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(´・ω・`)「朱ちゃん、話がある。職員室まで来なさい」: PSYCHO-PASS PROVIDENCE 感想

Twitterでの感想(ネタバレなし)

以下 #ネタバレ


職員室にて

自分のことを先生だと思っているボンクラヲタク(´・ω・`)「まずはかけなさい。君はとても大変だったんだからね」

(´・ω・`)「ここには誰もいない。なぜならここは、君にとっては夢のなかのようにしか感じないからだ。ドキドキ文芸部の最後の方みたいなね」

(´・ω・`)「だから僕のことも、すぐに忘れてしまうことだろう」

僕たちと僕たちの生きる世界の違い

(´・ω・`)「君のことは学生の頃から、10年前からよく知っている。君より若かった頃、つまり17歳のとき、僕は君を知ったんだ。いまじゃ君は25歳。僕は27歳。いつのまにか、僕のほうが歳を食ってしまった」

(´・ω・`)「だが君にとってはここまで5年間。僕にとってはここまで10年間。それぞれ違う時間で、違う世界で、違う生き方をしてきた」

(´・ω・`)「君は日本の治安を人々とともに守る生き方をしてきた。僕はある企業の情報システム群を人々とともに作り、そしてシステムの治安を守る生き方をしてきた。そういう意味で、僕はこの世界ではもっともAIに近いところに生きる存在かもしれないし、そういう意味では君の世界のことも多少わかるかもしれないね」

おはなしがハッピーをうむんだっピ

(´・ω・`)「だから思うんだ。君はもっといろんな人たちと相談するべきだった。自分を慕ってくれる上司や部下と、家族と、話すべきだったってね。つまり、おはなしがハッピーをうむんだっピってことだね」

(´・ω・`)「人には役目があるかもしれない。けれどそれを決めるのもまた、人だ。だから全てを話せないにしても、誰かと話すべきだった。誰かが脳で、誰かが手足。そういうやりかたでは途中までしかうまくいかないのは、君がシビュラの真実を知るからこそよくわかっているはずだ」

(´・ω・`)「だが君は相談しなかった。色相だのシビュラの真実だの、そういうのを言い訳にするその傲慢さでだ。これまで対峙してきた数々の犯罪者と同様に、君は努力を怠った」

君の傲慢さがもたらした社会秩序への損害

(´・ω・`)「君は傲慢さの結果として、君の信じる正義のために、その社会の秩序をただいたずらに、めちゃくちゃにした」

(´・ω・`)「君が捕まえようと戦ってきたいかなる犯罪者達を超えるもの、公共の敵パブリック・エネミーが、いまの君を形容するにふさわしい。かの煽動者アジテーターである槙島聖護すらも超えた社会秩序への損害を、君は与えた」

法と寡頭政治と経年劣化

(´・ω・`)「君がしたことで、僕たち古き時代の法は、とりあえず生き残ることはできた。それは感謝している」

(´・ω・`)「法のつくりなおしは、ゼロからつくりなおすソフトウェア技術と同じぐらい大変だ。法を取り戻すまでにきっと数十年、数百年かかってしまう。君はそれが怖くて、法を守ろうとがんばったんだよね」

(´・ω・`)「君も知っている通り、法は人と人とが社会を成すための普遍的法則が記述されたルールであり、最後のコミュニケーションツールだ」

(´・ω・`)「法は、人は生まれながらにして平等であると宣言することで、全員が法の支配にもとづく政治への権利と義務に参加できる。その政治の利益、法益を享受できる。そんな平和のなかで、普段はただ目の前の相手を素直に信じていんだって気持ちで過ごしていける。そういうふうに僕たちの時代の先進国の法はつくられているし、実際にそう信じて僕の周囲の人たちは暮らせている」

(´・ω・`)「その法もいつも完全ではない。だから常に改善を続けている。そんな法が役に立たないとか言いながら完全に捨てるとなれば、ますます権力者は暴力者に変わり、世界を支配するだけの、動物社会に戻っていく。シビュラが至るのもまた、どんな技術を使おうがそういう動物社会でしかない」

(´・ω・`)「君のシビュラ支配の世界は、僕たちの生きるこの時間軸でいえば、寡頭政治《オリガーキー》と言われている。そこに至るまでいろんな歴史はあるけれど、いずれうまくいかなくなる。現代ロシア経済って2016年の本を2023年のいま読んだんだけど、まさにそんな感じだった」

(´・ω・`)「法にしろ色相にしろ犯罪係数にしろ、使われなくなったらおしまいだ。多くの人から使われなくなり、少数にしか利益をもたらさない道具を前提とする寡頭政治は、経年劣化する」

(´・ω・`)「わずかな人によって寡占されて、利用する機会がまったく訪れず、役に立たないと思われた時、人はそうした道具に頼ることを諦めて、いろんな言い訳をしながら抜け穴を使って破壊ハックしたり、嘘をついたり、暴力に手を出す」

(´・ω・`)「そうして暴力と恐怖を背景とする序列の上位に食い込もうとする。僕自身、この仕事を果たすと心に決めるそのときまで、そういうふうにしか生きられなかった。恥ずべき過去だよ」

(´・ω・`)「やがて何かしらの恐怖に基づいて支配することを当然としてしまう。槙島や砺波となみおじさんのように、絶望からそう振る舞ってしまうんだ」

(´・ω・`)「実際僕の生きるこの時代でも、全く同じことが繰り返されている。暴力政治はたびたび顔を出してくるんだ。アメリカでも、ロシアでも、日本でも、そういう輩が大声で暴言を言って、人を傷つけながら暮らしている。法による公正さは、ますます必要になってきた。ヘタをするといまの僕の生きるこの日本ですら、君の思う正義、犯罪と戦うレベルですらも必要になってきてしまったかもしれない」

君の描くべき物語を大好きな人たちに勝手に押し付けたということ

(´・ω・`)「こんなに僕の生きる時代も切羽詰まっているけれど、これだけは言える。君の選択では、人はついてこないってことだ」

(´・ω・`)「法が必要だってノナタワーの密室で強硬に言ったところで、あんなふうな犯罪物語の役者を世間で演じたところで、人々はただ、君のやった暴言や暴力に戸惑うだけだ。たくさんの人の心に、君が大好きな人たちに、ただ苦しみを与えただけだ」

(´・ω・`)「そうして君が描くべき物語をあきらめ、君が大好きな人たちに勝手に続きの物語を書くことを押し付けたことに、僕はとても怒っている」

君がきっと果たすべきだった、人を信じるための努力

(´・ω・`)「君は、潜在犯だと言われて隔離されてしまった人たちがどれだけ立派な人で社会のためにがんばれる人たちなのか、もっといろんな人たちに語るべきだった。君がそれを誰よりも知っているからこそね」

(´・ω・`)「偏見を持つひとりひとりが、ひとりずつ理解していく。その深い次元まで、人を信じるための努力を続けるべきだった」

(´・ω・`)「潜在犯の人たちを、自らの曇らない色相によって守り、立派な仕事ができると証明し続けるべきだった。潜在犯の色相が濁るその理由を、解き明かすべきだった」

(´・ω・`)「その潜在犯と呼ばれた人たちの努力にこそ、その物語にこそ、法を廃止できない理由を見出せる。いずれ誰もが潜在犯という烙印によって捕えられなくなるのなら、いまのシビュラの社会秩序は間違いなく壊れてしまうからだ。新しい社会秩序として、法は必要となるだろう」

(´・ω・`)「君がその選択をしなかったのは、あまりに忙しすぎたせいだったのかもしれない。そんな人を信じるための努力を委託できる相手を、慎導篤志おじさんのようにたくさんつくっていくべきだったのかもしれないね。とても大変な道だけれど」

君の進み始める道

(´・ω・`)「いま25歳の君はすべてが終わって、やっと泣くことができた。だからそれどころじゃなくて、忘れてしまうかもしれない。けれど未来への希望は伝えておこう」

(´・ω・`)「君はこれから、慎導篤志おじさんが育てた慎導あらたくんに希望を託すことになる」

(´・ω・`)「君がシビュラとの密約によって育ててしまった傲慢さという欠点を乗りこえられるかどうかはわからない。それに、あらたくんに希望を託すことで罪が消えるわけじゃない。一生をかけても償いきれない、人々の忘れてしまった罪の代理人となることだろう」

(´・ω・`)「人を信じるためには、まず自分を信じられる必要がある。いま泣いている君はすべてに後悔して、自分なんか信じるに値しないとまで絶望しているかもしれない」

(´・ω・`)「けれど君は、人を信じるための努力をもう一度はじめることができる。雑賀譲二さいかじょうじおじさんのいた場所で、絶望に暮れ続けることは、ない。それを僕はとてもうれしく思う」

(´・ω・`)「君が27歳になるころ、僕の今の年齢と同じになる。その時の君は、いまの僕なんかよりもずっと希望に満ち溢れ、人を信じられていて、とても幸せそうにみえた」

(´・ω・`)「自分の生きる世界を真剣に考えられる君になら、きっと君の生きる世界すらも、よくできるはずだ」

(´・ω・`)「だから朱ちゃん、いまはいっぱい泣いていいからね」

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