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柚木麻子「BUTTER」


イオンモールやちょっとデカ目のショッピングセンターに行くと、たいていデカ目の本屋があって、そこに入ったが最後、一時間は出てきません。そんなはむです。
先日書店に立ち寄った時にであったのがこの作品、柚木麻子「BUTTER」。
失礼ながらこの方の作品は読んだことがなかったけど、めちゃかわ表紙とあらすじに惹かれて思わず購入。単行本裏面は以下の通り。

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ──。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳に〈あること〉を命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。

この「カジマナ」ってのが所謂「デブス」の女。(デブスってめっちゃ嫌な言葉や)で、男を手玉に取りまくって殺す・・・。モデルとなった事件もわかりやすい。

めちゃくちゃ余談やけど、この犯人自伝書いてかのか・・・。しかもタイトルが「礼讃」。むかつくなあ。「礼讃」といえば谷崎潤一郎でしょ。おこがましい。腹立つわ。

話がそれました。

実際に起こったモデルになった事件はあれとして、この「BUTTER」はすごく良かった。
他者と、それも蔑み嫌悪していた他者と同化していく生ぬるい感覚が堪らない。犯罪者同化モノでいうと、最近阿部サダヲ主演で映画化された「死刑にいたる病」も読んだけど、完成度も気色悪さも「BUTTER」が圧倒的にいい。
ラストの里佳のけじめの付け方もすごく好きだった。
尾崎翠の「第七官界彷徨」を読んだときにも感じたことだけど、他者を理解するにはその人の「身体」を構成するものを知り、同じもので自分の身体を満たすのが早いのかもしれない。


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