世の中の就活の間違った行動 〜自己分析〜

自己分析は就活のファーストステップ

就活の第一歩として、一般的に”自己分析”をしましょう、とよく聞きます。

まずは自分が何をしたいのか、どんなことにやりがいや喜びを感じるのかなど、これまでの自分を振り返り、自己実現ができる業界や企業を選ぶためのとっかかりとして、誰もが行うことと言っても過言ではないでしょう。

就活についてネットで調べるとそこら中にそのような記事がありますし、就活塾でもよく聞きます。さらには既に就活を終えた4年生にアドバイスを求める就活生も多いですが、先輩もそんなことを言いますよね。

確かに大事です。しないよりすべきです。ですが、どうも世の中の大半の学生は就活になると本質を見失いがちです。ここでは”正しい”自己分析を行うための考え方について言及したいと思います。

世の中の自己分析の盲点

自己分析を通じて、自分自身の過去の経験や出来事をもとに強み・弱みを整理したり、どのような仕事をしたいかを探ります。
つまり、自己分析を行うことは企業や職種選びの根本の役割を担い、さらには選考での自己PRにも役立ちます。

ここまでは、世の中の自己分析を行う理由に私も同意します。

しかし、世の中の就活生の多くはこの自己分析によって、
「就活を限定的にしてしまう」というデメリットを兼ね備えています。

例えば、ある学生は「私は海外留学の経験から、海外と日本の架け橋になりたい。また大学まで続けた野球で培った向上心から、常に自己成長できる環境に身を置きたい」という軸が見つけられ、自己分析の結果「商社」が第一志望である、と自己分析したとします。また、世界と日本も密接につながっている「金融」も同様だと考え、金融業界も志望したとします。

それでは、この学生が5大商社ではなく、①無名商社と、②全然別業界の「電通」の2社に受かった場合、どちらの企業を選ぶでしょうか?

「海外と日本をつなぐ」という意味では電通も国際的な業務はあります。
一方でもちろん自己成長につながる環境でもあるでしょう。
ネームバリュー、給料面、諸々を加味して「電通」を選ぶ学生も多いのではないでしょうか。一体何割が、最初の自己分析で行き着いた「商社」にこだわるでしょうか。

耳が痛い学生も多いのではないでしょうか。

結局、自己分析とは自身の就活の軸にはなるものの「表面上の建前」がどうしても入ってしまいます。「社会的地位(ネームバリュー)」や年収など、「企業選考を受けるための自己分析」においては出てこないが、実際にどの企業に就職するか考える際には確実に重要な要素が、一切無視されているからです。

つまり、「綺麗事だけ並べた、表面上の自己分析」にすぎないのです。

ただ、もちろん先ほどの自己分析は決して嘘ではないでしょう。
自分の経験や価値観から、本当に大事な軸なんだと思いますし、それが体現できる業界や企業は概ね絞れてくるというのは、間違ってはいないです。

一方で、なんとなく興味ある業界って流石に深層心理ではあるものなんです。これは当たり前なので、悪いことではありません。
その興味ある業界と、自己分析をなんとも後付けで「リンクさせる」ことを無意識でしている側面もぬぐい切れません。
そうすると、「この業界に行きたいとなんとなく思ってたのは、こういう理由や経験からだったのか!」と自分を納得させるわけです。
そうして志望業界を「ここしかない!」と決めてしまえば、いいことでもありますが、それ故、自分の可能性を狭めてしまうことにもつながりかねません。

私が伝えたいのは、「自己分析をするけど、受ける企業は絞る必要はない」ということです。

仮に金融業界に行きたくて無名の企業にしか受からず、低給料・長時間労働よりも、大手メーカー営業の方が、いいと思うかもしれません。

だって、当たり前ですが、「海外」「自己成長」「家族を幸せにしたい」「大きな仕事がしたい」「世の中に新しいサービスを生み出したい」だいたい世の中の就活生が考えるような思いは、それなりの大企業であれば共通してどの業界でも当てはまっていることが多く、

さらには、自己分析は面接の場で説明できるような事柄にしか目を向けずに行うようなものなので、”金”や”休み”、”勤務地”、実際に受かった企業の中でそういったリアルな条件も最終的にプラスされると、実際本音はどうなるかわからないものなんです。

だからこそ、たくさんの業界・企業を受けることを勧めます。
私の指導している学生は仮に自己分析で業界を1つに絞ったとしても絶対に複数業界、そして多くの企業を受けさせます。
なぜなら、受かってからもう一度、「本音の自己分析」をすればいいからです。

もし業界を絞って受かった企業が少なければ選択肢はほぼありません。
ベンチャー志向の学生なども同じです。選択肢が最初からベンチャーです。

私の指導する学生は、

①志望していた商社 丸紅
②元々は視野に入れていた程度の リクルート
③大手ホワイト企業(労働時間少ない・給与安定) ドコモ
④伸び盛り勢いのある DeNA
⑤AIを軸としたITベンチャー(有名でない)

業界をあえて絞らず、とにかく多数の内定を勝ち取らせます。
当初、商社しかないといきり立っていた学生も、面接する中で企業の雰囲気や一緒に受ける学生の雰囲気を感じ、自分との相性を肌で実感し、
本音でどこに行きたいのかを、多数の選択肢から選ぶわけです。

その上でやっぱり商社に行きたいのであれば、それはようやく「完璧な自己分析」となるでしょう。
一方で、志望企業の内定を蹴って社風に魅力を感じ、より個人としてチャレンジできると感じたリクルートに就職を決めた学生も多くいます。
また、大手では任せられない裁量のある仕事を早い段階から任せられる若いIT企業へ就職を決めた事例もあります。

つまり、最初から志望業界や企業を狭める必要はないといことです。
たくさん色々な内定を取り、「贅沢な本音の自己分析」をしましょう。

本当の「自己分析」は受かってからするものだ。

これが答えです。

就活を始める際に、どんな業界に向いているか、どんなことがしたいか、などと考えるのはもちろん当然なのですが、言い方を変えれば、「完全に自分を棚に上げて」受かってもないのに、勝手に何が自分に向いているかと考えているのです。

私が思う、最も理にかなった就活は、

①大まかに自己分析をして興味のある分野は調べてみる。
②あえて業界や企業は絞らず、とにかく受けまくる。
③多くの内定を獲った上で、本当に行きたい企業を自己分析し、選択する。

というフローです。

世の中の自己分析の大きな落とし穴は、「自己分析をするがゆえに、志望業界をグッと絞り、そもそも受ける企業、業界が限定されてしまう」ことです。

結果的に、思うように就活がうまくいかないと、

①志望企業に受からず、就活失敗
②(1)選択肢がなく、そんなに行きたくない企業に就職するしかない
 (2)あわてて他の業界も受け始める
③そしてその業界・企業も自己分析とあっている部分もある、と自分を納得させる

という状況に陥ります。
この状態になっている学生が本当に多く、就活の正しい努力の仕方がわからないまま、自分一人で根拠のない自信や楽観性に慢心し、失敗します。

だからこそ、私は私の手の届く範囲に最大限コミットし、少なくとも私と関わった学生には毎年、その思いをさせず今後の将来を明るく楽しいものにしていって欲しいという思いから、指導を続けています。

◻︎自己分析によって、自身のエントリーする業界や企業の幅を狭めるな
◻︎自己分析をしても、多くの企業をとにかく受けて内定の駒を多く取れ
◻︎大学受験と同じく、受かった中から本当に行きたいところを選べ
◻︎受かった駒の中でどこに行きたいのか考えている時こそが、本当の自己分析

以上が、私の提唱する”本質的な自己分析”です。

ですから私のチームで就活をする学生は、とにかく戦略的に、あえて多くの企業を受けます。就活の具体的な進め方の戦略については別途記事を公開していますのでそちらをご参考ください。

今日は以上です。

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