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一読の夢~短編小説集~

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ジャンル問わず、全短編をまとめたものです。 更新は不定期。小説を読みたい方はぜひ読んでみてください。
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#創作大賞2024

スタードライバー

 営業所の喫煙所で一人、煙草をふかすこともなく、缶コーヒーを飲んでいた。営業所に備え付け…

水瀬 文祐
9時間前
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金碧の反逆者(碧天の巫女第2話)

■前回までの話はこちら■本編 大薙刀を携えた巫女チハヤの顔を、篝火の揺らめく炎が淡く照ら…

89

四姉妹の話~黄(ジョーヌ)~

■別の姉妹の話はこちら■本編 こんな晴れた日は、散歩をするにうってつけですな、と老人は杖…

107

夢の扉

 雨が降る。音もなく、漂うように。  タケルは傘を差すことも忘れ、駅前のロータリーに立ち…

119

蟹壺(第3話)

■これまでの話 僕は和室の扉に手をかけ、開けるか、と悩んだ。開けるべきではない、という警…

111

蟹壺(第2話)

■これまでの話■本編 大学の屋上で、遥か彼方に見える海を眺めながら煙草をふかした。  い…

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ゆうぐれあさひ~after story~

■これまでの話はこちら■本編 家に帰ると、久しぶりに書置きがされてあった。母からだ。  金の卵を見つけたから、浜松までちょっと行って来る、と書いてあった。浜松まで、ちょっと行って来るという距離でもないだろうに、と思ったが、久しぶりのことでちょっと懐かしくて、思わずくすりという笑みをこぼしてしまう。それが何だか癪で、書置きの紙を裏返してしまう。  冷蔵庫には豚の生姜焼きが作って冷やしてあった。豚肉を覆い潰そうとばかりにきゃべつの千切りが山盛りになっている。コンロの鍋を見ると味噌

play dead

 もういやだ。おれは死ぬ。  三番目に目覚めた男は、何人目かの女が目覚めると、そう言って…

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借物の外套

 私は本屋のアルバイトだった。しがない本屋のしがない学生アルバイト。  大学でも地味でぱ…

水瀬 文祐
13日前
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アロガント(第3話)

■これまでの話はこちら■本編 フレイボムから事の経緯を聞かされた警部はううむ、と唸って腕…

水瀬 文祐
2週間前
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アロガント(第2話)

■前回の話はこちら■本編「だが、にわか仕込みの剣法では我に勝てぬわ」  影騎士は猛進し、…

水瀬 文祐
2週間前
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アロガント(第1話)

■あらすじNZ署のグロンデル警部の管轄で殺人事件が起こる。その被害者、半人半機の半機人シ…

水瀬 文祐
2週間前
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ある殺人犯の告白

 やあ、あなたが私の話を聞きたいという酔狂な人だね。  誰もが知りたがっている?  ああ、…

水瀬 文祐
2週間前
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虚構日記~6月2日~

■これまでの日記はこちら■本編 六月二日(日)  今日は生憎の雨模様だったが、日曜ということもあって、ハルさんがシャルを買い物に誘いにやってきた。紫の面倒を見ているから行っておいでと提案したのだが、紫がハルさんにしがみついて離れようとしないので、結局二人が連れて行くことになり、私は手持ち無沙汰になった。  紫がいてはのんびり自分の買い物など見て回ることができないので、私は私で買い物に出かけることにした。  夏物の服をまだ買い揃えておらず、春先に着るようなシャツやジャケットを着