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「私は病気を辞めることにした」(めまい克服の認知行動療法)⑤

今回は、外に意識を向ける練習について書きます。
前回、自分の症状を客観的に分析することで自分の状況を整理出来ました。

過去の自分に向かって優しく語りかけるということを、先生に勧められて家でもしました。
また、録音しておいて、不安になったら聞くこともしていました。

2回目の認知行動療法は、内部感覚にばかり注意がいっている状態を外に注意を向ける練習をしました。

私はいつも、めまいが起こっていないか、めまいの前兆となる耳鳴りや耳閉感は無いか、常に内部感覚に集中していました。
そうすると、少しのふらつきを感じただけでも過剰に反応してしまい、不安が増強しパニック状態となり、大きなめまいを起こしてしまうという悪循環に陥るのです。

先生はまず、視覚を使って外に注意を向けましょうと言いました。
目についた周囲にあるものの色を口に出して言っていきます。
先生の白衣「白」、後ろの棚「茶色」、机「灰色」という風に目についた色をどんどん言っていきます。
一分間それを続けて、次は目を閉じて内部感覚に集中します。

先生曰く、外部にばかり感覚を向けるのもバランスが良くないので、外部感覚と内部感覚への集中を交互に行い、自分で切り替えられるようにするのが目的との事でした。

また、視覚だけではなく嗅覚や触覚、聴覚や味覚、五感を使って外部に感覚を向けるのも良いとの事でした。
練習は一番やりやすい視覚を使って何度もしました。
不安が襲ってきたら、周りの色に目を向けて目についた色をとにかく言っていくようにしました。

常に内部感覚に向いていた意識が、段々と外部に向けられるようになってきて、めまいを感じる時間が短くなりました。

子供たちと一緒にどこか出かける時もいつもは不安で憂鬱で仕方なかったのですが、周囲の景色や花の匂い、鳥の鳴き声、子供の手の感触、一緒に食べるご飯の味などに意識的に注意を向けるようにしたところ、以前より不安も憂鬱さも減っていきました。

24時間365日、めまいのことばかり考えていた時間が徐々に減っていき、だいぶ気分的に楽になりました。

また、ウォーキングやジョギングも始めました。
いろんな病院へ行っても、結局言われることは同じで、
「睡眠をしっかり取る、栄養バランスの取れた食事、適度な運動」
めまいで気持ち悪くて眠れないし、吐き気があると食事もろくに摂れない、普通に歩くことも出来ないのに運動なんか出来ない。
当たり前のことが出来ないから病院に来ているんだよ!と毎回腹立たしく思っていましたが、認知行動療法でめまいが軽減したので、とりあえずウォーキングを始めたのです。

最初はやはり足元がぐらついたり、地面がぐにゃぐにゃに感じたりしましたが、以前ほどめまいへの恐怖心が減っているからか、ウォーキングを続けることが出来ました。

徐々にウォーキングからジョギングへと変わり、距離も少しづつ伸ばし始めました。
今のところ、半年間ほぼ毎日15分程度ですが走っています。

適度に走るとセロトニンという脳内ホルモンが出ます。これは別名「幸福ホルモン」と呼ばれるものでストレス緩和や心を落ち着かせる効果があります。更に日光を浴びることでセロトニンの分泌が促進されます。

セロトニンは午後にはメラトニンというホルモンになります。
メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれます。
睡眠の質が悪かったり、眠れなかったりする場合はメラトニンが足りていないと思われます。

ジョギングを始めてから、お腹が空き、食欲も戻ってきました。更に、夜もよく眠れるようになりました。
セロトニン効果なのか、考え方も前向きになりました。

めまいのせいで何も出来ないと思っていましたが、徐々にできることが増えていって嬉しかったです。
健康な人が当たり前に出来ることが、めまい患者には難しいです。
普通に歩ける、ジョギングまで出来るようになったと、健康な人より幸福を感じる閾値が低い分、多くのことに幸せを感じることが出来るんだと前向きに捉えて今日も走ります。

長々と読んでいただき、ありがとうございました。

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