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午郎’s BAR

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どうも、近藤です。大手書店の持ち株会社に勤務していたのに、わざわざ辞めてブックダムマーケティング担当(書店営業含む)になった酒飲みです。 主に書店・出版業界の記事に対する分析をし…
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記事一覧

「2028年街から書店が消える日」著者の12提言への議論(午郎’S BAR 15杯目)

前回の予告通り、2024年7月29日にプレジデントオンラインに掲載された、今回のタイトルにある「2028年街から書店が消える日」著者、小島俊一氏の 「2028年までに本屋はすべて消滅する」…元書店経営者が真剣に訴える「瀕死の店舗を再生させる12の提言」 昭和のビジネスモデルから脱却するとき について、小島氏のお望みの議論があまり行われている気配を感じません。 多分それは *タブーに踏み込みたくない *自分の知りえない部分が多い *あきらめ ではないかと思いますが、氏の望む議論

午郎’S BAR リニュアル

皆さま、今晩は。(一応BARなので挨拶も夜の方が良いかと) 13回このnoteを書いて参りました。ところが個人noteの執筆の方に意外と時間を取られてしまい、当初の予定であった、ゆるーく出版業界の裏話、がなかなかネタも見つけられず・・・ 一方で個人noteは結構出版業界のハードネタを深堀しているため、非常に時間を取られ。 これではいかん、と思い、思い切ってフォロワー数が増えてきたにも関わらず、個人noteで、「今後noteはブックダム公式noteに統一します」と宣言してしまい

コラボブックカバーのリアル    (午郎’S BAR 8杯目)

牛乳石鹸ブックカバー、席巻する10月から11月にかけて、書店界隈を賑わせたのは、「牛乳石鹸 赤箱 青箱 ブックカバー」である。文庫サイズのブックカバーに牛乳石鹸のパッケージをデザインしたものを、配布書店で文庫を購入した人にこのブックカバーを「巻く」。これが話題になっていて、このブックカバーをメルカリで出品する人も出るほどである。 最初は大阪の正和堂書店とのコラボで8月にこれを1000枚配布したところ話題となり、その後全国の書店がこれに追随する形となった。 今回は、たまにこうし

6杯目の答え合わせ(午郎’S Bar 9杯目)

6杯目の予測は正しかったのか?6杯目で、日販・紀伊國屋書店・カルチャーコンビニエンスクラブ(以下CCC)の合弁会社「ブックセラーズ&カンパニー」(以下BC)の設立背景とその目的や今後の動き等を予測してみたが、あれから半年近く経過し、いろいろな情報が明らかになってきた。 6杯目での予測はリリースをベースに、私なりにそれらを推測した内容になっているが、ちゃんと答え合わせをしないといけない。 6杯目の際、私が強く感じた部分を整理すると 「新しい座組を活用した日販の出版社に対する条

ウィスキーキラーの記事 午郎’S BAR13杯目

いままでブックダム公式noteの他に、個人的にもう一つnoteアカウントを持って何本か記事を公開して参りました。 特に「書店経営難を考える」は4回連載して、現行出版制度の中で、書店経営難の最大の要因である書籍雑誌セグメントでの黒字化達成への道筋を検討しました。 ウィスキーキラー名義のnoteはかなり重い内容のものが多く、また、多少リスクのある、センシティブな内容が多いため、あえて個人アカウントで書いて参りました。 ブックダムでは月初の会議で各人のSNSアカウント運用につい

「本屋応援チャンネル」にお招きいただきました。(午郎’S BAR 12杯目)

5月末からYoutubeの「本屋応援チャンネル」が始まりました。このチャンネルは前回取り上げさせていただいた「2028年街から書店が消える日」の著者、小島俊一さん(元明屋書店社長)が、この本に登場する30名弱の出版業界関係者と1対1で10分強対談する番組で、私は第7回目のゲストとしてお招きいただきました。お時間ありましたら是非視聴いただけると幸いです。 今回はこの番組でお話ししたこと、時間の制約でお話しできなかったこと、そして番組の裏話を書かせていただきます。 今回お話し

無書店自治体簡単なまとめ     (午郎’S BAR11杯目)

以前は全国紙以外では殆ど報道されていなかった「無書店自治体問題」が、このところ地方紙でも扱われるようになり、それぞれの記事を読むたびに、「なんとなくさっと書きやがったな」と思う今日この頃。 この問題については4杯目で一度取り上げていますが、そこに書いていない要素を加えて、無書店自治体問題の簡単なポイント整理をしておきます。 マスコミの方は参考にして欲しいのですが。 *無書店自治体問題は2013年ころからほんの少しずつ取り上げられている。 *無書店自治体ができた、或いは増加し

午郎’S BAR 10杯目「書店をテーマにした本」

私も職業柄出版関係の書籍を大量に読んできた。このジャンルの本はやはり書店や出版社の従業員をターゲットにしている本が多く、意外と専門的なものが多い。しかし、その一方で書店員や書店経営者が書いた本も多く存在し、その殆どが「出版業界以外の方々に読んで欲しい」と思って作られたもの、のように思える。 書店という小売りの裏側、店主や経営者の思い、などを1冊の本にまとめて、本を介して読者にアプローチする、書店に関わるものとして至極まっとうな媒体選択に思える。 今回は「書店」に関する本につい

新刊本はどのようにして書店に配られるのか?(午郎’S BAR 7杯目)

『踏み出す一歩』発売 10月13日にブックダム出版事業第1弾『踏み出す一歩 そして僕は夢を追いかけた』が発売されます。著者は現在米大リーグ、テキサス・レンジャーズ投手育成コーチ倉野信次さん。 倉野さんが、日本プロ野球福岡ソフトバンクホークスの投手コーチを辞めて、単身大リーグの投手コーチになるために渡米し、1年後正式に契約するところまでのチャレンジをまとめたものになります。 是非皆さんにもお読みいただきたいのですが、今回は踏み出す一歩の宣伝ではなく、こうした新刊書籍はどのよう

新しい取り組みの背景と狙い    (午郎’S Bar 6杯目)

プレスリリースに出版界衝撃走る6月23日、出版業界に激震が走った。 「紀伊國屋書店×カルチュア・コンビニエンス・クラブ×日本出版販売 書店主導の出版流通改革及び その実現を支える合弁会社設立に向けて協議を開始」 https://corp.kinokuniya.co.jp/press-20230623/ 紀伊國屋とCCCが手を組む。この構図にびっくりした。書店業界での売上1位と2位のチェーンが手を組む。一体何のために?というのがリリースを見た多くの関係者の感想だろう。 リリー

「本の価値と値段」午郎’S BAR5杯目

村上春樹の新刊先月村上春樹の6年ぶりの長編小説「街とその不確かな壁」が発売され、いつもの如くテレビなどのニュースとなった。 以前よりあまり売れていないとか、電子書籍に主戦場が移ったとか、そうした報道がある中、私の関係者2名からこうした話を聞いた。 ・いくら村上春樹とは言え、文芸の単行本で3,000円近くするのは高い。どうして最初はハードカバーになるのだろう?2,000円前後に落ちるなら文庫で良いのに ・村上春樹のような著者が率先して単価を上げてくれると業界にとっては良いことな

無書店自治体増加報道を考える            (午郎’S BAR 4杯目)

JPICの調査昨年12月にJPIC(出版文化産業振興財団)が調査した書店ゼロ自治体(無書店自治体)の割合等の数値が、最近また朝日新聞の記事に取り上げられたことでネット上を賑わしている。私も個人noteでこの課題を取り上げたことがあるが、記事を読んでいると感情的、且つ抒情的なものが多い。ここは一旦冷静になって無書店自治体ができる要因と、このテーマについて考えるべきポイントをまとめてみよう。 そもそもこのJPICの調査における無書店自治体とはその行政地域内に「大手取次(日販・ト

午郎’S BAR 3杯目 丸善のBC

間違いなんだけど・・・先日私の知り合いから丸善のブックカバーの所在地に今でも店舗があるのか?との質問が来ました。奥さんが店員さんに「この所在地に店があります」と言われたそうです。 最近ネットで本を買うことも増えたが、何冊かは我が家に丸善のブックカバーの付いた本があったので、デザインを見返してみた。あぁ、そうだった。このブックカバー、世間にあまり知られていない落とし穴があったんだっけ、と言うことを思い出したので、ちょっと丸善のブックカバーについて書いてみます。 結果的に集まっ

午郎's BAR 2杯目 書店の収益源のお話。

報道ではどんな事業をしていても「書店」で一括り日本にはだいたい11,000軒くらい書店があります。以前はアルメディアと言う会社が定期的に本にそれをまとめていましたが、2013年版以降それは発売されていません。 毎年幾つもの書店が閉店していることは皆さんもご存知ですが、書店というビジネスは小売りの中でも最低レベルの粗利の中で、場所代と人件費という2大コストと闘っています。 たまに新聞やネットの記事でチェーン書店の収支に関するものを目にしますが、これらの記事はたいてい結構乱暴