【白夜行】
こんにちは、レイです。
今回はミステリー好きならば
一度は読んだことのある一作である
東野圭吾先生の長編小説
白夜行の感想を述べていこうと思います。
今回の小説はこちら
この本に関しては、非常に有名であるので、
いつものような前置きはなしで、
感想を述べていこうかなと思います。
感想
この本を読み始めて最初に思ったのは、
その分厚さによる読み辛さだ。
どうして半分に分けてくれなかったんだと思ったが、
全部読破してすぐに納得できた。
これは、一冊のほうがよかったなと。
何故なら、巻数が分けられていると、
その前後巻で若干の間が空いてしまい、
せっかくのめりこんだ世界から強制的に一度
離れてしまうことになってしまう。
この本はそうではなくは、ずっと小説の世界に
片足を踏み込んだままできるだけ離れることなく
読み続けたほうが、面白いからだ。
こんなにも分厚いのに、ずっと興味がひかれる内容で
正直休憩する間もなく、一切退屈することなく、
最後まで全力で走り抜けることができます。
登場人物が多いことが難点ですが、
それでも、このサイズの本を手に取る時点でそれは
覚悟しているというものだ。
登場人物たちは、物語の進行で必要だから登場した
というだけのように感じられなかった。
一人一人のキャラクターにしっかりとした背景があって、
スポットライトを当てて描写を描いてくれています。
小説の登場人物が増えれば当たり前ですが、
その管理やキャラ同士の絡み、立ち位置が難しくなる。
何より、推理小説なので書きすぎは問題になるし、
意図せずミスリードが生じないように、コントロールする
必要だってあります。
それでも、白夜行は読みやすく、手が止まらない。
それは、偏に彼らのキャラクター性を損なうことなく、
繊細な描写が描かれているからだと思います。
そして、賛否両論ある終わり方だが、個人的にですが、
この終わり方には満足しているのです。
確かにすべてを語ってくれたら嬉しいなという思いがありますが、
きっとそれはだれも望んでいない結末なのかもしれない。
だって、基本的にあなたたちは犯罪を犯さないのだから。
犯罪を犯すことを推奨しているわけではないが、
同じっ状況になって同じ判断を自分がするのかどうか。
それは、小説を読んで感情移入をしていくと、
本当に大事になる。
今回の白夜行では、「読者に読ませる」という行為はするが、
それ以上に「心情に納得させる」ことはさせなかった。
犯罪者の心理というのは、当人を除けば同じ経験をした
人間でなければ真の意味では理解できないのだと思う。
だから。読者が最後まで楽しめるように、
その世界観を損なわないように、敢えて心理描写で
すべてを語るという手段を取らなかったのではないかとすら
思ってしまうような書き方だった。
白夜行で考えたこと
この小説を読んで初めに考えたことは、
「この小説は非常に読みやすい。読み手に読ませに来る
小説なんだが、人を選ぶな」
ということでした。
先ほどの感想でも少し触れたが、残念ながら
一番肝心な主人公二人の心理描写がない。
ゆえに、共感できるできないという面を除いて考えても、
「切ない」「悲しい」
と感じる人と、
「いや、ちょっと待てよ」「巻き込まれた人は？」
そう思ってしまう人がいるのも納得できると思いました。
それ以外にも、きっと様々な感想があって、
主人公二人組に関しては多くの意見があっていいと思う。
ただ、それでも考えなければならないのは、
「人を利用した先に何があるのかな」
という視点だと思う。
誰しもが誰かを利用して生きているのは間違いがない事実で、
その事実はある意味人間を支えあいという幻想に
縛り付けているのは周知の事実だ。
ただ、その誰かを利用するというのは、
あくまで、相互利用でなければならないと思う。
お互いに何か利があって利用しあっているのであって、
一方的に切り捨てたり、利用している関係はやはり歪だ。
その歪さがこの小説を非常に深くしているのは確かで、
人を選ばせている要素なのではないだろうか？と考えた。
調べてないのでどれくらいの人がこの小説を
そのような視点で考えたことがあるのか不明だが、
初めてこの小説を手に取った中学生の時、
既に何人かの同級生は、「わからない」「面白くない」と
言って手放していた。
読書好きな子でも、「う～～ん、微妙といっていた」
それは、おそらくこの小説を読んでいるうちに、
『不快感』『違和感』
これらを強く感じたのではないだろうか？
この不快感や違和感は、前述するところからくるものである。
また、この小説は『どんでん返し』がない。だから、
特筆して驚くようなことはないのだ。
そこらへんも、『人を選ぶ』といわれる、
実際に読み手の感想が極端に分かれる理由なのかもしれない。
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