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むずかしい平凡 自句自解 第二章「春の牛」

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主に福島原発事故に関わる俳句を解説していきます。よろしく。
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2020年9月の記事一覧

2 春の牛空気を食べて被曝した

2 春の牛空気を食べて被曝した

 句集「むずかしい平凡」第二章「春の牛」より自句自解。

 原発が爆発し、放射性物質が飛散した。人々は避難する。しかし、牛たちは逃げることができない。その牛たちを放置して逃げることができない人たちもいる。放射性物質は、それがどんな生き物であれ、容赦なく汚染する。

 ある牧場経営者が、専門家にこんな質問をしていた。

「牛たちは牛舎の中にいました。そして餌も外国産のものを食べていました。しかし、牛

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1 被曝避け得ず土に雨土は春

1 被曝避け得ず土に雨土は春

句集「むずかしい平凡」自句自解。第2章「春の牛」から。

ここからは、2011年以降の福島を舞台にした俳句がしばらく続きます。

2011年3月、原発が事故を起こした。もう、人間にはコントロール不可能な状態になり、爆発するしかなかった。

爆発し、放射性物質を大量に含んだ空気は、福島県をはじめ各地に飛散した。その被害がもっとも大きかった地域は、雨に降られたところだった。雨雲が被曝した空気を運び、雨

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