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「そろそろor もうすぐ」と「帰るor戻る」

ずいぶん前に、「炊く」と「沸く」と「煮る」はどう違うのかというnoteを書いたことがあった(炊く、沸く、それとも煮る?|ぼん (note.com))が、「そういえばこれとこれってどう違うんだろう」と考えることがよくある。最近は、「もうすぐor そろそろ」と「帰るor戻る」について考えていた。頭の整理と備忘録のために書き留めておく。

①もうすぐ or そろそろ

まず「もうすぐ」と「そろそろ」は、英語にするとどちらもsoon、時期やタイミングが近いという意味で、互換性がありそうだ。
・もうすぐ夏休みだ。/そろそろ夏休みだ。
・もうすぐ10時になる。/そろそろ10時になる。
・もうすぐ友達が来る。/そろそろ友達が来る。
ふむふむ。でも色々と例を考えていくうちに、入れ替えが出来ないパターンもあることに気が付いた。例えば…
・長年の夢が、もうすぐ叶う。(×そろそろ叶う)
・もうすぐ街にサンタがやってくる。(?そろそろ街にサンタがやってくる)
・この前貸した本、そろそろ返してよ!(×もうすぐ返してよ)
・夜も遅いし、そろそろ帰ろうか。(×もうすぐ帰ろうか)

「もうすぐ」も「そろそろ」も、近い未来を表す言葉だけど、
「もうすぐ」はそのタイミングが目前に迫っていることや、待ちに待ったことに重きがあるような気がする。0→1に変わる瞬間重視のイメージ。
対して「そろそろ」は、そのタイミングになりつつあるというところに重きが置かれている。0→1にじわじわと変わるプロセス重視のイメージ。「ぼちぼち」と言ったりするケースもあるかも?

②帰る or 戻る

「そういえば『帰る』と『戻る』ってどう違うんだろうな…」と気が付いた時、こりゃいいお題を見つけたぞ~と内心小躍りしていた。
余計な話はさておき、「帰る」も「戻る」も、元いた場所に再び移動する動作を表す言葉だけど、やはり微妙に違いがありそう。入れ替えられなくはないけど、ちょっと違和感が残る…というものが多い。
・母は今日、8時ごろうちに帰ってきます。(△戻ってきます)
・鮭は生まれた川にに帰る。(△戻る)
・10年ぶりに地元へ帰った。(△戻った)
・すごろくで「1マス戻る」(×1マス帰る)
・ビデオを巻き戻す。(×巻き帰す)
・忘れ物に気が付き、教室へ戻った。(×帰った)
・火事の時の3原則「押さない、駆けない、戻らない」(×帰らない)

おそらく、「戻る」には単に再びその場所に行くという意味が基本にあるんだと思う。物理的な移動を表すというか。プラスして、「もう一度少し前の状態になる」とか「繰り返す」という意味があるのかも。「鮭が川に帰る/戻る」と「地元に帰る/戻る」は、個人的にはどっちでもいけそうな気がするけど、後述の「帰る」と比較してどっちの意味に重きを置くかで、帰るor 戻るのどちらを選択するのか変わってくるんだろうな。
「帰る」は、「ホーム」という感覚と密接に結び付いている気がする。つまり、自分の帰属意識がある場所、自分の拠点になる場所に行くという意味。
そういえば大学を卒業するとき、友達の一人が「今までは実家に「帰る」という感覚だったけど、今は大学に「帰る」とか、留学先に「帰る」とか、帰る場所が増えた気がする」と話していた。

③最後に


「戻る」といえば、高校時代の恩師の言葉で、ずっと心に残っているものがある。

3つの勇気を持ちましょう。進む勇気、止まる勇気、戻る勇気。

卒業アルバムの「先生達からの言葉」みたいなコーナーに書いてあったのだが、当時の私は、これから大学に行って、色んな人に出会って、新しいことをたくさん勉強して…と、「前に進む」という価値観の中で生きていた。だから「止まる」とか「戻る」という視点が新鮮で、どちらかというとそっちの衝撃の方が大きかった。
でも、大人になって色んな経験をして初めて、この言葉の重みが分かった気がする。そこにどれだけの勇気が必要か。どれだけ難しいことか。「戻る」は後退のように見えるけど、戻るという選択をすること自体が前進なんだと思う。そして、自分を大事にする心がないと「戻る」を選択することは多分できない。先生は「戻る」にそんな意味を込めていたのかもしれない。



写真は、こないだ行ったカフェにいたニャンコたちです。実は数ヶ月前にもここを訪れたのですが、その時はお母さん猫のお腹が大きかったんですね。久しぶりに行ったら元気なキッズが生まれていました。この後、ちびニャンコの一匹が物陰で砂利をほりほりしており、何だろうと思ったらトイレでした。用を足した後はちゃんと埋めてました。誰に教わるでもなく、きっとメカニズムされてるんでしょうね。そしてお母さんの近くに寄ってきてミルクを飲んだり、まどろんだり…。何だか平和で幸せな風景で、思わず写真を撮ってしまいました。



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