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自分が幸せになり心の中で中指を立ててほしい 映画「水は海に向かって流れる」を観て

マンガ大賞にもノミネートされたことがある人気漫画を広瀬すずさん主演で実写化した作品。

2年前に本作と同作家である田島列島の作品で実写化した「子供はわかってあげない」がとても良かったため、映画化が決まった時点で気になっていた。

あらすじ
過去のある出来事から「恋愛はしない」と宣言する26歳のOL・榊さん(広瀬すず)と高校1年生の直達(大西利空)を中心に、曲者揃いのシェアハウスの賑やかな日常を描く。

感想
作品の空気感は好みであったが、物足りなさや作品を観たあとの浸れる感じは正直あまりなかったです。

主役とはいえ広瀬すずさんにスポットライトがあたり過ぎていたので、もう少し曲者揃いの同居人たちにも光をあててほしかったなー

特に戸塚純貴さんは女装の占い師というユニークな役柄かつ、今クール放送しているドラマ「だが、情熱はある」でオードリーの春日さんを熱演していたため、もっと暴れまわってほしかった。

インテリアがおしゃれであったり、榊さんのブルーを基調としたコーディネートは自分好みであったため、スタイリストさんや美術さんが良い仕事していると感じた。

スタイリストさんに着目したのは映画「恋は光」以来。
この作品はキャラクター達の特性を服装だけで、どんな人物なのか上手く表現できていた。

内容についての言及(ネタバレあり)
「恋愛はしない」と榊さんが断言する理由は、過去の母親の不倫がきっかけである。

「あなたも誰かを好きになれば私の気持ちがわかる」と母親に言われ「そんな気持ち知りたくねーよ!」とブチギレたくなる気持ちはごもっともである。

実際、私の親が仮に不倫をしていたら怒りではなく「うちの親が大変申しありません・・・」と罪悪感に苛まれる気がする。

榊さんは罪悪感というよりは怒り。
おそらく、ずっと過去のことを引きずる自分にも怒っている。

母親と同じようになりたくないがゆえに「恋愛はしない」と誓いをたてるが自らが発した言葉の呪いにかからないで欲しいと感じた。

榊さんと同じような境遇の人がいたら自分が幸福になり「ざまーみろ!あんたと違って誰も不幸にせず幸せになってやったよ!」と中指を立ててほしい。

最後に
本作でメガホンをとった前田哲監督は『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』『ロストケア』など個人的に好きな作品がいくつもあったので、期待値が高すぎたのかもしれない・・・
次回作に期待。



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