたいです』と気づく、そういう姿を鮮明に描く、そんな読書時間だったと思う。『老いていくことは、自分らしさに近づくことでありたい。』また新しい一年を迎えるということは、また一つ歳を重ねることでもある。2024年もまた自分らしさへと近づいていく。ますます生き生きとして、瞳が輝いているわ、きっと。


書きたくても書けない時期が続いていた。

朝の光を浴びてる、わたしの本棚

 こういう朝のなんでもない「一瞬」を見逃さないこと。美しいなぁ、いい時間ねと思う、この心を持ち続けたいと思う。数分も経てば、またこの景色も変わっていく。冬場は日射角度が低いからこそ、こういう光が部屋へ差し込んでくれる。冬も好きです。

 noteを書きたくても書けない時期が続いていた。書きたいことはこの胸に宿っている。けれども、それをそのまま言葉にすることの難しさにぶつかっていた。長い文章を書くことは、読む相手に「わたし」をオープンに見せることになる。どこまで開き・どこまで閉じるのか。その判断をできずにいた。

 温かな言葉を、柔らかい言葉を、少しでも紡ぎたいという想いがある。「まだ時間が必要だね」「まだもう少し必要だよね」と止まっては自分に問いかけ、気持ちを聞いてみていた。きっと時間が解決してくれる、そう信じていた。

 こうしてやっと文章としてまとめることができて、時間がかかったものの、とてもホッとしている。嬉しい気持ちでいる。そして、何よりも読んでくださる方がいることが、本当に嬉しい。いつもありがとうございます!

 どうぞお身体大切に、お元気でいてくださいね。



この記事が参加している募集

読書感想文