仮想精神科マーケット

精神科患者が自立するために作業所に通うことはよくある。自立の前段階として私達医師もそれを積極的に薦めている。たしかに生活リズムの確立、社会性の獲得など大いに有効だ。

しかし時給100円など最低賃金を圧倒的に下回る賃金で働いているのが現状だ。これでは貯金などできるわけもなく、一人暮らしができるようになるわけでもなく、やる気もわかず、長続きせず結局は実家ぐらしのままで自立にはつながらない。

ではなぜ給料が安いのか?

それは精神状態が不安定で継続的に勤務することが難しく、生産の能率が悪いため、それもあるだろう。

しかし、安くしなければそこまでしてわざわざ購入したくないという精神科患者に対するレッテル、さらには、雇い主側の、商品を売ろうという本気度が低いことがあるのではないかと思う。

このような仮設を考える。

価格が安いことがその商品の価値を下げ、それを作る精神科患者への風当たりをより強いものにしているのではないか。

このような実験がある。価格とプラセボ効果についての実験だ。

まず1錠300円する新薬Aと称したプラセボの薬を飲ませる。すると一定数の被験者は痛みが改善したと答える。これがプラセボ効果だ。

さて、ここで1錠10円で手に入れた新薬Bを飲ませるとどうだろう。薬の値段を知ったら痛みが改善したと答えた被験者はAより少なかった。

値段を強気に設定することにはこのような意味がある。どれぐらいの勝ちがあるかわからないものに対しては高い値段が付けられていたほうが、よりよいものに見えてしまうのである。

それで世界的に爆発的な人気をもたらしたものにブラックダイアモンドがある。価値があるのかわからないものに、これは高級なものだと誰かがいった途端、それは価値のあるものに変わったのだ。

安く販売される商品には安かろう悪かろうでマイナスのイメージが付きまとう。

なので私は精神科患者の自立のためには高い給料、そのためには作った農作物、食品、工芸品などにはより高い値段がつけられてしかるべきだと思うのだ(実際に丁寧に時間をかけて作られた農作物等、その質は高い)。

しかし私はマーケティングの知識も営業能力もない。なので手始めに精神科患者間でのマーケットをつくろうと思っている。

例えばここにAさんとBさんという二人の精神科患者で作業所で働いている人がいるとする。

Aさん:米(1袋100円)制作、販売。時給100円

Bさん:野菜詰め合わせ(1袋100円)制作、販売。時給100円

そのままもし売った代金がAさんとさんBさんの懐に入ったとして、100円を稼いで買えるものとしたらせいぜいコンビニの惣菜パンなどということになるだろう。

いままで100円で売りさばかれていた(実際1000円で売られてしかるべきだろう)お米が100円で売りさばかれていた野菜詰め合わせ(おそらく1000円相当!!)と交換できたらどうだろう。

栄養価の高い、価値のより高いものに置き換えられ、生活の糧となる(精神科患者、低所得者の生活習慣病の問題は深刻だ。心疾患のリスクなどが高い)。

これをオンラインで行いたい。物々交換からはじめてゆくゆくは仮想通貨に発展させて精神科患者間で流通する通貨を作りたい。

お米だけではない、住居の確保や今までではまずありえなかった家電製品の購入や海外旅行など、現状の給料では出来ないことをマーケットを絞ることで実現させていきたい。

そしてその仮想通貨は運用され、より高い価値を持つ通貨にしていきたい。

そんなことを考えています。

というわけで、CTOを募集しています!!


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