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無色透明なフィルターでありたい

本日は出版プロデュースにおいて個人的に普段心がけている、ささいだけれど、1つの大切なエッセンスをお話します。

戦略的ストーキング

そのエッセンスとは、ブックダムがプロデュースしている著者さんの発信を毎日定点観測すること。主にSNSが中心ですが、投稿されたら都度アラートが鳴るように設定しています。
「粘着質な性格だよね」と自分をよく知る人から言われるような人間ゆえ、その習性はさながらストーカーです。

これらは業務として著者さんにお約束していることでもなく、表に見えてくることでもありません。だからどうしたという話ですが、そんなささやかなアクションも無駄にはならないよというのが今回のテーマです。

感覚的に憑依する

第3者の放つ言葉、メッセージを習慣的にシャワーのように浴びていると、感覚的にその方を少しずつ理解できるようになってきます。

今何を考えているのか。何に注力しているのか。何に興味関心があるのか。何に悩んでいるのか。未来に何を見据えているのか。好きなもの、嫌いなもの。価値観。人生観・・・。
もちろん理解の度合いには限界がありますし、一言一句覚えていられるわけがありません。それでも相手の現在(いま)を「感じれる」ようになるのです。

その方に自分を憑依させていきながら、直観を研ぎ澄ませていくプロセスといえます。

出版プロデュースにおける効能

私の場合、仕事における憑依の対象は著者さんにあたります。
その効能とは、出版という一つのプロジェクトにおける、目的・意義・コンセプト・ゴールを固めていく上でも、書籍の製作やプロモーションを進めていく上でも、プロジェクトそのものの「免疫」を担うことだと捉えています。

「免疫」とは、まさにウイルスや環境変化のような外的要因に対する抵抗力を指します。

プロジェクトは生き物ですから、すべて予定通りに事が運ぶことはないと言っていいでしょう。むしろ当初の予定通りに行く方が不健全かもしれません。関係者で幾度も議論を交え、試行錯誤して頭と手を動かしながら、より良い書籍の内容、より良いプロモーション手法を求めていくのが健全です。

しかし、プロジェクトの軸が揺らいでしまうようなことがあれば本末転倒です。「最終的に読者と著者にお返しする結果=ブックダムの出版プロデュースの価値」が提供できない未来に直結します。
そこで、目的・意義・コンセプト・ゴールの源泉となっている著者さんの想いや考えをどれだけ理解しているかが、「免疫」として作用していくわけです。

いわば、著者さんの過去・現在・未来、そして現在進行形を感覚的にでもどれだけ理解しておけるかが、後々軸を揺るがしかねない、ささいな違和感やズレに気づけるかどうかを左右する決め手になります。

無色透明を目指す理由

人は誰しも固有の考え、価値観があります。変化していくものもあれば、原体験に紐づく変えづらいものもあるでしょう。もちろん私にもあります。

だからこそ、著者さんに対しては、できる限り自分の「色」を無色に近づけて向き合うようにしています。その方が、著者さん特有の「色」を敏感に感じ取れる受容体になれるからです。

共鳴する部分もあれば、恐怖や異物を感じる部分もある。でもその恐怖や異物こそが、書籍の企画における独自性や新規性になることもしばしばです。違う部分、自分にはない部分を歓迎して直視したほうが良いのです。

無色透明なフィルターであれれば、究極的にどんな人と相対しても、自分視点で相手の素晴らしいところ、長所、強みを客観的に認識できます。
出版プロデュースという仕事に携わる中で、自分の理想とする在り方も見えてきました。

じつに意義を感じる仕事です。(しみじみ)

今回もお読みいただきありがとうございました。