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令和のお笑いブームの共通点は、マイノリティを笑いで昇華するスタイルであること。

お笑い大好き!人間愛好家のブー吉です🌈


昨今は「第7世代」や「落語ブーム」など、再びお笑いブームの波がやってきている。
この令和のお笑いブーム、実は共通点がある。

それは、マイノリティを笑いで昇華するスタイルであること。

つまり、社会的に排除されてしまうようなマイノリティな存在を、笑いの力によって受け入れていくスタイルであるということだ。お笑い界に多様性が生まれていると言える。

令和のお笑いスタイルが分かる例を、いくつか見ていこう。


▶M-1グランプリ2019から火がついた「ぺこぱ」


バラエティ番組やCMなど、今やTVで見ない日は無いほど売れっ子のぺこぱ

令和で売れた芸人を第7世代と置くのなら、ぺこぱはその主要メンバーだろう。
彼らの漫才スタイルは「肯定するツッコミ」である。

そもそもツッコミとは、間違えた言動を正して初めて成立するものである。大多数の常識を正しいと仮定した上で、ボケの言動を否定してツッコミは成り立つ。
だからこそ、ぺこぱの「肯定するツッコミ」は凄い。

オードリー若林がラジオでこう言っていた。

多様性とツッコミって相性が悪い。ツッコミって、指摘とか否定とか非常識ですよってことだと思うんだけど、そういうことって多様性を飲み込む。
1回ツッコミをかけるじゃん。ツッコミをかけた後、飲み込むっていう。その1個のツッコミの中で、振りと緊張と緩和を使い分けると、あ、こんな伝わるんだって!


この肯定ツッコミは大発明なのだ、と絶賛していた。

ぺこぱ松陰寺のツッコミには、自分の当たり前が、当たり前じゃないかもしれないと考える姿勢がある。その姿勢を持って、考えた上で肯定していくことは、まさにマイノリティを受け入れている姿だ。

しかもそれを堅苦しくなく、笑いで昇華しているのだから、それは物凄い発明だ。


▶キングオブコント2020の「空気階段」

一見、昔のお笑いスタイルを感じさせるアングラな雰囲気の空気階段だが、実は、マイノリティを笑いで昇華するのが、めちゃくちゃ得意だ。


鈴木もぐら演じるキャラクターは、どれも身近にいたら近づきたくない人、電車でたまに見かけるおかしなオジサンなど、「社会不適合者」とも言える言動の持ち主である。


例えば、キングオブコント2020の2本目のコントでは、定時制高校を舞台に、ほぼ聞き取れない言葉を喋る生徒を演じている。

このコントの面白さは、そのキャラクターの強烈さだけではない。私たちの中にある、「社会不適合者」ともなる人を笑っていいのか?という薄っぺらな善意を吹き飛ばし、普段ひた隠しにしている異質への笑いという危険な面白さがある。


しかし、このコントでは、「社会不適合者」の彼と、そのクラスメイトの恋模様が中心となっている。
最初は笑っていた私たちも、二人の恋に興味関心が湧いたり、段々と彼の言葉が聞き取れるようになったり、彼の人間的魅力に気づいていく。

コントを見ている私たちは、気づけば「社会不適合者」というマイノリティを受け入れているのだ。彼らのちょっと不思議な恋愛模様をのぞき見しているのであって、決して彼の人間性を否定しているわけではない、ということに気づく。

考えてみれば、このコントに彼の人間性を正すツッコミは決してなかったのだ


▶落語の「与太郎噺」

この2つの事例を見て分かるように、マイノリティを笑いで昇華するスタイルが、令和のお笑いスタイルと言っていいかもしれない。
しかし、このスタイルはずっと昔から確立されていたものだ。

「落語ブーム」の方に目を向けてみよう。

落語に「与太郎噺」というジャンルがある。
これは与太郎というおバカなキャラクターが、おバカなことをしてしまう、元祖バカのお笑いだ。

例えば、親方が「掛けなさい」と、目の前を指差す。もちろんこれは、「そこに座りなさい」という意味である。
しかし与太郎は、指差す場所を走り出す、”駆け出して”しまうといった具合だ。

つまり、与太郎は前後の文脈や、文の含みを理解出来ていないのだ。

こういった与太郎の様々な言動をよく見てみると、ADHDやASDといった発達障害の傾向があると思われる。そんな「社会不適合者」とも言える与太郎だが、落語の世界で彼は、仕事をしていることや結婚していることがあり、決して”排除”されていない。

何なら仕事を近所の皆で世話したり、寄合の席で「与太郎を呼ぼう!」なんて声が上がったり。地域コミュニティの一人、仲間の一人なのだ。

まさに落語の人情とも言える部分なのかもしれない。誰も与太郎を見捨てることなく、個性として受け入れ、面白可笑しく生活しているまさにマイノリティを笑いで昇華しているスタイルなのだ。


▶まとめ

ぺこぱの「肯定ツッコミ」、空気階段の「社会不適合者」を受け入れていくコント、落語の「与太郎噺」における個性と共に暮らす人情。どれもマイノリティを笑いで昇華したスタイルだ。

事実、お笑いは、皆が楽しい気持ちになれることが大切だ。

彼らのお笑いは、面白いだけでなく心温まる気持ちにもなれる。本当に楽しい、ハッピーと思える笑いだ。



「普通じゃないから間違っている奴」を正すのではない。

「個性的で面白い奴」と楽しんでいくのだ。




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