うつ病から回復した人がうつ病の人を支援するという構造

最近、うつ病を経験し、回復した人がトレーニングを受け、現在うつ病をわずらっている人を支援することにより、再入院率を低下させたという論文がイギリスで発表された。

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)31470-3/fulltext

このことは、今うつ病などで苦しんでいる人はもちろん、回復はしたけどうつ病の経験があるということで就職先がない、など社会復帰ができていない人にとっても意味のある論文だと思う。

医療従事者(精神科医、心理士など)が患者さんを支援するのは当然だ。しかし現在3分診療で外来をまわしている中では薬物療法程度の支援しかできていないなと感じている。その他の話は心理相談へとお勧めはするが、金銭的な理由でなかなか相談に行けないという方も多い。


あんた精神科医なんだからもっとがんばれよ

そんな意見をお持ちの方が大半だと思う。

もちろん僕は目の前の患者さんにこれからも治療をしていくし、新しい治療法はないか探していくし、なんでもやっていく覚悟でいる。

しかし日本には十分な予算もなく、周りには同様の患者さんは増え続けており、まだまだ画期的な新薬の開発の話もない。

なので今しばらくは患者さんたち各々が持っている力をぜひ発揮して自分自身を助けてほしいと思う。

そしてそこから復帰した人は患者さんを支援してほしい。これからどうなるのかわからない、そんな状況の中で当事者の方の経験やアドバイスというのはとても大きな存在になるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?