45歳定年説について考える
先日サントリーホールディングスの新浪剛史社長が「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」と述べて波紋を呼んでいます。日本で終身雇用制度がその内崩れるであろう、という話は常々出ていますが、45歳定年説とは衝撃的です。
これはあくまで新浪社長が経済同友会の夏季セミナーで述べただけであって、実際に日本社会において今すぐ実行されるわけではありません。(その後釈明すらしています)しかし、本当に45歳定年説になったらどうなるのか…?考えてみました。
経済的な問題が深刻
そもそも45歳ってどのような年齢なのでしょうか?もし結婚しており子供が一人いるとして、夫婦が同じ年だとします。内閣府による「平成30年度版 少子化社会対策白書」によると、2016年の第一子の出産年齢は平均して30.6歳。
つまり、親が45歳の年齢の時に子供はまだ15歳になる年。中学生ですね。これから大学受験や大学の費用など丁度お金がかかるタイミングです。
40代の日本の貯蓄の中央値は365万円です。平均値は貯蓄が極端に多い人が値を引き上げてしますので、中央値を参照します。子供が大学に進学して、国立大学でも4年間の学費は200万以上かかります。
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」
※2人以上の世帯の場合
45歳で引退して、65歳で年金を受け取るとしてもその間の20年はどうするのか…?どう考えても生活費が足りません。
もちろん、独身世帯や貯蓄がもっと多い、子供がいない、子供が大学進学しない等、様々なケースはありますがモデルケースで見ると非常に厳しいのではないでしょうか。
また、45歳で退職するとしても退職金がどの程度もらえるのかは企業によって異なるでしょう。
しかし、45歳で退職するにはかなりの資金力が必要です。新卒の頃から貯蓄と投資に励んだ投資の天才か、年収が非常に高いパワーカップルか、副業で大成功しまくりな人くらいでないと生活が厳しいのではないでしょうか。
会社員を続ける理由がなくなってしまう
日本において年功序列が採用されていて、終身雇用制になっているメリットとしては従業員側は「長年勤め続ける」ことで安定した生活が保証されるからです。
同じ会社で長く続ければ年収があがる、頑張っていればそれなりのポストにつける、定年まで働ける、といったところです。
しかし、「45歳で終わり」というゴールが見えていたら、丁度メリットを受け取れるような年代で会社から切られることになります。若い内は生活ギリギリの給料で耐えていても、数十年後に切られるのであれば会社員を続けたいと思う人が少なくなるのではないでしょうか?
体力がある内に安い賃金で働かせて、年を重ねたら企業がポイっとできるような風にしか思えません。
もし、45歳定年を導入する場合は、必ず若手社員の賃金の底上げと成果に応じた年齢に関係のない昇進制度が必要でしょう。
ちなみに、自分が日系企業に勤めていていきなり45歳定年制度になったら…
モチベーションだだ下がりでその日から即会社の仕事は「やり過ごす」ことに集中します。本業はそこそこ評価される程度に頑張って、定時で終わらせて副業に全力投球します。
45歳定年は極端すぎ
やっぱり、45歳定年は正直極論すぎます。会社で働かないおじさん問題があるのは、私も分かりますが流石に振り切りすぎです。導入にしても徐々に給与体系を実力制度に切り替えるとか、年齢が高めでも転職にもっと寛容にする、とか他の施策を同時にしないと厳しいでしょう。
日本もその内、欧米型で個人のスキルを磨いていくために転職回数が多いのが普通になりそうではありますが。
何事も変化が起きる際には、人間慣れる時間と準備が必要です。今の日系企業の雇用体系で良い部分もあるので、上手く変化しつつ企業にも従業員にもメリットがある形で進化できたら良いですよね。
(ちなみに新浪社長は62歳らしいです。自分は例外ってことなのでしょうか…。役職者だけ46歳以上も働き続ける、という思想であれば不公平感がすごいですね。)
とにかく、世の中何が起こるか分からないので会社に頼らなくても生きていけるようにスキルを磨いていきましょう。
今日も読んでくださりありがとうございました!
サポート頂いた際には、英語や他のスキルを磨くことに使用させていただく予定です。そのスキルはnoteの記事で皆様に還元できればと思います!