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神の使いは頭を垂れる 奈良~三重 その2(完)

奈良県の春日大社から山を飛び谷を越えお伊勢の街にやってまいりました。

春日大社の神使が〝 鹿 〟なのに対し伊勢神宮の神使は〝 鶏 〟。
奈良公園がシカパラダイスならばきっと伊勢神宮はニワトリパラダイスに違いない!
そんな期待を胸に初めて三重県の伊勢神宮へとたどり着いた訳なのですが、駐車場がどこもかしこもいっぱいで、しばらくは車でぐ~るぐるう~ろうろ。

五十鈴川傍の青空駐車場になんとか滑り込み、少し遠目からの徒歩ですが・・・まだこの辺ではニワトリの姿を見かけないぞ。その代わりにおかげ横丁という観光商店街ではヒトヒト大パニック!でした。
旨そうな匂いに包まれながら宇治橋を渡り参道正面へ。


参道いっぱいに敷かれた綺麗な砂利。
外部からの侵入を遮断するかのような高い樹々。

まったく鶏の姿はありませんでした。
少しがっかりしたのですが、まぁ、そうでしょうね (笑)
調べると以前には鶏が実際居たそうなんですが、いつの間にか姿を消していったのが現状だそうです。なるほど、パラダイスではないにしろ神使を愛でる機会はあったという事か。残念。

みたらし団子食ってお伊勢さんを後にします。

―― 伊賀市U神社の狛犬のコメント ――

「神使って厳しいらしいよぉ。普段からちゃんとせぇって怒られるみたいだし」
「うちはそこんとこ自由度高いんよ。ロン毛でも怒られへんしね。」

―― 津市H神社の狛犬のコメント ――

「いつの時代やっぱりボブがモードの最先端を行くんだよな。」

―― 津市G神社の狛犬のコメント ――

「なんだかんだ言ってもさぁ、姿を見せない神様に代わって神社の顔役になるのって俺達じゃん?」
「あまり神使を甘やかすとさぁ日吉のマサルみたいになっちゃうよ」
?日吉のマサル?なんだそりゃ?
「日吉大社のマサルさ。」
そう行ってブハッと笑う。日吉大社?・・・滋賀県か?
マサルがどおしても気になってしまい向かうことにしました。

伊賀・甲賀の忍者軍をすり抜けて、滋賀県大津市の日吉大社の到着す。
赤い山王鳥居をくぐると山の斜面を利用した細い水路が所々に流れているのに気が付く。

神殿周りにも流れている。何だろう?珍しいなぁ・・・。

「あのマサルのやろうはよぉ・・・」

摂社末社にいる狛犬たちは口を揃えて言う。
「あいつ神使のくせにいたずらが過ぎるんだよ!」
よく見て見るとほぼ全ての狛犬たちの体がすす汚れているように見える。
「あちこちで墨ぶちまけやがったのさぁ」「神殿までも酷い有様で宮司も神様もブチギレよ」「・・・んで今は檻の中ってことさ」

日吉大社の神使は〝 猿 〟つまりマサルとは日本猿だったのだ。
現在もマサルは檻から参拝者に挨拶して反省しているという。

神使とはいっても人間に大事にされることって奈良が特別であって、普通はあまり見かけない事なのかもしれませんねぇ・・・。

動物と人間との距離感は、神さえも介入できない
餌と愛情との距離感なんだろうか・・・

地元に帰ってまた野生の鹿に会えたならもう少し近づきたいな。


おしまい

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